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386P
初刷:昭和58年1月25日発行
(以下平成20年12月改版の情報)
印刷:錦明印刷(株)
製本:錦明印刷(株)
カバー装画:西口司郎
カバー装幀:多田和博
最後の一文:「悲鳴が密室の手術室いっぱいに響いた。」
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上巻の「偶然による展開」に大笑いしていたが、下巻はこの偶然が一箇所にまとまっていき、感動した。
結末はホラーである。
あまりに救いがなさすぎる。
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銀行の架空口座から7500万を横領した元子は
それを元手に銀座でバアを開くことにした。
しかし思ったほど売り上げは伸びず
今度は産婦人科の楢崎の隠し預金を調べ上げて恐喝。
彼をパトロンにしていたホステスの波子は激怒し、
元子を銀座にいられなくしてやると宣言して去った。
さらなる店舗の拡張を図る元子が次に目をつけたのは
医大専門予備校の理事をする橋田の裏金だった。
彼に出させた金で銀座の一流クラブを居抜くのだ。
カバー装丁:三尾公三
絶対どこかに落とし穴があると思いながらどんどん読める。
特に下巻の元子は危なっかしくて見てられない。
銀座のきらびやかさよりは裏の話ばかりで
現実的な反面もっと対比できる豪華なシーンがあってもよさそう。
こういう登場人物全員悪者っていう話は落としどころが難しいですよね。
誰かがいい思いをして終わるのはちょっと…
この作品は元子が可哀相かな、とも思いつつまぁしょうがない結末です。
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怖い!!!!!
ドラマから入ったクチです。米倉涼子の元子のイメージが強かったので、あんまり美人じゃないところとか、女性としてバカにされるところとか、ちょっと切なかった!
最後もなんだか救いがないし。ま、因果応報ということを言いたいんだろうけど、寄ってたかって実際にうらみのないはずの人が主人公を陥れるところとか、なんか、じゃあコイツらはどうなのよ!みたいな気にもなりました。
「わるいやつら」とかにも共通するけど、人をだましたりする人には心底冷たい感じがします。恨みってこわい。
でもあの集団にギャフンと言わせてやりたかったわー
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業が深すぎて、何とも言いようがない。人間関係と最初に登場した画家の使い方をもう少しひねればなお良かったと思う。元次長の村井を絡めるのは偶然すぎる気がする。
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夜の街のギラギラした感じと、そこへ飛び込み、“黒革の手帖”によってのし上がり、また転げ落ちていく元子のアップダウンの激しさが、印象に残った。人の恨みは理不尽で怖いものだと思った。また、見栄を張ると碌なことにならないと思った。
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初の松本清張作品。
さすが、没後も人気の作家なのが理解できた。
使われている単語や言い回しがとても好きだ。時々難しいが。
内容は、、、まだ数日は後を引くであろう、恐怖が残った。
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どす黒い・・・。
読み終わってまずそう思った。
壮絶な復讐。
金に溺れるといいことないね。
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上下巻を読みました。推理小説ではないのですが、サスペンス性は充分あります。以前に確か米倉涼子主演でテレビドラマにもなっていましたね。
ベテラン銀行員だった原口元子は預金係という立場を利用して、7500万円を横領したのですが、脱税を目的に無記名や仮名で預金している顧客をかかえていた銀行側の内部事情を利用して元子はそのお金を返さずに隠密にもらったのでした。
そこには、彼女がこっそり詳細に顧客リストを記録していた黒革の手帳が存在したからでした。
変化のない女子行員だった元子が横領したお金を元手に転身を図ったのは、銀座のクラブ経営、いわゆる夜の蝶、バーのママになった元子はパトロンをもたない不安もある中、次の標的をみつけようと欲望を膨らませ策略を廻らすのでした。
この本の初版が昭和58年になっているので、およそ30年前の時代背景ですから銀行預金者の無記名や仮名での脱税の手口、またこの後に登場する医学部の裏口入学にからんだ話などは、ちょっとひと昔前の話といった部分もあるにはあるのですが、このヒロインの執念には凄みを感じました。女性ながらここまで事業欲があるのなら、もっと正当な手段で実現できなかったものかと思うのですが、この時代女性はなかなかまともに事業を興すのは難しかったのだろうと考えると哀しくもなりました。
上昇し続けていた元子が転落していく様はあっという間で、最後の場面は
寒気を覚えました。
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主人公が夜の世界で駆け引きの中をのし上がっていく…という話だと思っていたんですが、正直ちょっと違ったという印象。
単純な言い方をすれば、主人公が欲望のままに他人を騙し続けた結果、最後にストンと没落するという話。終盤に至るまでは案外に単調な展開が続くので、緻密な駆け引きなんかを期待していると少し裏切られる。
以下、普段読まない社会派を読んだ、という意味での感想。
本格好きとしては、もうちょっと伏線を張ってからラストに繋げれば面白いのにと思ってしまったが、そもそも清張はそういう方向で物語を作っていないんだと思う。恐らく実社会への告発という側面が強いんでしょう。
評価が低いのは、単純に自分が社会派向きでないからだと思う。ただ「本格が好き・社会派が苦手」というのは「本格が優れている・社会派は劣っている」という発想とは全く異なっている。長嶋と中田を比べても意味が無いのと同じで、その意味で「本格」というネーミングには問題があるのではないか……
などとごちゃごちゃ考えた作品でした。
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初めて松本清張の作品を読んだが、評判通り面白い。巨匠と呼ばれる人には、呼ばれるなりの理由があるんだなと思う。
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勤め先の銀行から横領した大金を資本に、銀座のままに転身した主人公。
銀座を舞台に夜の紳士たちを獲物に女性の欲望が渦巻く物語。
ん~、地味な銀行員だった主人公が銀座のママとなって奮闘してます。
本当に奮闘しています。
思わず応援してしまいます。
でも、でも分相応以上の欲望は持っちゃいけないなと恐ろしさを感じます。
主人公に恨みがあった銀座の紳士たちが反撃に出ます。
応援したいところだけど、ん~世の中怖いね~と。
世の中の怖さを知りたい方にオススメの作品です。
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元子はどこまで黒い世を渡っていくのだろう。
血も涙もなく、計算高い人間ならば、裏の手を使って人を脅してでも成功をつかめるものなのだろうか。
現状に決して満足をしない彼女は、次々に利用する標的を探していきます。
なにかもう取り付かれたよう。
家族を持たず、守るべきものは一切無い彼女をそこまで動かすものは何なのか。
この作品では、そういったセンチメンタルな情緒は皆無であるため、彼女の本当の思惑についてはわかりません。
おそらく著者は、ヒロインの動機付けには興味が無く、とにかく計算づくでダークな世間を動かそうとする、欲深い一人の女性を描きたかったのでしょう。
それでもやはり、彼女の暗躍に限界はありました。
好意を抱いた男性の登場で、ようやく彼女の人間らしく、女らしい側面が引きだされるかと思いましたが、愛らしさや幸せではなく嫉妬や焦りといった負の感情が書き込まれています。
とことん、作品に明るさや安定を入れないことにしているようです。
結局その男にも裏切られ、脅すつもりの男に脅され、八方塞となった彼女。
女同士の罵り合いのひどさには目を覆いたくなりました。
「パン助」なんて侮蔑語に、時代を感じます。
一番ぞ~っとしたシーンで、突然のように物語は終了。
これで終わり?と、納得できずに、巻末の新刊宣伝ページまでくくって確認しました。
なんて恐ろしいエンディングでしょう。血の気が引きます。
それでも、最後まで共感できなかったヒロインには、因果応報や自業自得という言葉しか浮かびません。
人を陥れて自分がのし上がろうとする人は、手痛い報復を受けるという命題が、ラストシーンで浮かび上がりました。
強欲まみれの人々の織りなすどろどろの闇の世界。
救いがありません。
自分に見合った人生を、殺意や恨みをかうことなく送るのが、人にとって一番幸せなことでしょう。
元子にしてやられ、制裁しようとする男たちも、明日は彼女と同じ立場になるかもしれないのです。
彼女のように欲深く、きらびやかな世界の裏で騙し騙されながら生きている人は、実際にいるのだろうと思えるほどの、迫力に満ちた物語でした。
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面白い。
何が面白いかって?
主人公がハッピーエンドで終わらないとこ。悪の塊なので、当たり前っちゃ、当たり前かもだけど、あまり見ない小説の終わり方だけに、GOODでした。
医学部予備校、ブラックだ〜
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上下とも読了。改版じゃないけど。
なるなる。原作はこうなっていたのね。米倉リョウコがやったドラマの印象が凄く強かったので、元子は完全に米倉リョウコだった。
うちはドラマの方が好きだな。悪女だけどとことん上まで登りつめるのは見ていて心地良かったし。原作だと、そこで終わってしまうのか?と待ったをかけたくなってしまったし。纏まりとしてはその方が良いんだろうけど。