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発達障害の当事者と支援側(大学教授や精神科医等)のインタビュー集。中でも、借金玉さんのお話は腹落ち。自助グループの大切さ、ICT機材の活用、書字障害の現在…書字障害の息子さんを持つ著者がインタビュアーをしているので、当事者意識のある質問が鋭くで良い。一度出てきた語句も専門用語には何度も註が振られているので、少しずつ読み進められる。本当に大全!!
個人的には、『自閉症は津軽弁を話さない』を読んでみたい!いつもASDの子はそうだなぁと感じていたので。
p.240 発達がゆっくりなんだから、ゆっくり教えなきゃダメでしょう。
p.300 人間の4つの幸せ
愛されること、褒められること、人の役に立つこと、人に必要とされること。
p.384 「自分が何者かわからない」というのが、私が考える発達障害の一番のキモです。逆に自分の特性を理解して立ち位置を決められる人は、発達障害の傾向があってもそんなに困ることはありません。
ーだからこそ、鈴木さんがKaienでされているような就労支援、第三者として本人の特性を見極めて会社とつなげていくという支援が必要になるんですね。
鈴木 ただ、いくらカウンセリングしても、なかなか伝わらないんです。どんなに共感しても傾聴し
ても、本人が自覚するまでには、なかなか至らない。
そこでKaienでは、さまざまな職業訓練プログラムを用意しています。実際にさまざまな仕事を体験してもらい、成功、失敗を細かく繰り返しながら、自分の影形を知ってもらいます。
自分の特性に、本人がちゃんと納得する、腹落ちするということが重要なんです。実際、そういうことを親御さんや周りとしてきた人は、就職活動もうまくいくものです。自分の得意と苦手が
わかっていますから。
「自分に絶対に向いていない仕事」を知ることが大切
→苦手の把握は大切
p.446 「仕事」を「作業」に変えていく
ーー仕事を円滑に進めるコツはありますか?
借金玉特に意識しているのは、「作業」と「仕事」を分けて考えることです。例えば、年末調整や決算の帳簿処理は「作業」ですが、アイデアを出したり企画を立てたりするのは「仕事」です。
何が違うのでしょうか?
借金玉 やれば確実に終わるのが作業で、やっても終わらない、やったところで評価されない可能性があるのが仕事です。自分の頭のなかから何かを生産することは、仕事ですね。この2つを区別すれば、気分的に仕事ができないときに、せめて作業はする、という戦略をとることができます。
ーーリモートで仕事になかなかとりかかれない方に、役立ちそうな考え方です。
借金玉 最近は、仕事を作業に変えていくことが大事だと考えるようになりました。なぜなら、同じ内容のタスクでも、人によって作業になったり、仕事になったりするからです。
先日、フリーライター志望の若い子に請求書の作成をお願いしました。ところがそれができない。
エクセル(表計算ソフト)を使えば簡単だと思うんですが、そもそもその子のパソコンにはエクセルが入っていない。その子にとって、「請求書の作成��というタスクは完全に仕事です。頭を使って一から方法を考えなくてはなりませんから。ただ、経験を重ねてやり方をマスターすれば、仕事だった「請求書の作成」が作業になってくる。
ーー作業に落とし込めるタスクが多いほうが楽ですし、人にお願いできそうですね。
借金玉「分けることは、わかることだ」。これは銀行員時代の先輩のアドバイスで、金言だと思っています。ぐちゃぐちゃに積まれた書類を前にしたとき、途方に暮れるのでなく、「まず分ける。分けることは、ただの作業だ」と。分けてクリップで留めて、並べ直すだけで業務は進み、わかってくることがある。
ーそれが「分けることは、わかること」。
借金玉
銀行員時代に教わったことで印象に残っている言葉はほかにもあって、例えば、「お金は受け取ったときには、まだお金じゃない」。受け取った記録を帳簿につけて、利益と経費を1カ月、1年の期間でまとめたときに、初めてお金になるということです。帳簿につけてみなければ、お金がいくらあるかわからない。そういう意味です。この言葉にも、人生を教われました。便は今も、自分がお金を持っているのかいないのかを、感覚的に理解することかできません。ですから、こういう「記録をつける」という指導がなかったら、今でもうまくお金を使えなかったと思います。「倍金玉」という名前の通り、起業して会社を破綻させる過程で、たくさん借金をしてきましたから。
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500頁を越える厚い本だが、読み始めると読みやすい。
基礎的な知識と、発達障害について定評のある著書があったり、医師であったりする方、実際に発達障害と診断された方を含む方々の『インタビュー』と『インタビューをして考えた』記事が両輪になって、理解しやすい工夫がされている。
また、『インタビュー』を読むと微妙なニュアンスの説明に気がつくことが何度もあった。
何よりも、人間性の回復運動のような面があることに気がつかされる。
この本では、外的視点、内的視点を設定した上で進んでいくが、個人的感想を書いてしまうと子供が遊びに行かずに、習い事にいく状態になってしまっている幼稚園、小学校時代というのは、そうでなかった世代には想像がつかない、という面もあって、社会の側の形骸化した縛りを子供にあまりに覆い被せてしまうと、それはそれで、息苦しく、また、本来生きていれば自然に持っている成長する力を失わせてしまつているのではないか。
ミラーニューロンの話を出すまでもなく、何も、人間の間ばかりの話ではなくて、子供というのは、見かけた動物、植物、はては自然現象まで、まねるものなのだ。
だから、子供でなくなった大人には、想像がつかないものが、多分成長していく過程では子供のなかで、展開していることもあるんだろう。
それは人間の知識でどうにかなる領域ではなくて自然の領域というか、神の領域というか。
そういえば、昔、幾つまでは神の内といっていたな。医療の未発達な昔、子供が若年で死ぬから、このように言ったというけれども、そればかりではないような気もするから不思議だ。
何しろ、毎日学校に楽しく通う子供というのは、多分に大人や社会がつくった理想像ではあるが、本当にそうだったかは、分からないというのが正直なところだし、はっきりさせなきゃ、というのもなんとなく野暮ったい。
そのぐらい揺れてた。
何も人の成長過程に定数を含む公式や数式があるわけでもなく、何となく大人になったというのが近い。
そうであれば、大人も子供も楽しめるように社会をつくった方がいいのではないだろうか。
振り返ってみて、あんなこともあったよね、と楽しく言い合える社会のほうがいい。
ただし、犯罪や貶めあいは抜きにして。
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インタビュー形式になっていて、読みやすく理解しやすい。
発達障害を理解するために大事なこと。
発達障害は、病気ではなく、脳の個性であり、特性である。
これは頭に入れておきたい考え方。
発達障害者は、日本の全人口の10%程度を占めるとも言われている。
なので、大抵の会社では雇用しているはず。
発達障害の特徴、対応の仕方など参考になった。
ニトリホールディングス会長 似鳥昭雄氏のインタビューは印象に残った。
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大全というタイトルの通り発達障害に関連するキーワードが満載ですが、対談インタビュー形式が各チャプターごとに主文となるのでとても読みやすい一冊です。当事者に近い編集ライターである著者が各専門家にお話をうまく聞いていることが本書の妙で発達障害について全く知見がない方にもおすすめできる一冊です。本書を経てから色々な専門書や各論に入ってもいいと思います。
発達障害に関する書籍をいろいろと読んきましたが本書は読みやすいです。
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各章ごとでまとまっているのでどの章からでも読める。
発達障害とは?と終始考えられる本。
就労のこと、特性のこと、その医師の考えなどがまとめられている。
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[図書館]
読了:2024/5/26
「子どもを変えよう」とするのではなく、環境や制度の方を変えるのだ。
複数のインタビューで出てきた思想。すごく大事なことだと思う。
中邑賢龍氏の学びの場が興味深かった。宇和島まで5時間、スマホ禁止。最後に特急「しおかぜ」に乗ると、まわりは中高生ばかり。そこで意外とみんな「ひょっとして…宇和島?」と声をかけて、自発的な自己紹介が始まる。「自分から動けば、もっと面白い」ということを、体験として学ぶ。あえてハングリーな状況を作る。
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知ってることも多かったが、知らなかったこともわかりやすく書いてあった。
分厚い内容だが、2日で読み終えることができた。