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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
イソップやグリム童話から日本の民話まで、現代にも通じるものがあって、興味を持つことができました。もう一度、読んでみたいです。
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佐藤優さんと池上彰さんの対談本はこれまでにも色々な切り口で出ていますが、どれも視点が独特で面白いものばかりです。
今回は昔話に焦点を当てた対談とはなっていますが、話ひとつとってもこういった視点で考えることができるのか、といった点は非常に興味深いです。
昔の価値観に則って記述された物語に対し、思考停止せずあえて現在の価値観から光を当てて解釈していくという作業は、ものを考えるうえでの良い訓練になるのではないかと思います。
また、読んでいて「ああ、確かになぁ」と思えるものも多く、濃い読書体験となりました。自分にとって納得感が高かかったのは以下の内容ですが、自分の経験に当てはめて読んでみると面白いでしょう。
本気でステップアップを図ろうという時に、あえてネガティブな現実を見るようなことをしても、あまりいい結果に結びつかないことが多い。
・謝っても、許してもらえないこともある。
・人に何か伝えようと思ったら、書きすぎないことが大事。
・資本主義的な競争社会においては、とりあえず目の前のものがビジネスにならないかを考えるのが正義。
・「これがやりたい」「自分に向いている」と思ったら、臆することなくチャンスを掴みに行くべき。
・日常だと疑わない会社中心の生活が、実は一緒に踊ってくれる人がたくさんいる異界である。
・たとえ女王であっても、別の秩序の支配するところでは、勝ち目がない。
・助けを待っているだけでは、現実を変えることは難しい。
・世の中には「言ってはいけないこと」がある。余計な種明かしをすべきではない。
・どんなに立派に思える人のいうことであっても、そのまま信じるのは危険だ。
・何ごとかを成そうと考えたときには、それに疑問を抱く人間に対しても誠実に対応する。
・「悪い奴らを成敗しました」という話には、必ずと言っていいほど、そういう侵略性が潜んでいることに注意しなくてはなりません。
・自分がそう考える根拠をはっきりさせることがポイントになる。
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池上彰、佐藤優著『グリム、イソップ、日本昔話 人生に効く寓話(中公新書ラクレ ; 806)』(中央公論新社)
2024.1発行
2024.1.15読了
現代を覆っている新自由主義的な考え方、ニヒリズムの思想に抗う武器として、古今東西の寓話を取り上げて紹介する本。
威勢の良い目標を掲げているが、所詮は文学素人による寓話評であり、特筆すべきことが書かれているわけではない。
社会から共感力が失われているという現状認識のもとで、「では、どうするか?」と考えたときに、100年、200年読み継がれてきた寓話の中から、現状を生き抜くためのヒントを見つけ出そうというのが本書のコンセプトであるが、私はむしろ現代作家の小説を読んだ方が良いのではないかと思った。自然科学や社会科学でまだ扱われていないような問題が、人文科学の最先端で扱われると考えているからだ。
本書で示されている解釈はそれはそれで面白いのだけれど、せいぜい飲み会や朝礼の場で使えるかなという程度の内容で、普段から本を読んでいる人には物足りないと思う。
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知の巨人・佐藤氏による寓話の解釈論(池上氏はアテンドの役割に近い)。題材全部面白いが、特に「かちかち山」「山ねこおことわり」「浦島太郎」「藪の中」の解釈には蒙を啓かされた。ストーリが時代背景をもとに改版されていくことからもわかるように、昔話・童話の類は一貫した教え・戒めにはなっていないからこそ、語り継がれることも認識を新たにした。読み易いが中身は濃い一冊。。
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「すっぱいぶどう」「蜘蛛の糸」など有名な童話や寓話が現代社会にどんなメッセージをもたらしているかを対談形式で紐解く。
同じ話でも視点が変わると見かたが変わるというのが面白かったです。
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目から鱗がポロポロ落ちる本。20の寓話を分析、深掘りし、現代社会に即応。勧善懲悪も教訓話も、池上氏と佐藤氏に懸れば、今までの認識が一気に覆る。児童書を前に真剣に語り合う二人が微笑ましかった。
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子供の頃から知っている童話。当時はただ勧善懲悪ものにスカッとしたり心温まる話だったり登場人物たちとふしぎな体験をしたりと物語そのものを楽しんでいたけど、大人になった今でも人生を上手に世渡りする知恵、さらに深い教訓を得られました。
対話形式で読みやすく、馴染みのある童話が多いのですっと入ってきます。と同時に現代の状況を踏まえてどう人生に活かすかを多角的に考えていく、興味深い本でした。