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わたし、悪くない。ひとりで破滅なんて絶対しない。妻に先立たれ養子の息子と向き合う老人。仕事が忙しい妻を支える気弱な夫。地方の美術館でくすぶり続ける学芸員。倒産や理不尽なリストラで無職となった同級生たち。借金苦から逃れようともがく老女。会社ぐるみで不正を隠蔽する社畜たち。彼らに正論は通じない。ひとつの嘘から、転がりだす悪意の連鎖。強がり、もがき、這い上がろうとする嘘つきたちが最後につかんだものは?
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毎回みている江頭2:50さんの『エガちゃんねる』、本屋ロケ撮影で偶然にも写った作家さんが岩井さん。2日後に本書が発売、覚えた名前だったのであらすじチェックしたら読みたくなった
#暗い引力
#岩井圭也
23/12/20出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3TwfWfK
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昨年は多くの意外な作家が暗黒面に引き込まれた作品を発表したが、岩井さんも例外ではなかった。年末ぎりぎりに刊行された短篇集で、些細な嘘から非道な犯罪までを描いた6篇を収録している。
だがダークサイドと呼ぶにはちょっと弱い。こうした小説は読後いや〜な気分にならなければいけないんじゃないかと勝手に思っている。その観点からすると、どれもきれいにまとめすぎだ。
一番最後に収録されている「堕ちる」は、超写実主義の画家の回顧展を任されたキュレーターの話で、これが一番面白かったのだが、肝心の部分が書かれておらずそこは不満だ。
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仄暗いお話と聞いていたけど覚悟していたほど胸糞悪く…はなかったかも。世にも奇妙な物語のような、一癖ある短編集
ネタバレ感想です
海の子
・養子の息子が実は愛人に産ませた実の子でそれを知った息子に復讐されるお話。やや胸糞。
僕はエスパーじゃない
・自分の意のままに操れる優柔不断な男性と結婚したつもりが、息子も親の顔色を窺う子に育っていると気づいて離婚をきりだすお話。さて、彼は最後に自分を愛しているかという妻の問い、2択を間違えずに答えられたのでしょうか? 妻にとっての正解は彼の正解でなさそうだけれど。
捏造カンパニー
・これ、お話としてすごく面白かったです。1番すきかも。融資目当てでペーパーカンパニーを作ったら税務調査がくることになり、会社を急増するも、その税務調査は詐欺で…?
詐欺師を問い詰めるために税務署に確認の電話をいれたことがあだになり本当に税務調査がくるお話
極楽
・パチンコで作った借金から逃げるために認知症のふりをしていたら本当に認知症を発症するお話。せっかく息子が迎えにきてくれたのにね
認知症の方の見え方がリアルでこわかった。猿…
蟻の牙
・企業の不祥事に連鎖する人の死が資料の形式で淡々と語られる物語。こういう形式も1話くらいあると面白い
堕ちる
・この小説の真髄のような胸糞! 自分の手柄のために人を殺めて絵画を手に入れた学芸員のお話
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「海の子」
「僕はエスパーじゃない」
「捏造カンパニー」
「極楽」
「蟻の牙」
「堕ちる」
6話収録の短編集。
それぞれ独立した作品だが、全編に共通して不穏な気配が漂っている。
人は誰でも嘘をつく。
ひとつの嘘が新たな嘘を呼び、はずみを付けながらどんどん悪い方へと転がりだす。
まさに暗い引力に導かれてでもいるように。
全話陰鬱で後味が悪いが、借金取りから逃げる為に逃走計画を立て認知症患者になり切る女性を描いた「極楽」はオチまで含め秀逸。
岩井圭也さんは長編も良いが短編も読ませてくれる。
嘘つき達のなれの果てを描いたダークな作品集。
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面白かったです。
全体的に暗い雰囲気のお話が多いですが、イヤミス系が好きな方とかはハマるかなと思う。
意思を持たない男の話
認知症のふりをしていたら認知症になってしまった人
成り上がりたい学芸員
夫をブラック企業に殺された妻の復讐
バリエーション豊富で良きでした。
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あなたも引き寄せられる… 人間の欲と醜さを、皮肉たっぷりに描いたミステリー短編集 #暗い引力
■きっと読みたくなるレビュー
丁寧なプロットで綴られるミステリー短編集。どんでん返しというより、皮肉のスパイスが効いた良質イヤミスですね。
本書のタイトルどおり、人間のダークな部分をしっかり描写されていて、読んでいくうちにゲンナリしてくること請け合いですよ(にっこり
■短編ごとの感想文
〇海の子
子どもができなかった夫婦と養子の物語。母は他界し、父が息子に幼児を引き取った時の話をするが…
そうなりますよね…ってお話ですが、ひとつ間違えば自分にも起こりうるから全く笑えない。しかし最後の一文のキモさは、なかなかの衝撃。これでこそ人間ですよ。
〇僕はエスパーじゃない
育児に協力的な夫と、仕事人間の妻。夫婦の在り方と価値観を見つめなおす物語。
私も主人公の彼に似ているところがあるので、考え方や気持ちが正直よくわかる。こういう性格って、まるでモテないんですよね、アハハ! 最後の結論は自明なんですが、はっきり言ってどっちもどっちだし、そもそも子どもが最優先になっていない時点で双方悪だと思うわ。
〇捏造カンパニー【おすすめ】
学生時代の同級生たちがペーパーカンパニーで詐欺を行っていた。そこに税務署の立ち入り検査が入ると分かり…
大変よくできた、全くもって救いようのないお話。キャラも構成もミステリーとしても出来が良く、そのまま映像化できそうです。しかし、世も末だなぁ…と感じざるを得ない。
〇極楽
パチンコの借金で苦労している老女、解決するために考えた奇策とは…
筋書きは想像できますが、何もかもがリアルに書かれていて、かなりコワイ。施設に入っている父を思い出しました、近いうちに会いに行かなきゃ。
〇蟻の牙
過重労働で夫を失った妻の復讐劇、会社を守る社畜たちの卑劣な手口とは…
手紙、メール、記事、書面などだけで構成される短編。地の文が一切ありません。淡々と示される文章を読んでいるだけなのに、人の怒りや醜さがありありと伝わってきます。ただ本作が一番読んでて悲しくなりましたね。どんな復讐劇も、どこか報われないんですよ。
〇堕ちる【おすすめ】
大学での美術研究から学芸員になった女性。成功を胸に秘めるも既に若くはなく、経済的な理由で地方都市の美術館に就職していた。しかしその美術館で、これまでに見たことないほど魅力的な絵画に出会ってしまい…
面白い! 何より好きなのは、人間の欲が迫力満点に書かれている点。主人公の女性は興奮の鼻息が聞こえるようだし、画家の変態性、モデルの落ちっぷりが下品。「価値観」はさっぱり理解できないんだけど、「欲望」だけは理解できるですよね。きれいごと言っても、人間なんて所詮こんなもんすよって感じが愛せる。
闇落ちしていく感覚がクセになる作品ばかりでしたね、楽しませていただきました。
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6つの短編集
表題の通り、6編すべてにこの力が働いていた。
最後の「堕ちる」がいちばんこの表題に近い内容かと。
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暗い引力。実に的確なタイトルだった。
岩井圭也氏は心癒される作品が多いと思っていたが、この小説は心の暗部をじわじわ見せつけてくる。
各短編は勧善懲悪ではない結末がまた唸らせる。2話目の夫婦の話は実に身につまされる話で、このような夫婦関係に自らの生活を顧みて疑心を浮かばせてしまった程である。
人が暗い引力に囚われる様を淡々と描くこの小説はお薦めです。
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イヤミス的な短編集。読後感は重め。
「僕はエスパーじゃない」「捏造カンパニー」「堕ちる」が面白かった。
「僕はエスパーじゃない」は、子どものときから人の顔色を読むのが得意な男性が結婚し子どもが生まれ、常に妻の顔色を伺いながら妻の望むように家事育児をしていくが、突然離婚したいと妻に告げられる話。常に他人任せの主人公に問題があるかと思えば、妻側の思惑も合わさり、結婚とはなんだろうかと考えさせられた。
「捏造カンパニー」は、会社が倒産したりブラックだったりで無職になった元同級生の3人がペーパーカンパニーを作って不正に金を集めているところに税務署の監査が入ることになった話。騙し合いのスリルが面白かった。うっかり3人を応援したくなってしまった。
「堕ちる」は学芸員の女性が就職した地方の美術館でとある画家の絵に出会い、その展示会を開くために画家について調べていく話。亡くなった画家の、描くことへの異常なまでの欲望と、主人公のキュレーターとして名を残したいという野望が混ざり合い、意外な方向に話が転がる最後は夢中で読んだ。
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仄暗い不穏さが漂う短編集。
読みやすいし、どの話も最後はゾワっとして面白いとは思うけど、個人的には胸糞悪さが足りなくて、ちょっと求めていた感じと違った。
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イヤミス系が読みたくて手に取った本。
6つの短編が入ってるのですが、いやー、読んでると本当に胸糞悪くなりましたね笑
でも、なんだかんだこういう人間の醜悪さが表現された作品にも手が伸びるのはよい傾向かなと。
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図書館本
ぐっとくる装丁の短編集。
養子の子どもと父。母が亡くなり子の思いは。
ズルして会社を作るふりしたけれど、悪いことってできないもの。
認知症だったのか、その世界に飲み込まれてしまったのか。
ブラックな企業相手のじわりとした復讐。
絵画の世界に堕ちていく話。
どれも好みの読み味
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心の底にある人間の仄暗さ、悪意など破滅へ向かっていく6話短編。読みやすかった。最初の「海の子」はなんとなく親も子苦しいよね、と思いながら読んでいたら最後の一文が強烈ですごく心に残った。じんわりと押し出される暗さが面白かった。
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短編集。たしかに『暗い』なあ。人の生き方の暗部に焦点をあてる作品は嫌いではないけれど、でも、人間って、そんなどうしようもないだけのものかなあ。医療・介護の仕事をしている者として『極楽』という作品は、勉強して書いたのはわかるけどあまりにもご都合主義で、そもそもこの分野について書くならこの展開で書くのはふざけるな、という感じで、嫌悪感しか抱けなかった。こんな人間観で、介護や医療について書かないでほしい。