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貫井徳郎って、こういう世の問題を投げかけるような物語が多い。嫌いじゃないし、結構いつも考えさせられる。
問題解決にはならないんだけど、この本の読者が少しでも問題行動を認識して自身を振り返ることができればいいな。
過去は取り戻せない、でもこういった問題提起をすることがまず必要だよね。
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小学校5年生の時に自分がいじめた相手がそれにより人生を踏み外しのちに重大事件を起こす犯人となってしまったら…。何とも怖い物語だった。そんな恐ろしい事の原因を作るなんて子供の頃の幼さでは想像もしていないだろうに…。想像力の無さがこんなに悲惨な結果を生むのか。犯人の絶望もわかるけどアニコンでただ自殺するという方法もあったはずで、どんな理由があっても無関係の人を巻き添えにしたのは許されない。犯人の母親の「どのボタンをかけ違えてしまったのかわからない」という苦悩が痛い。弱肉強食の動物世界でなく、手を取り合うのが人間社会。昨今、やまゆり園の事件でも社会に有益じゃない人はいらないという考え方に恐怖を感じたがどんなに文明が栄えても人を思いやる精神的な能力が高くなっていかない社会なのが悲しい。もっと想像力をもちたいと思った。
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昔いじめてた同級生が起こした殺人事件の動機をいじめのきっかけを作った主人公が追いかけ続ける話。
主人公の心情、他の登場人物(いじめの主犯格、被害者家族、現場撮影者)へも事件は波及して、それぞれ心情の変化を描写している。
自分と向き合う大事さ、を教えてくれる本でした。物語の締めまでの流れもきれいで、分量は少し多めなものの、すくすく読めました。
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ずっと気になっていた貫井徳郎をはじめて読んだ。よかった、その一言に尽きる。
ひとは、自分がとる何気ない行動が、取り返しのつかないほどのダメージを他者に与えていることに気づいていない。ちょっと想像してみたらわかることなのに、それをしないから。
この小説は、ある男が無差別殺人を引き起こしたことから始まる。男をここまで追い詰めたものはなにかを探るなかで浮かび上がるのが、「人々の想像力の欠如」。
人々の何気ない行動から取り返しのつかないダメージを受け、社会の底辺に追いやられた登場人物が語る絶望はとてつもなく重い。一方で小説の最後には、一縷の希望も垣間見れる。
社会は、人々の心がけ次第で、良い方向にも悪い方向にも動かすことができる。
将来子どもに読んでほしいと思った一冊。
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その先に何が生じるか、考えること、想像することで変えられたかもしれない連鎖。
流れは、一度加速すると止められない。
目に見えない、「何となくの」嫌な流れ。
(いじめ、募金活動。自分で考えての行動ではなく、周りがそうするから、悪い噂が流れてるから、相手にも非があるから、巻き込まれたくない等々)
小学校の時にいじめた元生徒二人。
事件と関わった人たちの心の変化。
被害者と加害者。
被害者同士、家族でもさまざまな考えがあって、ここにも想像力が欠如しそうな場面が出てくる。厚子も怒り、憤る中で、暴走しそうになるが、ある一人の被害者遺族の考えで思いとどまる。
絶望で死を選んだものと、それでも生き続けるもの。
すぐには無理でも、人は変われる、勇気を少しでももてれば、想像力をもてればと、ラストは安達の行動、優しさで終わる。
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凶悪大量殺人犯の犯行目撃者、同級生、支援を受けた人、被害者家族…
それぞれがそれぞれの思惑の元行動する
そんなお話です
それぞれが考える犯行動機も様々で、
幼少期のいじめに対する復讐、社会的弱者としての社会への恨み…
やがて1人の人物が真実へ辿り着くのですが、
その過程の人物による考えの違いが面白いです
ああ立場によってこんなにも違うものなのか、と
話のベースには近年あった放火殺人事件があるようで、
ストーリー中にその事件と類似する点がところどころにあります
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ぞっとしました。
いろいろな人の立場で物事を想像しなければ、取り返すことのできない方向に進んでしまう怖さを感じました。
悔しさや悲しさをどういうふうに受け止めて行動していくのか、
また自分の言葉や行動に責任を持っていきたいと思いました。
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面白かった!
「想像する」という事が色んな方向に関係してる。
想像できれば防げた事、想像できなくて起こってしまった事、想像して欲しくて起こしてしまった事。
考えさせられる内容だった。
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斎木の言葉、人間は動物からの進化の途中って言葉ハッとさせられた。
人間は社会を作る理性的な生き物だけど、完璧にできているわけじゃなくて感情や本能のままに仲間を傷つけたりするんだと。よくない事と分かりつつ、集団だからとか、出来心だったとか、何かと人間らしい理由をつけているけれどね。それはただの表向きの理由ってだけで、自分の中の動物的欲求を我慢できなかったという事ですよね。
多かれ少なかれ加害者になったり、被害者になったりして社会は続いて行くんだと思います。そのバランスは人間が画一的ではない限り、偏りができるのは自然だと思います。
本当は、加害者にも被害者にもなりたくないですが。
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貫井さんらしい小説でした。
大量殺人の理由についてはちょっとなぁ、という感じでしたけど、全体を通じて面白かった。
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正に現代日本の問題を象徴するかのような社会派作品でありホワイダニットに重きを置いた推理小説
ただ推理小説として読むよりは問題提起の小説と捉えた方が良さそう
大きく登場人物は四人に分かれるがうち二人は登場して割とすぐに出てこなくなる
また犯人の動機としても首を傾げる部分もあり自分としてはあまり好きになれなかった作品
ただラストの前向きな様子は好感持てた
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人の闇と絶望をリアルに書いてあり考えさせられた。犯人の犯行動機は少し弱い感じした。無理矢理感がありそこまでするかって感じた。ただ犯人の動機を調べる過程は面白い。どうなっていくのか想像したが意表をつかれた。
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2024/2/25
大量殺人を犯したのは、昔自分がいじめた相手だった。
一気読みした割に、読み終わってからなかなか感想をまとめられなかった。
「昔いじめられた」ていう人はいても「昔いじめしてた」て言う人はいないよね。
わたしも後者。
そんな人がこれからできることって何があるんだろう。
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無差別大量殺傷事件の犯人が、小学校の同級生だった。しかも犯人はいじめられたことをキッカケに、人生に躓いていたらしい。だがそのいじめのキッカケを作ったのは、他ならぬ自分だったーーーという、我が身に置き換えたら背筋が凍るような小説。
「事件を起こす人間が悪い」と切って捨てることができる人間もいるだろうけれど、主人公・安達のように「自分が事件の遠因を作ってしまったのかもしれない」と苦しむ人間もいる。そして安達はその悩みを抱え込み、犯人が何故そんな事件を起こしたのか探ろうとするーーー。
貫井さんらしい、くっそ重いテーマなのよ…。事件を起こした直前ではなく、何十年も前の罪について問うという…。
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小学生の時のたった一言。その一言が生まれるまでの経緯や、その一言からパニック障害になるまでの描写、心情がとてもリアルで、貫井さんの文章はやっぱり面白いなぁと、どんどん読むのが止まらなかった。後半は、とんとん拍子に進んで終わってしまったのが少し残念。もっと読みたいと思った。