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個人的にいま一番注目をしている、こおにたびらこ先生の作品。
キュートでメルヘンなのに毒っ気たっぷりで妙ちきりんな「ウサギの国」でプリンセスを中心に巻き起こる日常劇。
かわいいのに本当に変なノリで、Xでひと目見た時からギュムッと心をむしり掴まれました。
1話目《ウサギのプリンセス》からもう変。ウサギの国の年貢徴収シーンから始まるのだが、あるウサギが年貢のニンジン3本を納められず免除を嘆願する。これに対しプリンセスは「ギロチンかケツバット」を選べと返す。万事休したあるウサギは代替に「ピザとビール」を提案する(p6)。不覚にもピザとビールにニンジン以上の満足を感じてしまったプリンセスは国民からケツバットの刑を受けるのであった…。
どうです、訳わからないでしょう。
タヌキが登場する《買い物》の話も好き。プリンセスの車はニンジン型のオープンカー。シフトレバー周りの意匠が素敵。タヌキに化かされて敢然御礼参りに向かうプリンセスの表情が良い。緩と急の切り替え表現も上手いと思う。
《花》はこのノリの作中にあって反則のようなお話。冒頭から花を摘もうと探している一行。噛みつき花や物騒なコブラ、嫌味なミツバチらとすったもんだしつつもたくさん綺麗な花を集めた一行。その目的はなんと弔いの為。スパイキャットも一緒に祈りを捧げる。
え、こういうのもいけるの、こおに先生。
終始まるごと好みだった一冊。
『ウサギのプリンセス』はぜひシリーズとして続けて頂きたいし、また違った別な作品も読んでみたい。
つまりはハマったということ。
1刷
2024.4.21