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刑務所の調理場ってこんな感じなのか!と知ることができた。受刑者が給食当番みたいな感じで栄養士の指示のもとに自分たちで調理をしていることは初めて知った。
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刑務所で栄養士を務める、女性による本。
非常に面白かった。
なんつか、まず文章が読みやすい。初めての本らしいけど。
刑務所にそんな業務があったとは、言われてみれば当然なのだが意外だったし。お仕事自体はそう以外ではなかったが限られた予算の中で、の工夫は素晴らしい。
刑務所ならではというか、平等というのが無茶苦茶重要だったり、調理を行うのも「受刑者」なので、事故も事件も起きないように、塀の外とは全く違う気配りも興味深い。
何より、描かれるその「受刑者」が素直で極めて魅力的なのだ。
彼らは「犯罪者」なのである。
著者も書かれているが、描かれているのはほんのその一面に過ぎないのだが、色々と考えさせられる。
この本を出すことの功罪を、少なくとも出版の時点で咀嚼しきれておられないようだったし、周囲からの反対意見もあったようだ。もちろん、個人とか罪とかは特定されていないにしろ、被害者の方、その家族の方が読んで、どう思われるかも難しい所かもしれない。
それでもなおと言うか、だからこそ、というか、いい一冊になっていると思う。
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この本を通して、刑務所栄養士のお仕事は、『食を通して、人と向き合うお仕事』だなと思いました。
栄養士の世間一般?的なイメージは、きっと「献立を考える人」だと思います。
でも、それ以外にも食材を発注したり、食材のチェックをしたり、調理のサポートをしたり、と多岐にわたる業務なのが、栄養士さん。
その仕事を、「こんなもんでいいや」ではなく、少しでも食経験を美味しく、豊かにするべく、許される範囲で日々尽力されているんだな、ということを感じました。
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読了しました。
■なぜ手に取ったのか
私が主催しているグループのメンバーの方が著者です。
夢を共有し、互い行動を讃えあうグループに参加いただいている著者の
夢が叶い生まれて初めて出版されたため手にした本です
■何が語られていたのか
著者は男子刑務所の管理栄養士という、
とてもインパクトのある職業に就いておられます。
現場に実際に勤めている方目線の感情や思い、そして受刑者や同僚の
刑務官とのエピソードなどが多く乗っています。
刑務所の食事は受刑者が作るということが、まずは驚きです。
著書では、ある料理をつくること際に、理由もわからずレシピに
忠実に従い調理する受刑者と、著者とのやり取りが面白いです。
・八宝菜にあるうずら卵を平等に分ける課題、
・長い過去からやってきて調理法を変革して生産性向上
・ポテトサラダがベチャベチャな理由を突き止める
・予算内でおさめるために献立会議があり物価高騰で悩みがつきない。
・みょうがはどこまで剥くのか問題 etc…
のような、随所に笑えるネタがたくさん掲載されています。
当の関係者はいたって真面目。だから面白い。
数多くの調理エピソードからは、様々な受刑者という立場や、
刑務官という役割など、とても人間味あふれる内容が語られていました。
■何を学んだのか
単純な「ムショのめしはくさい」に都市伝説的なキーワードに対する、
アンチテーゼ的な内容ではありません。
著者はもちろん受刑者、刑務官という「生身の人」が抱く感情が、
背伸びせず、フラットそして赤裸々に綴られています。
刑務所は罪を犯した人を矯正する行政機関です。
多くの方は、加害者でも被害者でもないのですが、実際どういいうことが
行われていて、どんな気持ちで日々を過ごしているか。
刑務所の食事といった一面的な切り口ではあるが、ありのままの姿の
人間ドラマがそこにはあり、一人ひとり思いがあることを感じました。
人が罪を犯し償う。
っということはこういう事がこういったことなんだと思うとともに、
それにかかわる関係者に対する有難みを感じました。
■どう活かすのか
刑務所で大好評だった「いかフライレモン風味」をレシピ通りに作ってみたら
とっても美味しかったです!
これが刑務所で出されているのかっ!という気持ちにさせてくれる本でした。
■どんな人にお勧めなのか
管理栄養士、刑務所の実態を知りたい方、公務員になりたい人、
本で笑いたい人にお勧めの本です。
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日本経済新聞「春秋」から
バナナが出せない?何故⁈
ほとんど知られていない刑務所の給食事情。
刑務所栄養士として配属された筆者。
「どんぶりぜんざい」や「カップ麺」などなど、ウーンとうなされたり、時にはフフフッと笑わせたり、興味深く読むことができた。
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とてもとても面白かった。
小説と思って読んでいたら違った、という思い込みから始まったけど読めば読むほど引き込まれた。
刑務所という人生で関わることの無い空間について知ることが出来た。
食べることは生きること、それが刑務所にも当たり前にあることに改めて気付かされた。
こんなにもあたたかく、なのに少しだけせつないのは刑務所という場所だからなのかな。
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知られざる刑務所の食事事情。刑務所栄養士が明かす塀の中の世界。
単調な生活であればあるほど楽しみは食事に限られる。予算も限られカロリーも固定、トラブル防止のため、量も統一。そんな制約の中から少しでも食事を楽しんでもらおうと奮闘する栄養士。
オリジナルメニューが魅力。「獄旨ドーナッツ」のネーミングに爆笑。
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小説と思って手にとってしまいましたが、読んでいると刑務所の中での出来事など気になるないようをたくさん知ることができ良かったです。
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めざせ!ムショラン三ツ星
刑務所栄養士、今日も受刑者と
クサくないメシ作ります
著者:黒柳桂子
発行:2023年10月30日
朝日新聞出版
著者は管理栄養士だが、岡崎医療刑務所に勤務する法務技官。つまり、刑務所に勤める公務員。本書の内容は、刑務所内部の話ばかり。いくら管理栄養士、料理の話とはいえ、公務員の守秘義務もあり、ましてや刑務所の内部情報ということで、普通なら出版できないのだろうから、恐らく刑務所側のPR意図があって書かれたものだろう。
料理なんかしたことがない若い受刑者たち。彼らが、とても「常識」では考えられないような調理をする様子や、こわもて&刺青のいかつい外見で甘いものに飢え、「美味しかったっス」と喜ぶ姿。彼らには「○○しろ」と命令口調で言い、不用意に笑い顔を見せこともできないが、心の中での交流や、彼らが喜ぶ様子にやりがいを感じる著者の心情など、知らなかった刑務所内部のことを含め、なかなか面白い一冊だった。刑務所内で考えたレシピも、いくつか写真付きで紹介されている。
老人施設や病院勤務などを経て、2012年に競争率30倍の試験をパスし、刑務所の管理栄養士試験に合格。刑務所の食事は、給食のおばさんたちが作っていると思っていた著者は、岡崎医療刑務所に話を聞きにいってびっくり。献立を考えて、おばさんたちにではなく、受刑者たちに作らせる。勤務するのは男子刑務所で、女性の刑務所栄養士は何十年ぶりかだという。暗黙のルールは1点だけ、スカートをはかないことだという。前職の学校勤務は3月までだし、離婚して2人の子供がいるし、今更辞退もできない。
刑務所の食事(給食)は、受刑者たちが作るけれど、それは自炊ということではないようである。この本によると、工場で作る。刑務所内にある炊事工場、略して炊場にて勤務(刑務作業)する受刑者たちが作る。ここに配属されてくるのは、体力があり頭もいい〝エリート〟だという。反抗的、情緒不安定、素行が悪い、といった者は配属されない。火や刃物があるし、盗み食いや他の受刑者への嫌がらせの心配もあるかららしい。決して楽ではなく、若くて健康であることが必須条件で、作業報奨金の時給が他の工場に比べて高い。平均で月4000円、多くて1万円。毎日、風呂に入れるのも特権(しかも専用浴場あり)。ただし、残業があり、その場合はお菓子が出る(自分たちで作ったもの)。
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地域や規模によるが、通常の食事は1人1日あたり約520円の予算。副食が423円、主食が100円程度。10年ほど変わっていない。
「給食にバナナを出すのは好ましくない」と言われた。バナナの皮からタバコだ出来るため。(コンセントで火花を出して)火を着けようとするから、アルミ泊で包んだチーズなんかもだめ。セロハンに包んだものにする。
レトルトや冷凍食品もよく使うが、牛肉コロッケ(冷凍)は、名ばかりで、段ボール箱には堂々と「牛肉0.03パーセント」と書かれている。これで牛肉コロッケと名乗っていいのかとも思った。
ゆで卵の殻がむきにくくなる原因は、白身��含まれる炭酸ガスが加熱で膨張して薄皮にひっつくため。ゆでている時に炭酸ガスが抜けるよう、卵の丸っこい側にスプーンなどでヒビを入れるとよい。
年末、途絶えていた年越しそばを復活させたくて、カップ麺を出すことにした。夕食の後に居室で出す。それぞれに熱湯を注ぐわけにいかないので、通常、お湯を入れて5分待つところを2分で切り上げ、カップ焼きそばのようにいったんお湯を捨てる。全食分スープの素をお湯で溶かしてつくり、湯切りしたカップ麺が配られたあと、そこに注いでいく。それまでに余熱で麺は柔らかくなっている。配られる間に1時間ほど放置されるため。何分で湯切りをすべきか、その時間を調べるために著者は人生ではじめてカップ麺をダース買いして研究した。何個食べたことか。著者は3分だと判断したが、炊場勤務の1人が2分でいいっスよ、と言うのでそのようにした。
刑務所内で事件やトラブルを起こした受刑者は、取調室に入らないといけない。それがあると仮釈放が遅れる要素となる。仮釈放(卒業と呼ぶ)の近い1人の受刑者は、以前、取調室に入った経験があった。ちくわの磯辺揚げを作っているとき、ちくわに付ける揚げ衣を自分たちの分だけ二度付けして仕上げ、他の工場のものより5割増しくらいの大きさにした事件を起こしていた。心配したが、無事、仮釈放された。
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刑務所の中で3食の調理をするのは、受刑者たちだった。黒柳さんは管理栄養士(法務技官 岡崎医療刑務所勤務)として勤務。メニューを決め、食材を手配し、受刑者たちの調理を監修する。包丁や火を扱うので、炊場(すいじょう)に来られる受刑者は厳選される。
その包丁を持ったこともないものも多く、調理指導は仔細に渡り指示しなければならない。一口大ってどんな大きさ?茗荷はどこまで剥くの?
夏は高温多湿、冬は極寒の炊場で調理される食事は、1日あたり(1食ではない!よく間違えられるそうだ)1人520円の予算。たまに行事食として出されるお菓子の予算は60円。摂取できるカロリーも、仕事の種類などで決められている。そこを計算して食材や調理方法を工夫するのが仕事だが、かなりの制約があることは想像に難くない。あんこやカスタードクリーム、ドーナッツだって低予算の中で工夫して手作り。もちろん、作るのは受刑者自身。
エピソードはどれも面白く、へぇ〜!という驚きに満ちている。決して豪華ではないが、美味しそうなレシピまでついているから驚く。
黒柳さんは受刑者たちの「美味かったっす!」の声を励みに、多分今日も仕事をされている。
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知らなかった。刑務所のご飯を受刑者が作ってるなんて…でも3食きちんとちゃんとしたものを食べるって大事な事だし、美味しいご飯があればがんばれる事もある。そういう気持ちを教えているんだなと思う。
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刑務所の栄養士事情という、あまり聞かない話で興味深かった。特に炊事場で働く受刑者の割り振りや、刑務官らに対する栄養士の立ち位置、受刑者とどの程度までやりとりできるのか、などが知れて面白かった。合間に、著者の過去に行っていた活動である、男性向け料理教室での話もなるほどなと思いながら読めて良かった。
しかし、菓子選びで安全面で明らかに駄目であろうフエラムネを提案してみたり、カボチャは嫌いだから今まで一度も検食で食べたことがなかったり、〜でいいっすわという話し方にカチンときて口が悪くなったり、首を傾げたくなる箇所もあった。
学校給食が刑務所飯以下だ〜と言われていた時事ネタなども後半で出てくるが、「そうゆう話もあって憤慨したものだ〜」程度のコメントで、深く説明がなされないのが残念だ。
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想像していたのと違いましたが
為になりました
知らない世界の話で色々な苦労を
読みやすく書いてあるので
最後まで読めました
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面白かった。刑務所内の食事情や炊事場の面白エピソードから、更生ってなんだろうみたいなハードな話まで。
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カテゴリとしてはエッセイなのか何なのかよくわからないが、図書館的には3類(社会科学)だった。
料理エッセイ的な内容があったと思えば、急に法的制約の話や料理の科学的な材料がどう変化していくかとか、そういう話も入ってくる。
ああ栄養士さんだなとか、役人さんらしいとか色々な面が見えてきて特殊な職業についている人の事情が知れて面白い。