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時代小説と覚悟して読みましたが、非常に読みやすく、また、1話1話が味わいが深くて、心にじんわりときました。とても面白かったです。
全話、どこか陰湿で、自身ではどうしようもない感じが漂っていましたが、それが良かったです。各話、微妙に繋がりのある人物が出てくるのも面白かった。
私的には閨仏が1番好きでした。
この作者さんの他の作品も読んでみたくなりました。
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千駄木町に一角にある心町(うらまち)。その吹き溜まりのような長屋で暮らす人々のそれぞれの人生の心に沁みる物語り。
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江戸時代、心町(うらまち)を流れる塵芥の溜まった心淋し川(うらさみしがわ)その川沿いに建つ長屋に暮らす人々の六篇の物語
賭博癖の悪い父の借金の肩代わりに遊女屋に売られた娘や妾となるしか生きていく道が無かった女など
辛くても精一杯生きる人間の強さが伝わってくる
目黒不動尊や目白不動尊は聞いたことあったけど目赤不動尊というのもあって合わせて三不動と呼ばれている初めて知った
ひとり息子に執着し狂っていく冬虫夏草のお話が一番刺さった
「子供のためと口にする親ほど、存外、子供のことなぞかんがえてないのかもしれないな」
深い
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江戸の街の片隅に流れが淀んだ川がある。
その川の名は心淋し川。
川のほとりには今でいうスラムと言うべき寂びれた心町という長屋街が建っている。
その長屋に流れ着く者たちも様々。
その長屋に生まれ育ちこんな街出ていきたいと思う者や、厳しい社会の仕打ちに心痛め流れ着いた者など。。
それらの複雑な背景を持つ多様な人々を心町は包み込んでいく。
決して世間でいう幸福ではないが、ちょっとした人と人との関りでちょっとだけ前を向ける、
そんなお話達。
とても良い小説でした。
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直木賞受賞に相応しい作品と思います。
訳ありの人々が集い暮らす吹き溜まりのような町の日常を住人の生き様を通じて描かれています。事情は違えど心に空いていまった「淋しさ」という穴の始末を抱えながら日々を送る面々。善悪、幸不幸など関係なく己の価値観のみを拠り所に心の穴を埋めるためにもがく姿を思い浮かべながら、「人はそれぞれ」を強く意識させられました。
最後まで面白く読ませていただきました。
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私の中では「金春屋ゴメス」や「まるまるの毬」の作者さん。直木賞を獲られた作品が文庫になったので遅ればせながら手にしてみた。
江戸、千駄木の一角に流れる小さく淀んだ心淋し川。そのどん詰まりに立ち並ぶ長屋で暮らす人々のお話。
働かない父を抱えながら恋人と一緒に今の生活から抜け出ることを夢見る娘を描く表題作「心淋し川」をはじめ、死んだ兄弟子の後を継いで飯屋を切り盛りする料理人の過去の悔恨が滲む「はじめましょ」や同じ岡場所から異なる道を進んだふたりの女性の行く末を描く「明けぬ里」など、終盤の転換が鮮やかな話が並ぶ。
四人の妾が住む家でお呼びのかからない最年長の女性の手慰みを描く「閨仏」には妙なおかしみがあり、「冬虫夏草」では嫁から息子を取り返した母親の狂気が怖い怖い。
最後に語られる長屋の差配の物語「灰の男」は、男の人生のやるせなさがたっぷりの反面、これまでのすべての話が収斂し、それでもそこで生きていく人たちの活力も描かれていて秀逸。
とても上手だなあと思ったが、ちょっと上手が過ぎる感じも実はして、それ以上の感想が浮かんでこない。
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様々な事情を抱えた人々が、這いつくばうように生きて、住まう長屋。
その日々の中で、みんなが寂しさに耐え、過去を悔いつつ、人とのつながりに薄明りを灯して暮らしているようだった。
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江戸の長屋のお話。
人とのつながりをもち、色々恨み言もありながら逞しく生きていく人々が描かれている。
女性って芯が強いな〜と思った作品でした。
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心町でひっそりと、だけど様々な関わりを通して、たくましく暮らしている人達。
苦労はあるけど、その人なりに生きていく、その姿はやはりポジティブでした。
とくに女性の逞しさ、これを江戸の物語は感じさせてくれます。
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江戸時代、心町(うらまち)のとある長屋をめぐる連作短編集。直木賞受賞作品でずっと気になっていたけど、やっと読めた。
最後の最後、陽気でおせっかいな差配さんが隠し持っていたものが胸にくる。
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(Ⅰ)「心淋し川」は流れのない川。塵芥が溜まっている。人もまた澱のように集まるが人にはそれでも流れがあるようだ。
(Ⅱ)短編連作は、住人のひとりひとりにフォーカスを当ててそれぞれの澱を描き出す。流れていく澱もあれば流れない澱もある。
(Ⅲ)じつのとこ、哀歓系時代ものは苦手やったりするんでたまにお試しのつもりで読む程度なんやけど、今回まあまあ読みやすかったのは一編一編が短くかつ展開があっさりしているからやろうか。文章がいいということもあります。
■簡単なメモ
【一行目】その川は止まったまま、流れることがない。
【心淋し川】ちほ、澱んだ心町(うらまち)から早く出ていきたい娘。仕立屋の志野屋で知り合った上絵師の元吉に恋心を抱くが彼の態度はいまいちはっきりしない。茂十《誰の心にも淀みはある。事々を流しちまった方がよほど楽なのに、こんなふうに物寂しく溜め込んじまう。でも、それが、人ってもんでね》p.44
【閨仏/ねやぼとけ】りき、醜女好きの大隅屋六兵衛が四人の女を囲う「おかめ長屋」の最年長。最近の楽しみは男根を象った道具に仏様を彫ること。その味に感心した仏師の郷介と親しくなっていく。郷介《あんたの仏には、ちゃんと心がある。》p.74
【はじめましょ】与吾蔵、心町の飯屋「四文屋」を開いた先輩料理人の稲次が亡くなったあと店を継いですでに数年、かつての恋人、るいを思い出させる歌を歌う少女、ゆかと出会う。《何に対してかわからないが、切なさが奔流のように押し寄せて足にからみつく。》p.134
【冬虫夏草】吉、もとは大店の内儀で、身体が不自由で身の程を知らぬ文句しか吐き出さない息子をかいがいしく世話する不幸な女に見えるが…。茂十《怖いね、女親というものは》p.173
【明けぬ里】よう、身の内で常に怒りがくすぶっている女。どこにいっても上手な世渡りができない。亭主は腕の悪い職人で博打に入れ込んでおり日々苦労している中、廓時代華やかなトップだった先輩の明里と出会ってしまう。《人の悪目ってのは、本心の裏返しさね。》p.194
【灰の男】茂十、常時物語に顔を出していた強面の差配。過去にあった出来事にとらわれ身動きできなくなっている男。《たとえ憎しみであっても、他とは比べられぬほどの深い縁だった。》p.268
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淀みを流す、川。水。
誰にでも淀みの思いはある。
見えないのは、その人が本心を見せていないからだ。
この言葉にハッとしました。
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こころさびし、ではなく、うらさびし、と読む。
根津近くの小川を心淋し川というらしい。
遊郭の界隈と裏腹に寂れたボロ裏長屋の人情もの。連作短編。
一作一作、独立しているが、一本通る柱があり、最後にさりげなく収束。
哀歓とちょっと背筋が冷える話と、バリエーション豊か。
直木賞受賞もさすがです。
しみじみした。
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やっぱり面白い。
短編でそこそこ盛り上げて、ラスト1話でガバリと引っ掻かれました。
西條さんと宮部みゆきの時代ものは、ホントにふとした時にその場に飛んで行けるような現実感が伴って、思わずリアルに感じてしまうのはなんでなんだろう。
生きたこともない時代なのに、
わかるのよ、長屋の差配さんの雰囲気が。
西條さん、わたしよく西加奈子さんと間違えて読んで、あ!またやっちまったって思うこと多いんだけど、他の人そんなことないんだろうか?
西加奈子さんのはイマイチ入り込めないのよ。
だから、読んでて?あれ?あれー?なんかなー?
あー!ー!!!!!!間違えた!!!!!西條ナカさんと間違えた!!!!!!!
って何回か間違えて読んだ本あんだ。
なんかタイトルの付け方とかも似てる気がするんだよなぁ。表紙の雰囲気とか。
全然違うくしてもらえないだろうか。笑
いや、名前、全然違うんだけどね。
わたしがちゃんと覚えればいいんだけどさ。笑
毎回、ちゃんと調べるような癖はついたけどさ。
千年鬼と人、ゴメスの人!って!
ホント、西條さんの本面白いから、おススメしまくります。
#ゴメス
#また違うの読もうーっと
#千年鬼
#2冊目買ってプレゼントした
#そのくらい面白かった
#泣けた
#今回もラストでやられます
#背中をズバッとやられるよ
#気をつけろ!
#あー面白かった
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2024年「心寂し川」読了。直木賞作品から選んでいたところ、司書さんが「ほのぼの系でジーンと来ますよ」とオススメしてくれたので手に取った一冊。心町(うらまち)という場所を舞台に描かれる人間ドラマに引き込まれて一気読みだった。人間一人ひとりに物語があって、みんな何かを抱えながら、懸命に生きていているんだという当たり前を思い出させてくれた気がする。六話分の人間ドラマが内容は違えど、同じ場所、同じ時間軸で展開するステキな作品だった。