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全編通して泣きっぱなしだった。
5つのお話、舞台は家族葬専門の葬儀屋さん。亡くなった人とさよならするための、こだわりの葬儀屋さん。親しい人か、あるいは親しい人が大事に思ってる人の死、それらにまつわる話になる。
大切な人が亡くなる話は、これまでにもいろいろ読んできたし、観てきた、泣いてきた、でもそれは所詮フィクションであり、単なる擬似体験でしかないな、って今回初めて感じたのだ。
悲しい、もちろん。でも「本当の」ところはわかってはいない。経験していない者には。
大切な人を失って、それでも生きていかなければならない話。なんだかすごく堪えた。私には作中の皆さんのような豊かな人間関係なんてないし、馬鹿にされて悔しくて、本人の代わりに怒るような友達もいない。
死んだら二度と会えない、次はない、伝えられない、後悔しても遅い…なんて、もう耳にタコができるほど聞いた、でも頭ではわかってても…否。それは、わかってるとは言わないんだよ…
大学生の娘がいるお花担当さんの話がタイミング的にグサっと刺さった。別れた夫、理由も理由、だけど、やっぱり彼は一時は夫だった男で、好きとか嫌いとかじゃなくてやっぱり情が残っていないはずがない。
『天音を育てたのは私だって、胸を張ることもできる』
『40を過ぎたひとがやっと知ることだってある。50を越してやっと踏ん切りをつけられる過去がある』。
ていうか出てくる「夫」たちはなかなかにみんな酷い笑
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大好きな町田そのこさんの新作です。家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」を舞台に、葬儀に関わる人たちが身近な人の死とどのように向き合うのかを描いた5編からなる連続短編集です。
芥子実庵で働く、仕事と結婚の間で悩む佐久間真奈。
祭壇づくりを担当する花屋で働く、シングルマザーの牟田千和子。
芥子実庵の新入社員の須田。
夫との関係に悩む専業主婦の良子。
町田そのこさんは以前、葬儀社で働いていたことがあるそうなんです。私の大好きな『ぎょらん』も葬儀社が舞台でしたね。今作は『ぎょらん』からファンタジー要素を抜いてより現実的に、葛藤や苦悩がより普遍的なものになった感じでしょうか。
死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤や苦悩、そして決意を描いています。壮絶な話や重い話ばかりですが、それでも前を向いて生きていく姿は爽快にすら感じました。
とってもよかったんですが、今の私にはあまりハマらず…この本がハマらない私はきっとしあわせなんだろうなと。また違う時期に再読してみたいと思いました。
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就職先を決めるとき、葬儀社が良いと思ったことがあった。人の死は避けられないため、なくなることのない職業だし、事務的すぎない態度で遺族に接する職員の姿にどこか憧れを覚えた。結局、止めてしまったけれど。
本書でも、若い独身の女性が葬儀社に勤めていて、恋人や家族から仕事を辞めるよう勧められている。何も人の死にわざわざ関わることない…と。
確かにそうかもしれないが、葬儀社の人の存在が、遺族にとって支えになっていると私は思う。ましてや、自分が生前親しくしていた人に見送ってもらえるのであれば、是非私もお願いしたい。
死が怖いという感情は抱いたことがあるが、本書の葬儀社の社長のように"死恐怖症"まではいかない。社長の「怖いから遠ざけたい」と思うのではなく、怖いからこそ見つめて向き合うという姿勢に好感が持てる。
何人たりとも、お別れを言いに葬儀へ向かう人を阻むことはしてほしくないと思う。楓子や佐久間が、自分の感情に素直になったラストが、良かった。
人は皆死ぬ。貧乏でも金持ちでも。死だけは、平等。
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2023/11/08リクエスト 22
家族葬専門の葬儀社(芥子実庵)で働く佐久間真奈。
美容師の楓子は5歳年下の夫、その親からのモラルハスメントを受けていた。
新人文学賞を受賞後、苦戦してるなつめ。
この二人とは何でも話し合える、そんな中、なつめが自死。自分の葬儀をして欲しい、という願いにこたえながら自分の仕事への向き合い方の軸を見つけていく。
『今までに死人を出したことのない家の芥子の実。
そんなものは、どこの家にもない。
=それは大切な人を失ったことのない人はいない』
このエピソードが一番気になった。
たくさんの人が外からは見えなくても身体の中に隠し持ってるのだろう。
死への向き合い方は、年齢を経ても難しい。
それを仕事を通して知り、仕事に活かしていくのはもっと難しいだろう。
この本のラストで真奈がした選択は、とてもいいと思った。簡単にハッピーエンドにしてほしくなかったから。
真奈にも楓子にも、この先も仕事に悩み、なつめを思い出し、恋愛にも悩んでほしいと思う。どれ一つ無駄にはならないと思うから。
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家族葬専門の葬儀屋『芥子実庵』を舞台にした物語。
身近な人の死と向き合い、どのように生きていくかを考えさせられました。
死をテーマにしつつも前向きになれるようなストーリーでした。
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家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」を舞台とした連作短編集。
大切な人の死と向き合う時、自ずと自分自身とも向き合うことになるんだと思う。
主人公それぞれが「死」を見つめて新たな気付きを得ているところに心動かされた。
そんな最後のいい時間を過ごさせてくれる芥子実庵。未来の自分の葬儀は、こんな所でお願いしたいなぁ。
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葬儀社が舞台になっているのは
「ぎょらん」に通じるところがありますが
こちらの作品は女性について
書かれている気がしました!
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葬儀屋で働く主人公
しかし、親や彼氏にはあまりそのことに関してよく思われていないみたいで
社長は施行にある理由で参加しない
結婚のこと、どうやって生きていけばいいのか考えさせられる一冊だった
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最初の話から泣いて止まらなくなってしまった。
誰かを見送る中から考えさせられる故人や残されたものの人生、生き方。
悲しみの中から何かを導き出したり、一歩前進したり、穏やかで清々しい気持ちになれる一冊!
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悲しみや苦しみが描かれていても最後には前を向ける町田そのこさんのお話とても好きです。
両親も芥子実庵みたいな葬儀社で送ってあげたかった。
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葬儀屋を舞台にした連作短編集。
胸くそ悪い男や親などが、どの章にも出てくる。
まず、葬儀屋という仕事に対して、ネガティブに思う人がいることに驚きだった。
「芥子の実はどの家にもない」
身内が死んだことがない家はない。
自分だけが、特別な人の死を経験しているわけではない。
という箇所が一番印象に残った。
結局、佐久間は、「葬儀屋を辞めて結婚してほしい」という恋人とは別れて葬儀屋の仕事を選んだのがびっくりだった。最後はどちらも納得するような落とし所があるのかと思って読んでいたので。
自分の仕事に誇りを持って、やり甲斐を感じられることが羨ましいと思った。
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いくつか気になるフレーズが出てきたので、忘れないように記しておこうと思う。
○「豊かに生きたひとは、豊かに死ねる。貧しく生きたひとは、死すらも貧しい。豊かなひとは豊かに見送られ、貧しいひとは寂しく送られる。死はすべての生き物に平等だというけれど、しかし死が纏う衣には、確実に格差があるのだ。」148
この言葉にドキッとした。母を孤独のうちに死なせてしまった息子の言葉で、物語全体の内容を示すものでないけれど、個人的には確実に刺さるものがあった。命が尽きた時、周りの人が心の真の部分でどう受け止めるかが、その人の生き様をそのまま映し出すように思えたからだ。
○「僕たちはあまりにも、明日に任せすぎている。」269
確かにそうだなと思った。特に若い頃は、明日に任せない方が良いと強く思う。ある程度歳を重ねたら、明日に任せた方がいいことも増えてくる気がする。
○「その人が正しいと思ってやっていることを、私は私の感覚だけで否定したくない。誰かの常識や言い訳で逃げたりしない。」279
個人的に、家族の偏った感覚で否定され苦しかった、人生思い通りに動けなかったという思いを強くもっているが、冷静に考えてみたら、自分の中にも、自分の感覚だけで他人を否定していることがとても多くある事に気づかされた。これからは、自分が感じた悔しさを、他人に感じさせないようにしなければ…
○「自分の中の「それくらい」を相手に押し付けちゃだめだよ。理解しないと、いつか後悔することになる。」281
これは、誰の生活にも日常的に起こっていることだろう。人にとっては大したことでなくても、自分にとっては大したことだったり、その逆もよく経験する。他人にとっての大小を想像して共感するのは割と難しい事に思えるけれど、理解しようという姿勢は大事だと思った。相手を尊重するということだから。
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最後の章以外好きだった。この人はなんでこんな絶妙なラインの話を書けるんだろ。行き過ぎない絶妙さ。生と死の狭間で揺れる不安定さに目眩する。読むのにものすごく時間がかかったけど出会えて良かった。
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町田そのこさんの新刊。間違いなし。
死だけではなく生について、仕事、恋愛、結婚についても考えさせられる一冊。
佐久間の言葉で
「下に見られていいはずがないのに、無意識に見られても仕方ない理由を自分が探している気もするんですよ」に続く須田さんの「そうされても仕方ない理由を探して、やり場のない感情に落とし前をつけようとした。そんなことしなくてもいいはずなのに」に苦しくなった。
印象に残った良子の言葉。
「その人が正しいと思ってやっていることを、私は私の感覚だけで否定したくない。誰かの意見に左右されたくない。そのひとと向き合って、話を聞いて、理解する努力をしたい。誰かの常識や言い訳で逃げたりしない」
いつも通り、心に留めておきたい言葉や文章がいっぱい。モヤモヤとスッキリが混在していて、読後の余韻が収まらない。
次作も楽しみです。
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一気読み!自分に正直に生きるのは難しい、人を傷つける人間にも、気持ちや言い分もあって、親は選べず、縁も切れない。1つの家族葬専門の芥子実庵を舞台に、生きる中の葛藤や自分の幸せ、価値を描く心を打つ作品。町田さんの作品は、いつもいつも読んでよかったと思わせてくれる。