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京都の美しい背景描写と丁寧な文章。これは本書のテーマである、無慈悲で冷酷な世界で読者の心に光を灯すための作者の心意気ではないだろうか。
医療の力は微々たるもので、人々はいずれ死んでいく運命。安楽死が認められない日本では生きることが苦しみそのものである人たちもたくさんいる。
その人たちの心に寄り添う勇気をもった主人公のマチ先生は、人の幸せに向き合っている。殺伐とした世の中でも周りの人の心に少しの安心を与えること。これが生きることの意味であり人々の本当の幸せに繋がる。長生きすることだけが幸せということではないとこの本は教えてくれている。
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マチ先生と花垣先生のお互いを認め合っているからこその関係性が素敵。
マチ先生のようなドクターに出会えたら幸せな最期を迎えられるのかもしれないな。
箱の大きさや肩書きではなくそれぞれの役割を全うする。医療の世界に限らず全ての業界に通じる、何とも心が穏やかになる作品でした。
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医療小説なのに相変わらず色々な植物を散りばめた情景描写やその言葉のチョイスが綺麗な上に京都の銘菓でほっと癒される。読後が清々しい
「神様のカルテ」シリーズで栗原先生をずっと追っかけていたのでこの「スピノザの診察室」で新たな、そして栗原先生に引けを取らない魅力的なマチ先生に出逢えて幸せです。
それにしても「おおきに 先生」にはぐっと胸の奥を掴まれました
マチ先生、是非またお会いしたいです!!
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医療とは、人とは、を考えさせられる本でした。こんな病院、先生が近くに居たらいいな。医師や医療関係の方に読んでもらいたい本です。
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本屋大賞に選ばれたので読んでみたけど、本屋大賞というよりは”京都本大賞”のほうが合っていたかな。スピノザの本を読んでいないけど、タイトルには”審議あり”です。
主人公が優秀な医師として科学と哲学の両方を極めんとしているというモチーフは面白く後半の盛り上がりも物語として興奮するところもあったけど、妹の子供を預かるため医局をやめて町医者になるというのは無理があり、そんな覚悟するなら医者そのものやめないとつじつまが合わないでしょうというご都合主義がどうしても抵抗を感じる。終末医療に携わる医者はそれこそ24時間体制なので大学病院と変わらない。昨年母を終末介護で自宅で臨終を経験しているのでどうしてもこの手のは空絵事のように厳しく捉えてしまう。そういう経験をしていなかったら素直に面白く読んでいたかもしれないが主人公が超然とし過ぎていたのに違和感があったのかも。
それでも長五郎餅や阿闍梨餅、緑寿庵の金平糖など、京都の有名処の和菓子が隙間なく登場してくるのは地元京都民として嬉しく、ああ、食べたいとなってしまう。京都の街並み描写や、言葉の選び方など繊細で小説自体は素晴らしい。冒頭で言った通り、これが”京都本大賞”なら納得の作品だった。
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「野心は無くても矜持はある」主人公哲郎が、医療とは幸せとは何か、白いものの交じった髪を掻き回しながら日々考えて、目の前の病気と患者に向き合っていく姿勢と言葉選びに感銘を受けます。
日々急変する命のやり取りがある医療現場と、大の甘党である哲郎の好物銘菓達の食欲唆る描写の緩急に心持っていかれながら、馴染みある京都の景色も鮮明に浮かぶ心地良い作品でした。
この物語の冒頭から末尾と同じく、哲郎の言う通り、世界は簡単に変わらないが、思考し行動し続けることで、少し景色は変えられると私も最近思います。
訳がわからないということがわかるだけでも大切とのことなので、衝動買いしたスピノザの本も読んでみようと思います。
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いい本読んだなぁ。
人はこんなに「いい人」ではいられないけど、マチ先生のようにありたいなと思うし、マチ先生のような人が身近な病院にいたら心強いだろうなぁ。
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まず雄町哲郎という人間にとても魅力がある。
小説を読んでいて、主人公の人柄でその世界に入り込めるかどうかがだいぶ違ってくるのだけれど、コレはまさにソレだった。
神様のカルテもそうだったけれど主人公の優しさや強さや奥深さがとても魅力的で好きだった。
死を意識することで人は大きく成長するのかもしれないけれど、それが良いことなのかどうか?それほどの出来事が無いに越したことはないのだけれど。
自分の意思とは違った形で死んでしまうこと、また生きてしまうこと…。正解は無いかもしれないけれど、自分の思いを最後に分かってくれる人がいたら幸せだろうなと思えた。しかしそれを受け入れるのは医師としてとても複雑であること。
とても考えさせられた。
そしてこの作品の素晴らしさはもう一つ。甘味!
お餅が出てくるたびに検索しちゃって。。。わぁ美味しそう¨̮♡へー美味しそうってなっちゃって。。。
もう甘党としては京都に行くしか無いでしょ!
近いうちに訪れることになること間違い無い¨̮♡
そしてとにかく読後感が素晴らしい!!!
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癌サバイバーも癌で亡くなった家族もいる私にとって、読みたくないような、辛いような本であるはずなのに、それでも先が気になって、どうしてもページをめくる手が止まらなくなった。
作者が医者なので、リアリティがすごい。自分が家族をみていたときのことをとても思い出した。
現代は死との距離がほんとうに遠いと思う。だからこそ死が近づくと途端に恐ろしくなって困る。そういう環境になっている。こういった作品の意義は、そういった死を思い出すメメントモリ的なところにありそうだ。
でも死から遠ざけられた人にとっては、とっつきにくい内容ではあるかも。ただこの物語を、リアリティをもって読めるようになってから、ようやく人生の深みが見えてくるんじゃなかろうか。
私も自分の死についてはまだ遠く感じるが、でも必ずあるのだと、メメントモリだと、分かったつもりのレベルをひとつ上げるくらいの気持ちでいようと思う。
続編と映像化はかなり高確率かと。
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スーパードクターが奇跡を起こして難病や難しい手術を乗り越える話もいいけれど、今作のように静かにやさしく人の命に向き合う姿が美しい物語が好きだ。医師も患者もひとりひとりがちゃんと人間として描かれていて、それぞれの医師という仕事と患者としての病気の向き合い方に共感が持てる。
また、京都という土地が物語に色を添えていて、京都人らしいなあと思わせる振る舞いや、おなじみの名所、おいしそうな和菓子が続々出てくるのも見逃せない。
せわしなさの増す苦しい時代だからこそ、この物語を通してじっくりと命に向き合うひとときを持っていただけたらと思う。
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奇跡的ストーリーよりもっと身近で親身に
私たちの人生に寄り添い
希望の光で包み込むように
命の在り方を優しく伝えてくれる。
「人の幸せ」を
押し付けるような教えではなく
愛ある気づきを与えてくれる。
やわらかな心で
生にも死にも真摯に向き合える。
過去の痛みにも未来の不安にも
絶望することなく
凛とした強かさで希望を持てる。
生きていくために大切なものを
この物語が教えてくれる。
人生に芯が通るような読後でした。
これからを生きていく
そしていつかは死を迎える者として
今、出合ってほしい、
多くの命へ届けたい本です。
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夏川さんの作品は神様のカルテもそうですが、
街の描写が心地よくて、すごく好きです。
内容は爽やかに全てが良い方向に行くので、ストレスなく心地よく、気持ちよく、読めます。
出世やしがらみから離れた、仕事をしたいですね。
サラリーマンの憧れです。
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スピノザを知らずに読みましたが、哲学者の名前だったんですね。
哲学的な話があったり手術の緊張感があったりと、勝手にほのぼのした話をイメージしていたのですが面白かったです。
もちろんほのぼのしたシーンもあるし、病院が舞台だとたまにあるドロドロした人間関係があまり出てなかったのも好印象でした。
兎に角マチ先生がカッコ良すぎます!
他にも魅力的な登場人物が多くて楽しめました。
続編が読みたくなりました。
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いろいろ考えさせられる作品でした。
高齢化社会真っ只中にある日本
医療に対する考え方も、深刻なものを感じます。
生きるとは死ぬとは…医療とは
何度も何度も問いかけられているような
気持ちになりました。
私もこの物語の舞台である原田病院のような
在宅医療や高齢の患者さんが
くる医療の現場で働いていますが、
何度も「長生きというのはなんだろうか」
幸せとはなんだろうか。と思うことがあります。
そんな中医療の現場に立ってつねに生と死に向き合っている先生がたには、本当に頭が下がる思いがします。
間違いなく老いていく、人生の中に
まち先生のような先生に最後まで見届けてもらえるなら、安心で温かい気持ちで最後を
過ごせるような気持ちになりました。
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やっと、図書館の順番が回ってきた。
とても、よかった!
「スピノザ」が何か知らず、
哲学者の名前であることに、初めて知った。
ウィキペディアを見ても、難解で、よくわからない。
でも、本の中で、「自分の意志に関係なく物事が起こり、結果がどうなろうとも、努力することが大事である。」
と、いった感じの文章から何となく感じるものがあった。
病気を治すだけが医者の仕事ではない。
病気を抱えながらも、幸せな人生を送ることができる。
人それぞれの生き方があるように、
人それぞれの病気とのかかわり方がある。
医者は科学者と哲学者と人格がわかれるとある、
そのどちらも兼ね備えたのがマチ先生だろう。
最先端医療の開発も必要不可欠だし、
人に寄り添った医療ももちろん大事だし、
どちらが欠けても医療の進歩はない。
大学病院の中の「白い巨塔」の世界も味わえた。
同時に、命を救うため、プライドも立場も超えた連係プレーはすごく感動した。
京都の中を散策しているような、
美味しいスィーツも脳内で味わえた。