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国母として頂点に君臨せざる負えなかった彰子。
なんだか、己の親類縁者に振り回されないよう、定子の産んだ子供たちを守ろうとしながらも、思い及ばず。
そして、長生きの家系である彰子は次々と多くの死を見つめることになるのが切ないですね。
友人と彰子の家系は長生きという話をしていたことがあるのですが、それもよし悪しかと(;^_^A
幾度となく炎の災に襲われて、また流行り病に帝が倒れ、何とも言えないですねぇ。
ですが道長亡き後、彼女いなければ道長の家系が衰退するのは早かったでしょうね。
後半、いろいろと武家社会にちかづいてくる兆しも見える物語、大変面白かったです。
『はなとゆめ』が清少納言と中宮定子の友情物語に終始していたことを考えるとこちらは一族の物語でした。
しかし、諸々の事情で読破にこんなに時間がかかってしまった(-"-;A ...アセアセ
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下巻は、彰子の初産から、摂関政治のゴッドマザーとして87年の生涯を終えるまでを語ります。
子を産んだら用済みと遠ざけられるなんて許せない。彰子が重鎮となって無用の抗争を避けさせようとしなかったら、貴族どうしの宮廷内の争いから武士を取り込んだ武力抗争(保元の乱みたいな)がもっと早く始まっていたのかもしれないな、と思いました。
でも、この時代の貴族女性として仕方ないことだとは思うけれど、宮廷の外の、相次ぐ火災や疫病、自然災害、地方の叛乱などなどで被災し苦しむ庶民にまでは目が届かない。彰子はただ自分にできることを、長寿にも助けられてやり切ったのでした。現代から見てみると、時代が摂関政治から院政へ推移する直前だったわけですが。
永井路子先生の「この世をば」(彰子の父・道長)、「望みしは何ぞ」(彰子の異母弟・能信)を思い出しつつ読み終えました。
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1000年前の朝廷が舞台の大河小説。主人公の彰子がまだ少女の頃から始まり、環境に負けず一条天皇と心の距離が縮まり愛が深まっていく前半、子供ができ自分の生き方の軸を定め活躍する中盤、相次ぐ不幸と戦う終盤、、あっという間に彰子の一生を追体験してしまった。
また、病気が怨みから来るとか、物怪が取り憑くなどということが真面目に書かれており、当時の人間の価値観を理解しながら感情移入できた。
とにかく面白かったが、後半は起こった出来事を並べるだけのところもあり、物足りない感もあった。(ただでさえ上下巻なのにもっと長くなってしまうが、、)
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国母彰子の生涯は立派だった。
火事と病気が次々に起こり、
兄弟間で政権争いが激しい中、世の安寧を一心に願い続けた生涯だった。
先日から紫式部と藤原道長を主人公にした大河ドラマが始まったが、この小説の道長像とすごく違いそう。
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初花の章(承前)
初めてのお産、親王・敦成を腕に抱いた彰子は、故・定子の3人の子どもたちの母であることも決心する
一方で、父・道長は外戚への執念を見せる
・平安時代の炎上(ホンモノ)事件の多さと背景
・祈祷場面の多さ。当時の信仰
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誰かの昔語りを聞いている感じ、感情や物語より見た事、聞いた事をひたすら聞いていた感じ。登場人物も多く誰が誰だか分からなくなって最後は適当に読み飛ばしてしまった。
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中宮彰子が一条天皇のきさきとなり、その後、故中宮定子の子、敦康の養母となって国母としてのキャリア(キャリア?)をスタートしていくのが上巻。
上巻の終盤で、才女、紫式部を女房として迎え、彼女から漢詩や教養を学ぶことで力をつけ、そしていずれ朝廷全体に大きな影響力を持っていく下巻。
この時代の権力とはすなわち外戚(天皇の母方の祖父)として摂政・関白の座につくこと。
だから自分の娘を天皇の(天皇になりそうな親王の)きさきとして嫁がせ、そして男児を産ませてその摂政になるというのが権力上のゴール。
民のことなんて一ミリも考えてないだろうってくらい、朝廷の人間は自分の娘を送り込むこと、そして男児を産ませることに集中する。
下巻もその記述がほとんど。
中途半端に記述したら、こんなん超退屈な話なのだけれども、冲方丁がすごかったのは、このなりふり構わない人間達の執念を本当に執念深く掘り出したところ。
とりわけ彰子の父、藤原道長と、彰子の弟、藤原頼通の権力への渇望。最初はいらっとするんだけど、最終的にそれを通り越して「なるほどなー。そうまでして。なー」なんて感心する。
そんな欲望と怨念が渦巻く内裏で、「私は決して人を怨まない」と心に決め、愛する一条天皇が若くして崩御してから50年近くもの間、6代もの天皇の国母として、朝廷のため、藤原家のため、そして民のために心を砕く。一条天皇が苦しんだ、そして怨みの象徴である火事(火)を起こさないために心を砕く。
きっと彰子を際立たせるためにも、道長と頼通を徹底的に醜くした部分もあるのだろうけども、まあ、賢人、賢母。
そして彼女の長い人生は最終盤、後三条天皇(圧倒的に優秀な天皇)の一言によって見事に実を結ぶ。人を怨まぬ人生で、人を怨ませぬよう計って生きてきた結果、一度も火を起こさぬ天皇を生み出す。
や、よかった。感動した。「どうせ平安貴族の政治争いなんてただのまぐわい合戦だろ」なんて思ってたんだけど、よかった。
すごい純愛。このレビューで、「え、何が純愛?」って思うと思うんだけど、最後まで読んだらわかる。純愛。よかった。
おすすめ。ただ上巻のレビューにも書いたけど、とにかく前半の藤原詮子のモノローグを乗り越えて。
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上の途中までは史実を読んでるのかな、、って気持ちになってたけど、紫式部が登場してからすごく面白くなってワクワクしながら読み始めた。下巻も最初は面白かったけど、途中から史実っぽくなって辛かった。まあでも彰子が満足してその人生を終えることが出来て何より。
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藤原道長の娘、彰子が主人公の物語下巻。
摂関政治の頂点とも言われる道長、頼通の時代のことが語られるのだけど、ちょっと思っていたのとは違った。
一条天皇が存命の頃から中宮定子の忘れ形見の息子が亡くなる当たりまでは彰子の細やかな感情が伝わって読んでて面白かったのだけど、それから後は、ほとんどが身内の昇進や天皇への娘の入内、病に罹った折の加持祈祷、内裏の火災などが人を変え、場所を変え、何度も語られるので、なんというか飽きてしまった^^
彰子を主人公にしたため仕方ない面はあるのだけど、政治的な面、例えば前九年の役に対する朝廷の動きとかそういうのはほぼ語られない。ちょっともったいないと思ってしまった。
物語の構成というのはなかなか難しいものだなあとあらためて思った。
ちなみに病気になるとなにかと加持祈祷したり寄進したりして病気を治そうとする平安時代は、そりゃ、長生きできないよなあと今更ながら思った。
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彰子の死までで物語を閉じる.後世に与えた影響も少なからずあるが,生前の彰子を十全に描くことにより,その影響の想像を読者に委ね,あくまで彰子自身に焦点を当てる構成は,本書の目的である平安宮中に投げ入れられた彰子という平安女性の代表の成長物語と相まって,綺麗にまとまっている.私は男なので第三者的な視点で物語を客観的に追うが,もし女性だとしたら,他人事とは思えないだろう….
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上巻より読むのに時間がかかってしまった。
後半は、小説というより、淡々と事実が並べられ、彰子の伝記という雰囲気だった。
この巻で最も盛り上がる(と私が思った)のは、やはり一条天皇崩御後、敦康親王立太子をめぐって、彰子が父道長に反旗を翻すくだりだろう。
母から皇子を取り上げ、女性を政から遠ざけようとする摂関政治のやり口に、仕える女房達を従えながら、否と主張するのだ。
小説の後半は、これまで中心的には論じられてこなかった、彰子の「母后」としての力を描いていく。
一条天皇の漢学に由来する政の理想を、彰子が引き継いでいったともあるのだが・・・。
彼女が力をふるったのは人事であり、後宮政策だ。
官人として誰を登用するかということと併せて、誰の娘を宮中に入内させるかを采配する。
儀式を行い、貴族たちに費用を負担させたり、あるいは逆に禄という形で富を分配する。
こういったことを、晩年までやっていく。
恐るべき力である。
ただ、それは、結局のところ、道長、頼通、教道へと続く藤原摂関家の利益のためだ。
摂関家内の内紛を避け勢力を保つこと、他家の摂関家への恨みを解消させること。
これが要は、この時代の「政治」なのだなあ、とつくづく感じさせられた。