紙の本
『猛スピードの母な』で芥川賞を受賞された長嶋有氏による愛おしさと哀しみを鮮明に描いた恋愛小説です!
2020/07/30 09:11
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『サイドカーに犬』(文学界新人賞)、『猛スピードで母は』(芥川賞)、『夕子ちゃんの近道』(大江健三郎賞)、『三の隣は五号室』(谷崎潤一郎賞)などの名作を次々に発表されている長嶋有氏の作品です。同書は、40歳にして自動車免許を取得した戸倉が、友人の須崎と、その彼女琴美に対して、退院したらどこかいこうと約束をします。そして、約束を果たすべく、彼らは車でドライブに出掛けます。車窓の風景は移ろい、音楽は次々と流れ、三人の会話は止まりません。各々の胸中に抱えるものは違えど同じ車内、同じ方向に進んでいきます。そして大切なものを失ったことに気づく瞬間が、ついに訪れます。愛しさと哀しみを鮮明に描きだした恋愛小説です。
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ある場所から目的地に向かう車中の描写がほとんどを占める"車中小説"。
若くても年をとっても人は誰かを好きになったり、その逆に好きでなくなったりする。上手くいくことばかりではないし後悔することもある。その普遍性と絶妙なニュアンスを描くのが長嶋さんは上手だと思う。
"「本当に好きな人が出来られたら仕方ないよね」できられたら、と水谷さんは誤った実感のある言い方をした。"
とか、上手く言えないけど、でもすごく分かる気がする。
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四十歳にして初心者マークの戸倉はドライブに出かける。友人の須崎と、その彼女琴美とともに――。著者史上初「泣ける」恋愛小説。
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「もう生まれたくない」を読んだとき、人が死ぬことが当たり前の日常として描かれていて、当時の自分は結構ショックを受けた。
免疫がなかったからかも。
でも今は少し歳をとったのもあって、その描かれ方にほっとする。
肯定でも否定でも拒絶でもなく、ただそこに生があって、同じように死もあるだけ。
何の意味も含みもない。
なんだ、そっか。それだけのことか。
もちろん身近な死をそこまで割り切るのは無理だけど、
だからこそ小説で読むことができてよかったと思う。
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「泣ける」恋愛小説
という帯の煽りにそういうのは別に…というきもちを抱きつつ、でも長嶋有だからな、とおもいつつ読む。読んでいる間ずっと、やはり長嶋有だな、とおもう。
しかし最後にわたしは泣いた。(ほんとうに泣いたわけではないけど)ぐらんぐらんにゆすぶられて、ぼんやりした。
ああでも、これは泣ける恋愛小説ではないとおもう。恋愛はたしかにあったのだろうけれど、そこではなくて。
どうしようもなく失っていくものへの涙みたいな。
まさしく愛のように。
読後の余韻がすごい。
そしてそれよりも、ずっと頭の中でキン肉マンと北斗の拳のうたが流れているのがすごい。
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初めて読む作家さん。
車と音楽の本だった。マンガもたくさん出てきたが、分からなかった。音楽は聴いてみようと思う。
ドライブ中の会話がおもしろくて、みんなすごく楽しそうで、すてきだった。
おもしろい、他の作品も読みたい。
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登場人物の個性が掴めず、
(かつそこそこ登場人物も多い)
に、なんだか混乱したが
さくさく読めた。
琴美との関係にどうなるかと思ったが、
琴美をベースに話が進むわけではないし、
琴美以外との時間もたくさんかかれてるから、
そうか、こういうラストか、やっぱり琴美が出てきて終わるのかと、変な感想を抱いた。
終始、車の中の会話いうのがおもしろかったし、
サブカルがたくさん出てきておもしろかった。
もう少し私がカルチャーや車に詳しければもっと楽しめたかも、、、
新しい感覚の読了感。