紙の本
いまだに書店に置かれているが、売れているのだろうか?
2002/12/21 02:20
8人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:17Caesun - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレパス火田七瀬を主人公とする“七瀬三部作”の
第二部にして、事実上の本編。
前作「家族八景」でお手伝いさんとして渡り歩き、滞在した家庭の
裏表を暴き出して見せた七瀬は、その能力故に追われる身となる。
今回、表紙と文字の大きさが改訂されたが、初刊行は昭和50年で、
もはや古典ともいえる作品である。
美人の超能力者を主人公とする小説としては、「クロスファイア」
(宮部みゆき)も似たような設定である。そのヒロイン青木淳子は
人間を一瞬のうちに焼き殺す発火能力を持つが、七瀬は他人の心を
読めるだけで、特別な戦闘能力を持たない。従って、先回りして
逃げる展開になるため、読んでいる側は少々ストレスがたまる。
しかし、「クロスファイア」に登場する悪党は、ヒロインに
無残に焼き殺されるだけあって、それに見合うだけのド汚い、
或いはしょうもない人間として描かれている。もはやぶち殺す
しかない、ハリウッド映画のエイリアンのような存在である。
そのため、作品は現代的な迫力に充ちているが、
かなりグロテスクな面も備えている。
「七瀬ふたたび」は、
そのような最近の作品と比べて、緻密な背景描写や科学的な説明が
乏しく、敵の正体も曖昧で、現代的なリアルさに欠ける。良く言えば、
どこか遠い世界の話のような雰囲気をまとっているともいえる。
しかし、そのぼんやりした世界の中でも、七瀬の能力が光る。
読者はテレパスの力を借りて、人物の思考内容を読むことができる。
普通の小説と同様に、セリフが「 」でくくられて記され、加えて
七瀬が読んだ思考内容が( )でくくられて追記される。
従って人間関係の描写は密度の濃いものとなっている。
七瀬の仲間として登場する能力者は様々で、人格的に魅力のある
人物も幾人か登場する。しかし、彼等は皆、肝心の超能力を
今ひとつ使いこなせていない。
結局この作品の主題は、超能力によって世界を変えることではない。
そのようなスケールの大きい、よりSF的な作品を好むなら、
「タイム・リーパー」(大原まり子)が断然お勧めだ。
しかし、テレパスを主人公とする本作は、必然的に
人間模様に焦点をあてることとなり、迫害される能力者の生き様を
七瀬の目を通して描いたものとなっている。
そのあたりを割り切れるなら、さほど不満もなく楽しめるだろう。
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どこの出版社かは忘れたが, この本のあとがきはそれはもうひどいものである.
エディプスの恋人を読む前だった自分は, ネタバレも甚だしいその内容に激怒したものだ.
そんなわけで, これのあとがきはくれぐれも読まないように.
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超能力者「七瀬」シリーズ、第2作目。第1作では脇役のようだった七瀬がついに主役に。より立ち向かう現実と孤独と愛が浮き彫りに。考えさせられる。
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七瀬三部作第二弾。1979年、私は中学生。NHK少年ドラマシリーズで「七瀬ふたたび」を観て、その内容と主演の多岐川裕美にすっかり魅せられてしまいました。主題歌も好きで、ヒヤシンスを「風信子」と表記することを学びました。
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3部作の2作目。長編。3部作の中で私が最も面白いと感じた作品で、ドラマや漫画化がなされている。ストーリーは1作目と打って変わって主人公が完全に正義キャラっぽくなっている。様々な超能力者が現れ、組織と戦う。終わり方が良い。
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「七瀬三部作」の2作目。
七瀬が様々な超能力者と出会い。
超能力者と相反する組織との戦いを描いた作品。
しょーじき、面白い。スリル満点。
筒井康隆の面白いところは、
超能力者の心理をうまく描いたことと、
なにより七瀬の「心が見える」という設定を使って、
人の心のドロドロした部分を絶妙に再現した所だと思う。
実生活でちょうど色々なことが重なったこともアリ、
小説を通して自分の心を見ているような気分になりました。
俺が生まれる前にこんな名作があったなんて。
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火田七瀬三部作の2作目。
超能力をもった人たちの苦しみと悲しさがなんともいえない。従来の超能力ものとは受けるイメージがかなり違い最初に読んだときの衝撃が忘れなれない。
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家族八景の続編。3部シリーズの2作目。昔ドラマでやってましたね、これ。ということで、個人的には懐かしい。
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おもしろかったぁ。これドラマあって見たと思うんですが。筒井さんはショートショートもいっぱい読んだ気がします。兄のですけど(笑)
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七瀬3部作の第2部。第1部「家族八景」、第3部「エディプスの恋人」と共に必読。他人の思考を読み取るということが如何なるものか、この作品で思い知る。ページをめくる手が止まらない。次の日朝早くから仕事の方、決して読み始めてはいけません。活字中毒にご用心。
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筒井康隆にのめり込むきっかけになった本。後から読んだ七瀬シリーズの「家族八景」、「エディプスの恋人」全部違ったベクトルから楽しませてくれるkど、これが一番エンターテイメント作品だと思う。七瀬と他の超能力者との絡みがグッとくる。闘う女性は美しい!
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七瀬シリーズ三部作の二作目。「超能力者=マイノリティ」の孤独や排斥感が、前作よりも更に色濃く出ている。
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小学生の時に姉の本棚から拝借して読んで、「あたしも神になりたい!!!」と感動とともに思った本をずっと探しておりました。
これだったかなぁ・・・と不安なまま購入してみたら、これじゃありませんでした〜残念。
でもこの本も一緒に拝借した覚えがあります・・・
どうやら七瀬三部作と言われる『エディプスの恋人』と『家族八景』のうちの、『エディプス〜』があたしの探していた本らしい。
筒井康隆さんって元々SF作家だったのね。
そういえば、
時をかける少女も筒井さんの作品だったわね。
小学生の時に原田知世さんが主演でドラマやってて、ドラマは面白くなかったけど、原作は面白かった。
でね、『七瀬ふたたび』もSF。
七瀬がかっこいいのよ。
でもね、やっぱり超能力者っていう使命というか運命に翻弄されてしまってて。
「人の心が読めたら良いな」って思うけど、本当に聞こえたら、あたし精神が持たないわ。
作中には超能力者同士の淡い恋心も描かれていて、切ない。
20年ぶりに読んでみたけど、やっぱり良い作品。
調べてみたら、1979年には多岐川裕美さん、1995年には水野真紀さん主演でドラマ化もされてました。
時が経っても色あせない、すごい作品。
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筒井長編では珍しく(?)、終局が破綻していない作品。スピード感が前作よりある(もっとも前作「家族八景」はオムニバスだけど)
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七瀬シリーズ『家族八景』に続く2作目。
正直微妙。インフレが激しくてついていけないんです。敵組織が軽すぎないかなぁ。後味の悪さも意図的なものだとは思うんだけど、個人的にバッドエンドが好きじゃない。