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10件
倉島警部補シリーズ
著者 今野敏
元KGBで日露混血のスパイ、ヴィクトルが日本に潜入した。目的は某暴力団組長の暗殺。ロシアンマフィアから“あるもの”を持ち去った報復のため、金で雇われたのだ。一報をうけた警視庁ではなぜか、やる気のない公安部の倉島警部補が担当を命じられ、標的となっている組長の方は、プロ野球選手崩れの武闘派ヤクザ・兵藤が護衛にあたる。ヴィクトル、倉島、兵藤…人生に情熱を失いかけた男達が、命賭けの戦いの中で見出したものは。人気ネオ・アクションノヴェル!
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防諜捜査
2018/12/25 23:25
公安の捜査とは?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏の警察小説である。このところ、今野の警察小説は、かなり公安関係に偏っている。今回は偏っているというよりは、公安警察の警部補が主人公となっている。警察小説と言えば刑事が登場するのが当たり前であったが、警察にも色々な仕事があるということであろうか。
主人公は警視庁公安部外事一課の倉島警部補である。倉島は選抜された者だけが受けられる研修を受けて修了した。直後に上司に呼ばれて外事一課所属のまま自らの考えて動くことのできる立場になった。費用も自由に使えるようになった。そちらの上司は公安総務課長で、ツー・ボスになった。
仕事の内容は、課題も自らが選択するもので、外事らしくロシアとの関係を志向していく。以前からロシアを担当していたので、大使館の三等書記官などの情報源を強化していくことになる。つまり、警視庁とはいうものの、実際は警察庁警備局警備企画課の指示を受け、報告するということである。
日本には諜報組織がないと言われるが、警視庁公安部がその実働部隊で、方針や計画を立案するのが警察庁という国家組織である。諜報組織といえば、スパイが頭に浮かんでくるが、まさにそのスパイ活動の中枢ということである。こういう場合は、そのような建前だけでは小説は面白くならない。具体性がなければならない。
この具体例が簡単には出せないところが作家の苦心のしどころかも知れない。今野の作品には似たタイトルの小説がいくつかあるが、相互にどのようにリンクしているのかは分からない。
ロシア人ホステスが電車の人身事故で死亡した。自由に動けるようになった倉島が早速大使館書記官等からの情報を収集し、分析すると不審な点があった。捜査は行き詰まるが、ロシア帰りの九条という中学校教師から訴えがあった。
読者は今まで縁遠かった公安の捜査にぐいぐいと引き込まれていく。なかなか読ませるものである。せっかく作り上げたキャラクターの公安捜査員、倉島警部補には再登場の上、スパイらしい活躍を今後も見せてもらいたいものだ。
ロータスコンフィデンシャル
2022/01/13 10:57
公安、警備からみた刑事部門
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏も多分野の小説を書く作家で、今回はその中でも読ませる公安、警備に焦点を当てている。この公安、警備では特定の主人公や舞台設定が定まっていないようだ。しかし、本書では以前登場した主人公が再登場している。警視庁公安部外事第一課の倉島警部補である。ゼロと呼ばれる研修を受けた公安分野のエリートである。
このエリートが前半は周囲の助言、警告などを軽視して、失策を招いてしまう。上司からは叱責され、同僚からも疎まれてしまう。本編は明らかに前回(『防諜捜査』)の続編になっており、倉島の仕事内容の解説はすでに前回説明済みという前提である。
実際はどうなのかは不明であるが、ロシア担当の倉島は駐日ロシア大使館の書記官と連絡を取り合って情報交換したりする場面が数回出てくる。スパイを直接取り締まる法令がない日本では、スパイは小説の中だけの話かと思っていたが、本書を読むと現実感が出てくる。
通常の警察小説は刑事部や刑事課が活躍し、そこに公安、警備との衝突や折衝、あるいは共同作業が出てくるわけであるが、本書では公安、警備の立場から見た刑事が描かれており、興味深いものがあった。その違いが鮮やかに描かれており、続編にも期待をつなぎたい。
防諜捜査
2024/05/09 17:52
ロシアがらみでしたね。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オハナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私達一般人にはあまり関係がありませんが、かかわるとやっぱり怖いですよね。作業班は信頼関係が大事だと思いましたね。このシリーズは初めてでしたが読んでみたいと思いました。