投稿元:
レビューを見る
リアルな生活の孤独感や劣等感を埋める為に拓人は裏アカウントを作成し、そこを心の闇のはけ口にしていた。アカウントを幾つも持つ事が悪い事だとは思わない。リアルな関わりからのストレスから逃避したい気持ちは自然なものだと思う。ただ裏アカウントを作成したからと言ってそれで全てが解決するはずもなくて、そこに愚痴や他人の悪口を書き込んでも結局は自分の中に吐き出している事にしかならない。自分が思っている事は多分、自分も他人からそう思われている。自分が言った事は多分、自分も他人からそう言われている。そう思う覚悟が必要だと感じる。
投稿元:
レビューを見る
『チア男子!』を読んで面白かったので、直木賞受賞とのこともあり、購入。
『チア男子!』に比べるとテンポ感がないけど、主人公やそれを取り巻く人物の心情の描き方がうまいなーと思う。
最初は、この話はどこに向かうんだろう?と思った。就活というテーマの小説ではあるけど、読んでくうちに、就活というテーマはツールでしかないのかな、という感じがあったので。
結論から言うと、就活はツール。
本筋は、現代社会の若者の現状、でしょうか?いや、現代社会の若者に限らないかな。最後の瑞月さんや理香さんの言葉は突き刺さる。
投稿元:
レビューを見る
最初から中盤までは
やたらスタイリッシュな就活生たちを
書いた作品だなー、という印象しか
もっていなかった。
終盤を読んでかなり印象が変わる。
就活に限らず、自分が「何者」かを
見失っていることはよくある話。
斜に構えて他者や大きな何か(政治や有名人)を
批判する発言について、自分はどこの立場から
発しているのかわからなくなる。
このwebサービスでも確実に何様だっていう変なレビュー残してるし(汗)
逆に、自分の立場が周りから見ても
明確になっていると、
自分自身の理想とのギャップに悩まされたり、
外部からの集中砲火を浴びせられたりと
辛いことも多い。(ネット社会はその辺がエグそう)
それでも自分の立場である以上、
その場で踏ん張ったり
虚勢でも示しをつけたりせんといかんのかなー、
と思わせてくれる作品だった。
あと、この作品を読んだ後に
各SNSでアカウントにおける
メールアドレスからの
検索許可の設定を確認したのは
自分だけではないはず(笑)
投稿元:
レビューを見る
あぁ、読み終わってしまった。そんな風に今寂しく思う。決して長い時間読んでいたわけではなく、自分でもびっくりするほど続きが気になって一気に読んだ。拓人や光太郎、瑞月、理香の生活の続きがもっと見たい。そんな名残惜しさが読了後に残った。
私は裏アカ作って発信したりはしないし、カッコ悪く頑張る人が嫌いじゃないけど、拓人とは似たところがあると思う。観察者になっちゃうところとかSNSで全てを語ろうとする人を敬遠しちゃうところとか。だから理香の言葉にドキドキさせられた。
自分は何者なのか。きっと今の自分も単なる自分で、これからの自分も相も変わらず自分なのだろう。
朝井リョウという作家。私と同い年で同じ大学で隣の学部だったけど接点はなかった。なんとなく読むタイミング逃してたけど、他の作品もよんでみたい。
あ、あと個人的にはギンジのこと、もう少し描いて欲しかったような気もする。
投稿元:
レビューを見る
就活を舞台にした「意識高い系」と「評論系」の戦い。
個人的に「がんばってる」アピールの強い人が苦手なので、終盤まで痛快な気持ちで読み進める。でも、最後にガツンとやられた。種類の違う「痛い」人たちの苦しみが描かれていたというオチだ。
twitterで色々発信している人が読んだらどんな感想を持つのか興味がある。
投稿元:
レビューを見る
朝井リョウの作品を初めて読んだ。面白かった。さすが直木賞受賞作。
最初この本を手に取った時は、「言葉遊びの好きな若い作家が、自分の言葉の選ぶセンスいいだろ!」的な作品だと思って読み始めた。その域を超えて面白かった。
特に最後のスピード感、息苦しさはすごい。
自分も8年前に就活を経験したが、当時のことを思い出した。就活の難しさ、あと少しの面白さ、がうまく書かれていた。
朝井リョウをいう作家は非常にひねくれていて、社会を斜に構えてみていて、いやらしくて、頭の回転の速い、作家なんだなと思った。
今後も、朝井リョウの作品を読んでみようと思う。
最後、おもしろかったとこのメモ。備忘録。笑
「ツイッター等の短い言葉で、その中で選ばれた言葉が、選ばれているかが重要で会えるかと感じる。しかしそうではない。電話のように、リアルタイムのやり取りの中で、かわされた、ツイッター等で選ばれなかった言葉の方が、よっぽどその人の言葉を表している。その発言の裏側に対して、想像力を働かせる。」
「今までは自動的に区切られてきた。小学→中学→高校→大学。その先は、自分で動かないと「名前=肩書」が変わらない。」
投稿元:
レビューを見る
まさに周りが就活中、来年は自分の番であるのでつい身近な内容だと思い手をつけたこの本。P299の12行目から一気に読み進めるほどでした。ネット世代の私たちにとってリアリティのある内容でドキドキしました。
2015.7.7
投稿元:
レビューを見る
就活がテーマの小説だと思って読んだけど、若者のインターネットに関する意識とか問題も浮き彫りになっていて面白い。私が大学生の頃とは、環境がまた変わってきてるよなぁ。。
投稿元:
レビューを見る
「自分と全く同じ高さで、同じ角度で、その線路を見つめてくれる人はもういない」
就職活動って、まさにそういうことを意識するための瞬間というか、私たちが覚悟を決めるための機会なんだって思います。
自分の人生ってこれからどうしていきたいんだろう、どういう選択がベストなんだろう。
考えても考えても、時間しか答えを与えてはくれない。間違えて初めて、やってきたことが間違いだったと気付く。
その間違いも、人それぞれです。誰かの間違いは、誰かにとっては正解だったりして。
これから入る会社は、私たちの最終ステータスになり得る会社。
だから、知名度とか、年収とか、自分を大きく見せられるような要素が気になって、大切なところを見失ってしまう。人より優位に立っていたいって、無意味すぎるプライドが先に立ってしまう。
「人生の負け組」みたいになるのが怖くて。
そういう人ってたくさんいると思います。
言葉には出さない。
言葉には出さないけれど、そういう風に見えないように、でも匂わすようなツイートをしてみたり。
私も、そういうツイートを、書いてはキャンセルを押し…って 右往左往する。
誰も気にしてないフォロワーの数とか、
誰も気にしてないお気に入りの数とか、
気にされているようで実は自分の立ち位置を確認したいがために聞かれている内定の数とか、
いつどうなるかわからない社会の中にある内定先とか、、、
気にしてしまうのが就活生で、気にしてしまうのが人間で、でもそのまま、「カッコ悪い」ってことを認めて、足掻いていかなきゃいけないんだなって深く感じた一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
巻末書評を読んでやっと、作者が読者の視点をコントロールして爆弾を落としたことに気づいた私は、まんまとやられた。
投稿元:
レビューを見る
現代社会に生きる若者の心情を忠実に表している。主人公に自己投影していたので、読み終わったあとに考えさせられることがあった。
投稿元:
レビューを見る
最後の結末にはドキッとした。
少し恐怖すら感じた。人間の嫌な部分に。
何者にもなれない自分を肯定するために
他人を否定するしかない。主人公が追い詰め
られていく様子はまるで自分が追い詰め
られていくようなそんな感覚にも思えた。
ひぃ。
投稿元:
レビューを見る
身につまされるような最高の痛々しさ。自分自身の就活なんて遠い昔のことなのに、字を追う目も繰る手も止められなかった。何者になるのか、何者になれるのか、きっと私は答えが出せない。
投稿元:
レビューを見る
震えた。自分には理香っぽい肩書き主義みたいなところも、拓人っぽい人を離れたところから観察して冷ややかな視線を投げかけるところもあるなあと改めて感じた。いわゆる「意識高い系大学生」が苦手でそんな彼らを見下しているような気持ちがなかったと言えば嘘になるけど、自分が不快さを感じたりするポイントは自分が心の奥底で自分の一番直さなきゃって自然と思ってるポイントなんじゃないかと思い始めてからちょっと考え方が変わった。自分が今、大学でことばを扱う勉強をしているのにもかかわらず、ことばに対して鈍感だったか、選ばれなかった言葉に対する配慮がなかったかを痛感した。
なんか、このレビューすらもうまくまとめられないくらい自分のなかで感情がぐちゃぐちゃしてる。でもそれくらいネット上に言葉を発信するうえでの意識が変わるってことなのかも。
投稿元:
レビューを見る
就活生がリアルに描かれている。
認めたくない自分の感情と向き合って確かめたような感覚になった。
光太郎のような人間になりたいけどきっと私にはなれない、そう思った。