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紙の本
科学起源の西洋一強説への挑戦
2023/12/13 12:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Hyperion64 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のユニークなところは近代科学の起源が西洋中心ではないことを明らかにしようとしていることだろう。
その試みが成功したかどうかは各自読んでみてください。科学の推進力にはグローバル化とナショナリズムがある。著者はグローバリゼーションとナショナリズムのパワーで中庸の道を歩もうとしたことは確かだ。イギリス人学者の科学史の論述としては珍しく中部アメリカ、中東、インド、中国、トルコが組み込まれている。
とりわけ、日本が第4章以降昭和時代にいたるまで、近代科学精神の振興が取り上げられている。
江戸時代の本草学、あるいは蘭学、明治時代の進化論と地震学、昭和時代の量子論(仁科と湯川)が丁寧に紹介されているのが否が応でも目につく。欧米の知識人にもそうした日本文化の連続性が認識されたわけだ。
明治以降の急速な近代化は江戸時代に種はまかれていたのをうかがわしめるに足る内容ではある。
しかし、やはり、西洋中心の科学史を突き崩すのは難しいだろう。西洋中心科学史は実線で描かれるの比して、西洋以外の他文明の刺激による科学発展は点線でしかない。
だが、本書で至る所で明らかにされているように他文明からの西洋科学への刺激と応答が、科学の進化を推進させたのは異論はないのではなかろうか。また、日本の事例が物語るようにナショナリズムが科学者たちを駆りたてたのも本書から理解できた。
複眼的な視野を近代科学の発展に持ち込もうとする努力は一読にあたいするのは確かだ。
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