投稿元:
レビューを見る
評価は3.
内容(BOOKデーターベース)
日本でKGBの諜報活動をしていたヴィクトルは、ソ連崩壊後に解雇され、失意のどん底にあった。そこへヤクザ組長を殺す仕事が舞い込んだ。再び日本に潜入した彼を待ち受けていたものは―。警視庁外事課とヤクザを相手にスリリングな戦いを展開するうちに、やがて明らかになる日ソ時代の驚くべき秘密。
若き刑事が前向きに成長する姿を書いた小説は他にもあるが、こちらはかなり早めの時期から成長が見られるので展開が早いという意味で読みやすかったかなぁ。倉島の心の言葉を読んでいると真面目にやれよ!とも思えるほど軽い話か?と思ったが殺しの場面はリアルで残酷で・・・軽く読めば良いのかハードボイルドなのか迷った。
投稿元:
レビューを見る
曙光とは夜明けに東の空にさしてくる太陽の光であり、転じて暗い状況に見え始めた明るい兆しを意味する。『曙光の街』は今野敏の極道小説であり、KGBを舞台にした国際スパイ小説、男たちの復活の物語を描いたハードボイルド小説でもある。
本KGB特殊部隊要員だが、今はその日暮らしのヴィクトル・タケオビッチ・オキタ。元プロ野球選手だが、故あって極道に身をやつしている兵頭猛。警視庁公安部外事一課所属のノンキャリ警部補にも拘わらず公安業務に情熱を注げない倉島達夫。現状の生活に価値を見いだせない3人は、ヴィクトルのやくざの親分暗殺請負をキッカケとして、再び男たちに再び生きる意味やプロとしての目標を見出していく。
『曙光の街』は、やくざの暗殺にとどまらず、ソ連と日本のスパイ事情、やくざ社会の変化、プロの暗殺家の活動、と幅広い話題をしっかりと関係づけている。しかも、一度人生の意味ややる気を失った男たちに光を当て、再び彼らの人生を取り戻すという人間ドラマもしっかりと組み込まれており、物語に厚みが出ている。
今野敏の作品にはその芯に、プロとしてあるいは普遍的な人として忘れてはならないものは何か?という問いかけがいつも据えられている。だから、読後にはしっかりとしたものを読み切ったという達成感が残るのだ。
投稿元:
レビューを見る
日本とロシアのハーフ。元特殊部隊の兵士。山田勝。
元上司、現在マフィアから、ヤクザの暗殺を依頼。
ヤクザのボディーガードは元プロ野球選手のヤクザ。
山田はこの男に危険なものを感じた。実際に戦うと訓練をうけてないのでふがいない。殺さずに肩を撃った。
公安の罠に感づくが山田勝はヤクザ暗殺成功。
ヤクザの情婦は、公安の課長の娘。ロシア女スパイとの間にできた娘。自分がロシアに情報を流していたことを隠蔽する為に、それを知る人間を公安に処置(抹殺)を狙ったが失敗
山田勝は情婦を実父に会わせる。情婦は自分を捨てた父親に復讐するつもりが、妻と娘の姿を見てやめた。
山田勝と情婦は東南アジアの浜辺に逃げた。
元プロ野球選手のヤクザが釈放後、堅気に戻った
昔のチームメイトから仕事をもらった。ぬいぐるみ人形の中に入ってファンサービス。
自分のミスを打撃で救ったチームメイトの恩返し。
投稿元:
レビューを見る
倉島警部補シリーズ、順番が逆になったが1作目をやっと読めた。でも作中の主人公度はヴィクトル>兵頭>倉島になっていて倉島は公安捜査官として駈け出し。3人それぞれの立場や振る舞いがしっかり描かれていて、展開もスムーズで一気に読める。ただ、ヴィクトルは最後のほうで意外に甘いところが多い。2作目はヴィクトルと倉島の死闘らしいので楽しみだ。
投稿元:
レビューを見る
久々のハードボイルド系。
前から何回か本屋さんで見かけていたけど、ちょっとハードル高いかなぁと思って躊躇していたところ、このシリーズの最新刊をうっかり買ってしまい、それならと最初から読むため購入。
確かにロシア、公安などちょっと苦手なところもあったけど、ヴィクトルのプロフェッショナルな仕事に思わずページを捲ってしまった。
また倉島がいろいろと気づいて成長していくところも嬉しかった。
しかし暴力的要素もかなりあるので、ちょいちょい軽めの小説を挟みながら読んでいこうかなと思う。
投稿元:
レビューを見る
倉島シリーズの第一弾。
公安っていうところ(というか警察組織全般)はイメージでしか知らないが、倉島の意識や行動がリアルな感じがした。
エンターテインメントとしてもいつもどおりにハズレなく楽しめた。
投稿元:
レビューを見る
倉島、兵藤、ヴィクトルの3人の視点で物語が進むこの構成はおもしろいですね。読者はすべての事情を把握している、だけど各登場人物は相手のことを完全にはわかっていない、という情報の非対称性ゆえのおもしろさとでもいえばよいでしょうか。
特にヴィクトルは自身が思っている以上にすでに捜査の手が伸びているわけで、そのことに本人が気付いていないときには「いやいやい、気付かれているよ」と思わずツッコミたくなってしまいます。
ただ、本作では暴力シーンが多く、またとてもリアルな描写で相手を痛めつける内容になっている点は好みがわかれるところでしょう。個人的には痛めつけられる相手の痛みやそのときの心情、絶望感を想像してしまって、どうも居心地が悪くなってしまいますね。
各視点の持ち主3人それぞれは仕事や現在の境遇に仕方なく甘んじている、でも本作の事件を通して心に火が付いたり、新しい人生を歩んだりと、ラストでは心機一転という結末を迎える”明るさ”が暴力シーンとは対照的な本作の救いのように思えました。
投稿元:
レビューを見る
倉島警部補…公安の仕事に馴染めずに刑事に憧れ。
兵頭…元プロ野球選手ながら傷害事件が元でヤクザの道に。
ヴィクトル…元KGBながら明日の生活にも困る貧乏臭いぐらし
この3人の人間臭さが面白い。倉島シリーズのめり込みそうです
投稿元:
レビューを見る
前半は、早く組長を殺せばいいのに。伸ばすナーと思いました。 最後の展開は、面白く一気に読み切りました。
投稿元:
レビューを見る
暗殺する側、される側、そして暗殺者を追う公安の三者の視点で話が進みます
テンポよく展開するので、すぐに引き込まれます
ロシアのスパイとは、日本の公安とは、色々興味深く勉強させていただきました
投稿元:
レビューを見る
隠蔽捜査シリーズが大好きで、初めてこの倉島警部補シリーズを読んだ。こちらは公安が舞台ということで、隠蔽捜査とは全く違った警視庁の姿を教えていただいた。
舞台が変わっても今野敏さんの小気味よいストーリーは全く変わらず、この小説も他の小説同様、一気に読み進めた。
2000年ころが舞台となっているが、日本とロシア、日本と外国の「不況」についての感覚の違いは印象に残った。
主役三人の登場人物については、誰が主役でもおかしくない魅力を持っていた。
この後の作品での活躍も期待しつつ2作目を読みたい。