紙の本
温かいなぁ
2023/12/24 15:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
居場所が無い者同士の優しい思いやりのある共同生活。
こんな生活もいいなぁ、と思ってしまいました。
自分にもあまり心地の良い居場所ってない様な…
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生きてたら、一回はムーンライト・インに行きたくなるような事はあるんじゃないかな
実際にはそんなピッタリな所、なかなかないからみんな辛い思いを重ねていくんだけど。
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訳ありな人々が集う、高原リゾートのシェアハウスのお話。なんとも言えない、淡々とした雰囲気の作品だった。それぞれが抱えている悩みや秘密が少しずつ明らかになっていく。
章立てに関係なく、時々、物語の目線というか一人称が変わっていくので、たまに「いま、これ誰目線の話だっけ…?」と混乱することもあった。
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夜逃げ おどろおどろしい出だしの街並みにLNNと書かれた表札のムーンライト いやあ引き込まれた。どんな方向に向かって終わりを迎えるか、そして塔子さんの息子に対する愛情以外に今後の身の振り方も書いてないし しょーもない息子にしょーもない嫁に登場するタイミングが酷くて金の管理迄していて自分の都合で帰るのに同居を偉そうに言うとか、3人で帰る場面も驚きました。栗田の告白する遅さと焦ったさ、マリーの父親と同じ事をしている栗田、その後が書かれていない意味はあるんだろうね、色々想像してしまう。途中のそれぞれの不安な気持ちとか一年にもならないシェアハウスとか、決して全員上手く行かない方向幕で、ずーっとローテーションだったなあって感じ
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八ヶ岳を望む高原にある元ペンション「ムーンライト・イン」。事情を抱えそれぞれの居場所から逃げてきた3人の女性と老齢のオーナーが暮らすその場所に、職場を突然解雇され自転車旅行中の35歳・栗田拓海が迷い込むところから始まるちょっと奇妙で、それでいて優しくて、夢のような生活。
年齢も国籍も性別もさまざまな5人の日常は互いに問題を抱えていることを知りながら、決して過剰に踏み込まず、思いやりと節度を持って流れていく。その加減が実に心地いい。
それぞれの問題はなかなか深刻なのだが、先送りして過ごす日々は長く続くことはないとわかっているだけに、楽しいけどどこか寂しい。
社会的な問題をさりげなく盛り込みながら、声高に糾弾しない作者の描きようも心地いい。
ラストはその後のみんなの行く末を思って余韻に浸りました。
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大人の夢物語のような日々と徐々にあらわになってゆくそれぞれの現実。
都心から少し離れたある所に暖炉のある元ペンション〝ムーンライト・イン〟がありました。
そこで暮らすのは車椅子のかおるさん、介護士の塔子さん、看護士のマリー・ジョイとペンションオーナーの虹さん。
彼らは自分の役割をこなしながら、互いを気遣いながらも必要以上に干渉することなく、細々と日々を過ごしている。
「ああ、なんかいいなぁ…。」
と人生も半世紀過ぎて終末へと近づいている私としては素直にそう思う笑
そんな平和な日々を脅かすかもしれない青年(拓海としてはとばっちり)が加わった頃にムーンライト・インに転機が訪れる。
お気楽そうに見える彼らそれぞれが抱えたものが露見され、前に進むために問題へと向き合ってゆく。
ペンション暮らしという「ふわっ」とした感じで進む物語のそれぞれが抱える事情は深刻であり現実から目を逸らしては生きられないことを知らしめる。
虹さんの想い。かおるさんの絶望。塔子さんの恐怖。マリー・ジョイの哀しみ。拓海の不安。
ムーンライト・イン
出会いと別れを繰り返しながら最後にたどり着く場所。帰る場所があるというだけで人は強くなれるのかもしれない。心をすり減らし夜逃げ同然にたどり着いた場所がいつしか心の拠り所となる。
(とは言え、塔子さんがどんなに優しく優秀だとしても、彼女の事情だけはたまたま結果オーライだったというだけで見過ごしてはいけないことなのだけどね)
かおるさんの人生、マリー・ジョイの人生、サラッと進むけど、ここに描かれている心の動きや言葉は突き刺さるものがある。
この続きはきっとハッピーエンドだと信じる。
今年の3冊目
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旅の途中、夜の高原の駅でいきなり雨に会った栗田拓海。
暴風雨の中、たどり着いた元ペンションには、年齢も国籍も違う謎めいた4人の男女が住んでいた。
語り手を変えながら、「ムーンライト・イン」に住む人たちの関係と、それぞれの過去が少しずつ明かされていきます。
ユーモアがたっぷり含まれていて、中島京子さんの描き方が本当に上手いんです。
ミステリーを読んでいるみたいに、物語にどんどん引きずりこまれていきます。
彼女たちは何から逃げて、ここで暮らしているのだろうか。
ここではお互いに助け合い、詮索もされず、夢みたいな生活ができる。
だけどどんなに深い事情があっても、いつまでもここにいるわけにはいかないとみんな思っている…。いつまでもこんな生活が続くわけがないと。
現在の日本が抱えている社会的な問題、日本人が考え直さなくてはいけないと思われる事柄がたくさん書かれていて、フィリピンから来たマリー・ジョイの言動がとても的を得ていて、胸に突き刺さります。
最後にそれぞれの選んだ道は、どこか安心させてくれるような、何とも言えない独特な面白さがあって、とても楽しめました。