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短編集なのもあって読みやすく、一気に読んでしまいました。が、どの話もこの先を読みたくない…と思いながらも手が止まらないという不思議な心持ちで読んでいました。
彩瀬まるさんの解説にある『不正を働く人間への解像度の高さ』というフレーズがこの本をよく表現してくれています。
テーマや風景があまりにも日常の風景で、さりげないもので、だからこそえげつないものを見た…という気持ちでいっぱいになりました。おもしろかったです。
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芦沢央さんは初めて読みました。
なにが怖いって、変に特殊な条件があるわけではなく、ごく普通に有り得る転落系恐怖だということ、明日我が身に降りかかってこないとはいえないとすら思うこと。
初動の「これ上手くやれるかも」が、どんどん悪い方に転がっていく。
で、結末は胸糞。
個人的には、「忘却」がいい。
罪の意識と、発覚の恐怖と、全てを覆い隠す忘却と、足元が不安定でぞわぞわぐらぐらする感じ。
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面白かった。
夜中眠れない時、くだらないことがずっと頭を占めている時に短編集を読むことが多いのだけど、これは面白くて一気読みしてしまった。
特に"埋め合わせ"が面白かった。
趣味は競馬。わたしも大きなJ1はたまに賭ける程度。30万負けたという同僚の「すろうと思えばもっとすれるけど」のセリフで笑ってしまった。良すぎる。自分だったらもっと焦り、パートナーに誤魔化す気持ちもわかる。
誤魔化したりすることは基本ない人生だが、やらかした時にどうしよう、どうにかしようという心情とその後の行動がとても面白かった。
この人の他の作品もぜひ読みたい。
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日本推理作家協会賞候補作が2編収録されているだけあって、ミステリとしても、そして芦沢さんらしい心理的に追い込まれていく感じや、人間の暗部を突きつけられる感じにも震える一冊でした。
一番印象的な話は『ミモザ』
官能的な部分があったかと思えば、突然に物語の展開が意外な方向に変わり、さらに落としどころとしても、そうくるのか、と移り変わる物語の雰囲気と、展開の切れ味が最高にハマった短編でした。
売れっ子の女性料理研究家とかつての恋人の関係性を描いた短編ですが、かつての男との関係性を思う場面が官能的で、その描写の巧みさに芦沢さんの新たな一面に魅せられました。
そして昔にいいようにあしらわれた男を見返したい、という暗い心理から、一気に物語の展開が変わりそこからさらに追い込まれていく過程が、さらに男の変化の怖さがひたひたと身に迫ってくるように感じる。ここの人間の怖さがまた一級品。
そしてラストに明かされる伏線の巧みさと、もう一つの怖いポイントが一気に眼前に提示され、本当に参ったという思いでした。
ストーリーの巧みさもあるし、官能的かと思いきや、一気に心理サスペンスに舵を切る筆の上手さにもただただ脱帽した一編です。
「埋め合わせ」も一級品の心理サスペンスです。不注意でプールの水を流しっぱなしにしてしまった語り手が、それをごまかすため知恵を凝らす話ですが、いわゆる倒叙サスペンスのかたちになっています。
なんとか失敗をごまかせそうな道筋が見えてきたと思ったら、探偵役に矛盾点を指摘され徐々に追い込まれていく。ここの投了に追い込まれていくまでの心理がまた絶妙。ドラマ『古畑任三郎』に出てきた犯人たちは、こんな感じだったんだろうな、と追体験したような気持ちになります。
そして、ここでもただ語り手の追い込まれていく過程にとどまらず、最後の思わぬ展開で、物語の意味が全く変わってしまう。『ミモザ』といい『埋め合わせ』といい、最後にまったく違う方向から殴りつけられたような衝撃でした。
他に収録されている三編も人間の嫌な部分であったり、隠されていた部分が急に姿を現したりと、芦沢さんならではの展開や描写がハマる作品ばかりでした。クレーマーに対する心理、隣人の思わぬ素顔と、日常に根差した話もあれば、妙にリアリティを感じられたのは、俳優の薬物使用のため、映画が公開中止に追い込まれそうな監督の話。
バリエーション豊かな短編ながらも、共通する味わいは人間の普段は隠れた心理であったり、隠蔽しようとする心理であったり、そして突然見える人間の怖さであったり、その魅せ方がある種の職人芸のように、ミステリとして昇華された作品集だったと思います。
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凄く凄く気になっていた短編集だったので、ようやく手に入れて読んでみた。
5つの短編全てが、自分が原因で起こってしまった問題に追い詰められているため、読んでいて最高に息苦しさがすごかった。
それでいて、自分の”間違い”をうまく受け止められず、愚行に走ってしまう主人公達は、人間の不完全性をすごく体現していて、自分にこんな不遇なことがあったら…と想像するととても恐ろしい。
普通に生きてても遭遇するような何気ない一瞬の出来事で、ここまで追い詰められていく恐怖を感じさせてくる芦沢央さんのこの作品、ある意味ホラーよりもホラーです。
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腹の底が冷えるような、冷や汗が出るような焦燥感にがられる短編ばかり。
しかも周りの人たちも皆、一様に良い面を見せるのに、最終的に裏切られたように真っ黒。
読んでいて、落ち着かないような気味の悪さを感じました。
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読み終えてなんとも言えない窮屈な気持ちでいましたが、綾瀬まるさんが解説でわかりやすく気持ちを体現化してくれているので、この解説が載っている紙の本がオススメだなと思いました。
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身近にあるちょっとした怖さが溢れてる
タイトル忘れたけどプールのやつと元彼のやつは怖かったし、どうしたらいいか分からなすぎて絶望した
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この作家さんの本を初めて読んだけど、面白かった。星4.5くらい。
非日常的な殺人が起こるミステリーなんかよりよっぽどハラハラした。他の作品も読みたい。
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どこかで、「誰にでも訪れる、日常に潜む地獄」と表現されてて言い得て妙だなと。
こういう、後の想像を駆り立てられるようなバッドエンドな話は大好物です。しかもそれが5話!続編に期待しています。
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読み出したら一気に読了。芦沢央さん初めて読みました。舞台は孤島でも洋館でも無く、我々の身近にある日常。五つの物語からなる短編集。誰にでも起こりうる"取り返しのつかない事"その時、人はどうするのか。最初の一歩を間違えた為に転がり堕ちていく。段々と大きくなる負の連鎖に登場人物の早くリセットしたいと言う心情描写に感情移入してしまう。ミスを隠す事、隠したいと思った事は誰にでも経験があると思うので、その経験と重なり嫌な感覚に陥ってしまう。面白かった。
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後味悪めの短編集
個人的に埋め合わせとお蔵入りのどうしようもなさがすごく好みでした
犯人視点で書かれてると自己弁護が生々しくていいですね
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もし自分がこの場面に直面したら、、と考えてしまって、息苦しささえ感じてしまった。
特に「埋め合わせ」なんかがそう。もしかしたら自分も千葉センセイになっていたかもしれない。
過去に自分もどこかで、手を汚していなかったか……
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シンプルなミステリー。
芦沢央さんは久しぶりに読んだけど、人間の醜くてしょうもない部分が何の救いもなく淡々と書かれていて好みのテイスト。
解説の後半がよかった!
最後の話は、主人公に決定的な非がないのに理不尽すぎないかと苦々しい思いをしながら読んでいたけど、解説を読んで胸にストンと落ちるものがあった。
以下、解説の中の気に入った言葉
不正を働くことは「わからないでもなかった」し、喉元を過ぎればそれすら「忘れたのではないか」。さりげない表現だ。さりげなさ過ぎて、とても怖い。生身の人間のいびつさ、不完全さへの鋭い理解と諦念、そして諦念から来る受容がある。
生きている間に、ほんのわずかな不運で、油断で、過ちで、傲慢で、手に吸いつく汚れ。洗う場所のない汚れ。
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一編目を読んだときはまだ油断しており、どんな雰囲気の本なのかなって掴みきれずにいたんだけど、二編目以降はずっと、早く読み終わりたくてたまらなかった
めちゃくちゃ疲れた、、
五編目は、ほろ苦いむかしの恋人に対する描写がとても好きだった。でもこんな短編集におさめられてるくらいなんだから絶対に逃げ出したくなる話だって身構えてたはずなのに、結局振り回されて疲れきって救いがなくて閉塞感に打ちのめされた、、
ひさしぶりにこんなに疲れる読書体験した
すごい本だ〜
どんな人におすすめできるかなぁ
おばあちゃんに貸そうと思ってたけど、無理よ
読むのにパワーが必要
たくましく生きるお友だちに譲ろうかしら
毎日一編ずつ読むのが精一杯だったよ
すごい本だ〜