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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
完成度は高いけど、深いようで浅い…。人間の醜さは正直だれでも書ける。その中から垣間見える強さと弱さを書けるようにならないと。単行本ではなく、文庫本を購入してよかった。
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直木賞受賞作。映画化もされて話題の作品。
この臨場感のある文章と、的確に捉えた人間観察眼を
年下の人間が表現しているのは認めたくない。
凄い。
派手な出来事やインパクトなどは起きないけれど、
日常の平凡さの中に潜む葛藤や違和感を見事に人間ドラマにしていて圧倒された。
フィクションとして読んでいると、ある時から自分の人生が作品に取り込まれてしまい、もう人ごととは思えない自分のストーリーになっている。
読後、”仕掛けられた!”と敗北を認めるしかない良作。
読むべし!
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途中までは何でこの作品で直木賞だったのか(別の作品でもいいのに)と疑問に思ったけど、最後の数十頁で納得。
TwitterやFacebookが当たり前になった世代、そんな大学生の就職活動。エントリーシート、面接での自己PRとSNSでの自分発信。自分は何者なのか、人と違う点は何なのか。自分の就職活動と比べて、やっぱり文系は大変だなと思った。
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初・朝井リョウ作品。直木賞受賞作。
上手い。
正直、この手の文体は苦手。若者言葉を多用しすぎというか、後世に残らない今時の本というか。最後の理香の怒涛の語りが始まるまでの評価は☆3。でもそこからページを捲る手が止まらなかった。暴かれた自分に恐怖を覚えた。
誰にでも人には知られたくない「裏の顔」があると思う。それに対し、面接では造り出された「表の顔」を評価される。みんな同じようなスーツを着て、個性を消す。ダメな自分はオブラートに包んで。
私にもあると思う。だから読んでて心が痛い。
今の時代は便利だけど、生きづらい世の中では?と思う。Facebook、Twitter、LINE。これらに縛られて、飄々と生きているように見せかけている。でも本音は別のところにある。表面だけじゃなく、本当のコミュニケーション取ってる?
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「あー、わかる、わかる。」って学生のころを思い出してさ。ダサいとかカッコ悪いとか言って、拓人(主人公)と同じ観察者なんだ。自分。
別の自分作ってて、がむしゃらに何かをしたことがない。恥ずかしいって思ってしまってる。
自分は物語とは全く違う環境や友人だけど、こころのなかを見透かされたような気がした。
自分を頑張ろうと思う。
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何者 朝井リョウ
「ほんとうにたいせつなことは、ツイッターにもフェイスブックにもメールにも、どこにも書かない。ほんとうに訴えたいことはそんなところで発信して返信をもらってそれで満足するようなことではない。だけど、そういうところで見せている顔というものは常に存在しているように感じるから、いつしか、現実の顔とのギャップが生まれていってしまう。ツイッターではそんなそぶりみせてなかったのに、なんて、勝手にそんなことを言われてしまうようになる。自分のアイコンだけが、元気な姿で、ずっとそこにあり続ける。」
「10点でも20点でもいいから、自分の中からだしなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。100点になるまで何かを煮詰めてそれを表現したって、あなたのことをあなたと同じように見ている人はもういないんだって」
「そんな誰もいない場所でこってりと練り上げた考察は、分析は、毒にも薬にも何にもならない」
「どれだけちゃんとスーツ着てても、どれだけもうひとつのアカウントを隠していてもあんたの心の内側は、相手に覗かれている」
「ほんとうのことが埋もれていく。手軽に、気軽に伝えられることが増えた分、ほんとうに伝えたいことを、伝えられなくなっていく」
インターネットの普及によって、外見の自分というのがより誇張され始めてきたと思う。
昔では日記やノートに綴っていた書評や日記や友達との思い出がいまではSNSを通し、だれでも見られるようになっている。
思い出の共有という観点から見たらそれはとてもいいことだと思う。しかし、その思い出を反芻したり、深めたり、自分と対話したりして、自分や相手のことを考える時間が減っていないだろうかと思ってしまう。
斜に構えるだけではなく、当事者としての意識が大切なんだと感じた。
就活のリアル。SNSのリアルがここに色濃く描かれている作品だと思います。
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若い頃ってなんであんなに人と違う生き方を格好いいと思ってしまうんだろう。今ではすっかり平凡な毎日に憧れるのに。と感じさせた一冊。
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2015.06.27 読了
文庫の発売日に購入して一気に読む
後味が悪いとかじゃないけどなんとなく敗北感。
すごいなぁ。面白かった!!
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就活って大変だなーと思いながら読んでいたら、思わぬ事実を突きつけられぎくり。身に覚えがありますね。
ずっと主人公拓人の目線から話が進んでいくのですが、端々に感じていた違和感が最後にグワーッとやってくる。そこがうまいのと、企業就活、SNSの経験がない私でも感じずにいられない後ろめたさ。
朝井リョウ面白いなあ。
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こわい!読み終わったあとの感想はこれに尽きる。
就活中の学生たちとSNSの中の取り繕われた自己表現、今流行りの「意識高い系」を揶揄する内容かと思いきや、最後のクライマックス、傍観者と当事者が逆転する、構造が緻密で凄い。
cakesで『武道館』についてのインタビューが出てて、気になったのでまずは文庫化しているこれを読んだけど、読んでよかった。
本当の自分、とか見られている自分、とか遠くから批評するだけじゃなくて、何者にもなれなくてもそれでもあがき続けること。そんな人たちに対する朝井リョウさんからのエールのように感じた。
私も口先だけにならないように気をつけなくちゃ。
って言っているこれも見せかけだけかもしれないよ?
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朝井リョウさんの本はいつも読んでいるけど、何者だけは手がだせなかった。就活の本なんだもん。自分もまさに就職氷河期に就活してたから、そんな辛い本読みたくなかった。
読む前は、友達から「就活の本だよ」ってきいていたので、もっと就活の厳しい状況が描かれてるかとおもえば、就活の描写はあんまりなく、人間にスポットをあてた話でした。でもほんとに就活生の心情とかを見事に表現しているなと思いまし
た。
最後の解説も的を射てとてもよかった。
ラストの終わり方は、そうだよな。こう終わるしかないよな。とおもった。だって、就活の正解なんてないもんな。書かなかったじゃなくて、書けなかったんだろうな。
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就活を控える身として読みたいなと思って読んだ本。就活がとても不安になった一方、今ある自分でしっかり足掻いていこうと思えた。
人間関係の奥底にある人の見たくないところや見せたくないところがリアルに描き出されていて、すこし怖さを覚えた。
自分自身の悪いところをより実感してしまったような気がする。
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あーおもしろかった!終盤につれてどんどんと体温が上がっていくのを感じた。
序盤はツイッターの文章と現代、過去の時系列がよく分からなくなったりしてたのだが、それは伏線であり読み切るころにはすべてがすっきりと収まってしまった。
就活、SNSを物語の軸として人間関係を描いたのはすごいと思った。
主人公と自分は似ているなあ、と感じた。努力している人を笑い、かっこばかりつけて泥にまみれられない自分のちっぽけなプライドを守ろうとしているところなんかとくにそう。
この物語のほとんどは主人公の人間観察による一人称で書かれており、それがのちの展開へとつながる。
隆良や理香みたいなタイプは私もあまり得意ではない。けど、勝手にその人にレッテルを貼って、それ以上見ようとしないのはもっと悪い。結局、自分自身のことが一番見えていないのだ。
P299〜はぜんぶ自分自身に言われているように感じた。
想像力。人を決め付けず、その行動・言葉・表情にあらわれる全てを受け止めていきたい。
そして、何者にもなれない自分をまずは認めていきたい。
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就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎のライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから-。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて…。直木賞受賞作。
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自意識を暴かれて、何も身に纏うものがなくなって弱った自分を見せつけられるような、ある意味残酷な物語。
でも、それと同時に「みんなだってそうだよね」とも思える安心感。
さすが朝井リョウ!の一言。