投稿元:
レビューを見る
教え方の本
できてるつもりになっている部下に気づく方法
答えを教えずに自発的な行動を促す
報連相では足りない要素を補っている。
体験型学習を取り入れたい人
教える効果を高めたい人
目標
自ら考える力を育てるためのアプローチや方法について知り、実践することで、子どもの学びを深められるようにする。
→目指すべきは知っているではなく、できるようになる仕組みを作ることだ。参加者が自ら考えるために1番大事なのは教材の質であることが分かった。必要性や実践性を感じられ、絶妙な難易度の教材になるよう試行錯誤してみる。
終わったあとにモヤモヤするような答えのない問題を時には取り入れていこうと思う。
仮説
答えを言わずに考えさせるためには、おもしろいと思うきっかけや、やり甲斐を感じさせる工夫が必要なのだろう。
それには体験するチャンスを与えることが必要なのかな。
要約
第1章
インバスケットは「模擬体験のツール」である。
当初は身につけた知識を活用できるかどうか測定するためのツールだった。
教育に活用することで、人の成長を促進することができる。
インバスケット教育とは「答えを教えない教え方」である。
世の中には絶対的な正解は存在しない。
生じる問題に同じケースなど存在しないからだ。
教えるべきなのは、答えを導き出す方法や思考法なのだ。
人は話し合うことで、気づきを発見する。
考える力が生まれ、別のやり方に気がつくことができる。
インバスケット教育は人が学びたいと思う要素を扱う。興味のある内容であること、アウトプット型であること、実践型であり、必要性がなければならない。
第2章
知識としては知っているが、それを活用して総合的に判断する力が備わっていない人がたくさんいる。
「知っている」と「できる」は違うのだ。
「答え」を教えると相手は喜ぶが、それでは問題を解決する力は育たない。
実践とフィードバックが得られる模擬体験の中から、答えを導き出すプロセスを学び、知識と組み合わせることで、あらゆる問題に対処できる再現性を身につけることができる。
インバスケットで扱う課題は明確な意図があり、実践的で、興味を引くものなので、考える力(判断力や問題解決能力)を身につけるのに役立つ。
実践的でリアルな事象を扱うことで、自分の行動や知識の活用レベルを振り返ったり、関連事象や次のステップについても想定するようになるからだ。
参加者がある程度手応えを感じつつも、失敗するような難易度に課題を設定し、問いを与えれば、何もしなくても勝手に参加者同士で学び始める。
明確な答えがないので、参加者は「もやもや」した状態となるが、その状態から自分なりの答えを導きださせるのが目的なのである。
第3章
インバスケット教育は知識や技能が活用されているかを測定し、足りない要素に自ら気が付くためのツールある。
よって、インバスケット教育を実施することを目的とせず、インプット学習と組み合わせながら���題解決のための手段として活用することが大事である。
インバスケット教育の構成要素は「教材」が5割「プログラム」が3割「トレーナー」が2割を占め、特に教材が大事であることが分かる。
教材作成の前に、評価する項目をや目標を設定しておく。
評価の観点は仕事のできる人達に共通する行動である「コンピテンシー」を用い、参加者の2,3割が達成できるような評価に調整する。
また、実施の際の目標設定が細かすぎると参加者自身の気づきが限定的になるので、目標は広く設定するようにする。
扱う教材の内容はリアルで「実践性」があり、「ストーリー」が面白いかつ、「答えがない」ようなものを考える。
設定した目標の達成度を測れる内容でなければならないし、参加者の意見が分かれるようなものでなければ、新たな気づきが生まれない。
教材の場面は、参加者の今のポジションでは扱わないような設定にし、固定観念が働かないようなものが良い。
活動の主な流れは、まずインバスケットの説明及び目的の確認をし、案件について考えるインバスケットテストを実施する。
テストをグループ内で振り返り、発表する、トレーナーによるフィードバックを受け、自己チェックする。
活動時間に合わせて優先順位を付けて、時間配分を決める。
基礎的な知識がない場合は、事前に知識技能に関する内容を講義し、インバスケットテストを行うようにしてもよい。
受講者にこの活動をする必要性を感じさせるような導入が必要である。
テストは同じ環境、条件で回答させる。
テストの形式は自由回答が基本で、書き方の大枠のみ指示する。例えば「普段の話し言葉のように書く」などである。
模範解答は参加者の考えを固定してしまうので不要である。
活動グループは4名が基本で、端数は5名にする。所属や性別などで固めずに、異質な組み合わせにする。
意見が出やすいようにパワーバランスを考える。
グループワークを成功させるためには、トレーナーがテーマを決めて意見交換させ、最終的なアウトプットに繋げるための適切な時間を設ける。
講師は発表時、発表内容とそのように考えた理由を答えるように指示し、聞き手に徹する。全員の気づきに繋がる場合は質問を行う。
発表時間も制限すると意見が洗練されたものになる。
フィードバックはトレーナーにとって最大の難所である。
回答に正解はないということを肝に銘じ、主観を取り除き、結果ではなくプロセスを評価するようにする。
考え方の違いに気が付くのはトレーナーではなく、参加者である。
プロセスを褒め、ときには指摘することで、気づきを与えることができる。
トレーナーはインバスケットを使って何を教えたいのかという「本学」を忘れないことが大事なのである。
トレーナーは参加者が気づきを得るように表現を工夫するなどのファシリテーション能力が求められる。
「〜するべきだ」ではなく「〜すればあなたにこんなメリットがある」のようにだ。
あえて自分の失敗談を話すことで、参加者も自分以外の考えを受け入れやすくなる。
参加者の「癖」を自分で気づかせる技が求められる。
例え��ならば、直球という持ち球しかない自分に、違う考えという「変化球」を習得させるように導くのだ。
研修を研修で終わらせないために、現場での活用をイメージさせる。
自分で継続的にできる具体的な行動を決めさせる必要がある。
つまり、自分なりの正解を考えさせ、見つけるように促すのだ。
正解を求める参加者もいるだろうが、これから求められる人材とはマニュアルに従って動く人間ではなく、状況に応じて最適解を求める人間なのだ。
第4章
インバスケットはその人の判断のプロセスや目に見える行動を測ったり、できないことを自分で認識し、どうすればいいのかという気づきや視点を与えたりできるが、知識や技能を教えるものではないし、その人の内面や傾向は測りにくい。
インバスケットは万能なツールではないので、さまざまな方法と組み合わせることが必要なのだ。
気づきを与えたあと、参加者の多くは、気づきを実践しようとするが、やがて前の状態に戻ってしまう傾向にある。
継続するためには、ポイントがある。
1つ目は、現場で実践しなければならないという状況を作り出すことである。それには職場や上司の協力は欠かせない。
2つ目は、同様の研修を定期的に実施することである。
3つ目は、資格や検定などの目標を設定することである。
人間は弱い生き物だということを認識し、継続して学ぶ環境や制度を作ることが継続の秘訣である。
とくに討論や実践に以上に他者に教えるという行為が学習効果を得るのに最適だと言われている。
教えることは人を変えることである。
インバスケットは気づきを与える強力なツールであるが、人を傷つけるツールでもある。
人を変えようという意識で用いるのではなく、相手に変化する必要性を考えてもらうことを目標にしなければならない。
帯コメント
インプットとアウトプットを組み合わせて柔軟に課題解決に取り組める人が求められている。