紙の本
最後の日をどう迎えるか
2024/03/12 14:16
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投稿者:amami - この投稿者のレビュー一覧を見る
一月後に世界が滅亡する事になったら好きな事をやり尽くす!と思っていたけど今の状態で一カ月過ごせるわけが無い事を突き付けられる。一ヶ月後に滅亡するのに仕事を続ける人は、どのくらいいるのだろうか?
食料や資源の奪い合いが起きるのかとか思うと滅亡の瞬間を迎える事自体がなかなかハードだと気付かされた。
紙の本
最期へ向かって
2024/01/31 04:41
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初、あらすじを知った時に、伊坂幸太郎さんの終末のフールが頭に浮かびました。実際、対談でも挙げられていたので、設定としては似ている。
けれど、こちらは残り時間が一ヶ月と短いため、混乱や恐怖が強く、人間の醜さと優しさがより顕著だと思う。
どうしたって死んでしまうなら、自分ならどう残りを生きるか。
個人的には蕎麦屋のお爺さんお婆さんがとても好きでした。
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地球が滅亡する一ヶ月間を描いた話。
静かに終わりを迎える話かと思いきや、無秩序になって崩壊していく日本の話だった。その時点で最初に抱いた印象と違う(笑)
凪良ゆうといえば、神さまのビオトープとか流浪の月みたいに、誰もに寄り添う話を書くと思っていたので。
一話目のいじめられっこの話は「ん~」と思ってたけど、二話目の荒くれ者の話読んで「なるほど、こう繋がるか」と納得。そこから何週間か放置して、次に静香の話が来て一気読み。好きなの、強い女。
最後の路子ちゃんの話も面白かった。芸能界の汚いところが見えて。
やはり私は凪良ゆうの心理描写と比喩表現がとても好き。堪能させていただきました。
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凪良ゆう作品なので、
文庫化されてやったー!と思い
即読み始めた。
今までの作品よりは、
少し物足りなかったかなー。
地球滅亡の最期どうなったかを
もう少し描写してほしかった。
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一ヶ月後に地球が滅びてしまう世界での
最期の一ヶ月を4人の視点から描いた作品。(巻末の掌編小説を含むと5人)
精緻な心理描写に心動かされました。
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最高でした。私は大好きです。
凪良ゆうさんの作品の中でいちばん好きです。
もっと早くに読んでおけば良かった。
登場人物の気持ちが変わっていく描写が良かったです。上手く感想を書けないのが悔しいです。私が下手くそな言葉で紹介しても意味が無いと思うのでとにかく読んで欲しい。
私は静香さんが好きです。
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あと1ヶ月で地球が滅びて死ぬと決まったら、私は一体何をして過ごすだろう。
なるべく幸せな時間を過ごしたいけれど、私にとって幸せとは何だろう?
ずっとそれを考えながら読んだ。
絶望の中での希望、幸せ。愛とは?罪とは?
あと1ヶ月となったら、お金や権力なんかは必要ない。必要なのは愛だけ。
今もいつまでとはわかってないけれど、いつか終わりは来るのだ。
明日大震災が来て終わるかもだし、事故に遭うかもだ。
難しいのは期限がわからないから。
でも期限がわかって正気でいられるか自信がない。
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登場人物のキャラクターがなんだか好きで
面白くてサクサク読めた。
あんまり読んだ事ない展開の物語で良かった。
1ヶ月後に地球滅亡するんやったら自分ならどう生きるかな…
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1ヶ月後に人類滅亡だよ〜と報道されてからの
登場人物の人生から何かを吹っ切れる様子、それが幸せだと感じられて、普段からいろんなものに縛られて、圧されて、自制をしてきたんだなと。
個人的には静香さんがかっこよくて愛が深くて大好きで、恵那くんと藤森さんが愛らしくてほっこりしつつ自分が1ヶ月後に死ぬってなったらどう行動をするんだろうと不思議で想像がつかないからこそ楽しめて読めた。
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この人、何書いてもおもしろいな…。いや、私がただ凪良ゆうさんの文章が好きなだけだと思うんだけど、先日読んだ凪良ゆう先生の対談集の『ニューワールド』で編集者たちのあいだでわりと明るくてほのぼのした『白凪良』とシリアスで重苦しい『黒凪良』があって、なかでもこの『滅びの前のシャングリラ』は一番『黒凪良』だって言っていた
なのでこれは大丈夫だろうか…と思っていたけれどこれも何の心配もなくおもしろかったし、やっぱり人間讃歌に落ち着くところが好きだな。人間ってどうしようもなくて愚かで弱くてずるいけどそれらでさえも愛しさを見いだせるのがすごくいいなあと思うしだからこの凪良ゆうの作品が好きなんだろうな~~~新刊出ないかな~~~~
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地球滅亡前のひととき、本当の自分自身を取り戻せたり、本当に会いたい人に会えたり、それ以前にはなかった幸せを味わえる人々の物語。世間がパニックに陥る中で彼らの束の間の幸せが際立つタイトル通りのお話でした。
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読みやすく、面白かったです。
最後は夜更かしして読みました!
一ヶ月後に小惑星が衝突し、地球は滅びる。
それを知ってどう生きるか。
誰もが負の感情に支配され、どこへ逃げようと逃げ場など無い世界で、それでも最後の時まで精一杯生きる人たちがいる。
むしろこの一ヶ月のほうが、自分らしさを取り戻せた人たちもいる。
欲望のままに奪い合い、傷つけあうのが普通となった世界の中で、それでも、お互いを思いやって生きていくことの大切さと難しさを感じました。
もし、現実世界が一ヶ月後に滅びるのが分かっているなら…
「いい人生だった!」と最後に思えるように生きたいと思いました。
本はやっぱり面白いです。
この作品との出会いに感謝致します。
ありがとうございました。
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もうすぐ地球が滅びる
その前にどう行動するか…
想像したくないけど本当にこんな混沌とした状況におちいるのかなぁ…
殺伐とした情景が思い浮かんで途中から読んでいてしんどかった
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「1か月後に小惑星が地球に衝突して、人類が滅亡する。」こんなニュースを目にしたらあなたはどうしますか。この本はあたりまえに続くと思っていた毎日に期限がつき、思い描いていた未来が閉ざされた時、この世界がどうなってしまうのかを描いた作品です。突飛な設定に思えるかもしれませんが、私はコロナ下の今と通づるものがあるなと感じました。人類滅亡を伝えるニュースを目にし、一般の人々は「きっと専門家が何とかしてくれるだろう」と考え日常を何事もなかったかのように続けていきます。しかし、テレビの番組が放送されなくなったり、スーパーから食料品がなくなり始めたりすると、学校が閉鎖され、電車や車で人々は疎開を始めます。なんとなく想像できる状況だと思いませんか。荒廃した社会の中で、高校のスクールカースト底辺に属していた友紀は、秘かに思いを寄せる少女を守ることを決めます。いい大人なのにチンピラから抜け出せない信二は、かつて愛した女性を探します。平和な社会では上手に生きることができなかった彼らは、この状況にならなければ自分から行動することはなかったでしょう。彼らの一歩はどのような結末に向かっていくのか。人類はどうなってしまうのか。物語の世界を味わってみてください。
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わたしも明日死にたいと思うことがままある。誰にも必要とされていないと感じることも多い。だからこそ、路子の章はグッと来るものがあったし、彼女の心境の変化や言葉には共感した。敏い江那くん、同じく家族の愛に不信感を抱く藤森さん、肝っ玉母ちゃんの静香さん、頭に血が上ると手のつけられない信士さん。章が進むごとに彼らの辿ってきた経歴や心境、関係性が明らかになり、彼らが互いをいかに思い遣っているかを知ることができる、とても聡くて深い作品だった。全員に平等に死が訪れるという究極のシチュエーションのなかで、人々は誰を想い、誰とどのように過ごすのか。とても心のある、優しいお話だった。
p.90 「悲惨な目に遭ってたら、身の回りがそんなに行き届かないと思う」
小学生のころ、少ない服を着回していることをクラスメイトにからかわれたことがある。
そのとき、うちは貧乏なのだと知った。不幸はいつも他人の目や口によって露わにされる。
p.190 ーーあたしたちは、なんで、まっすぐ生きられないんだろう。
あたしは親に殴られて育った。信士もそうだ。毛のように手足を引っ込めて丸まり、なぜ殴られるのかわからないまま、ごめんなさいと必死で謝り続けたことを一生忘れないだろう。その痛みを知っているのに、どうして士は嫌悪する親と同じことをするんだろう。
子供はこれから建てられる新築一軒家みたいなもので、家を支える柱の一本一本に、あたしゃ士は暴力という名の傷をたくさんつけられた。家が完成したときにはそれだけを抜き出すことはできなくなっていて、どれだけ築年数がいっても傷ついた柱はそこに立ち続ける。
あたしや肩士や悪い仲間たちを支える柱は脱弱で、なにかことが起きるたび家全体が不安に揺れた。信士が拳で鳴らす鈍い打撃音は、幼いころ散々傷つけられた柱が軋む音で、そんなものいっそぶち折って、自分と言う家事、壊したがっているように思えた。信司の衝撃を凄まじく、それは時に恋人である私には向けられる。シンジがドアホだとしたら、私はアホで、同類なのに、少しましな分、シンジよりシンジの全体がよく見えた。こいつ苦しいんだろうなぁ、寂しいんだろうなぁ、あったかい飯を食わしてやりたいなと、してやりたいことが増えることに惚れていったように思う。
p.210 友も雪絵ちゃんも生えている。暴力というカードにも裏と表がある。悪漢を叩きのめすのはいいが、老夫婦殺害は受け入れられない。そりゃそうだろう。けれどそれは善悪ではなく、自分が許せるか許せないか、自分の気持ちゃ正義に添うか添わないかだけの判断で公正とはほど遠い。
みんな勝手なもんだ。そう思いながらも、怖いから信士と暮らしたくないと友間が言ったら、あたしはもう一度友たちを連れて逃げるだろう。あの寂しがりの男を最後の最後にまた置き去りにするだろう。あたしは母親で、あたしの一番は子供で、一番勝手なのもあたしだ。しばらくするとスマートフォンが鳴った。信士からだ。
「花を探してきてくれ。なんでもいい」
p.248 愛情にも適正な距離というものがある。近づくほどに深まるものもあれば、離れている方がうまくいくものもあり、憎んでしまう位なら手放したほうが良いこともある。
p.253 「お父さんから喧嘩の仕方を習うんだ」
「なんのために」
「強くなるんだ」
あと十日しかないのにーいまさらすぎる言葉を飲み込んだ。
「藤森さん、最近すごく不安定なんだ。さっきまで普通に話してたのに、急に泣き出したりする。だからぼくは絶対に怖がらないでおこうって決めてるんだよ。あと十日、藤森さんを守れるように強くならなくちゃいけない。まあ、守りきれはしないんだけど」
「おまえは怖くないのか」
「怖いに決まってるだろう。でもこうなる前の世界より、ぼくはずっと自分が好きなんだ。
前の世界は平和だったけど、いつもうっすら死にたいって思ってた」なにげなく放たれた言葉の重さに胸を衝かれた。
「今は死にたくないって思ってるよ。でもあと十日しかない。悲しいし、怖いし、最悪だけど、それでも、ぼくはちょっといい感じに変われた気がする。あのままの世界だったら、長生きできたかもしれないけど、こんな気持ちは知らないまま死んでたかもって思う」友樹は恥ずかしそうに人差し指で身の頭に触れた。
「それって、どっちがいいことなんだろうね」あたしは答えられず、友樹も答えは求めていないようだった。
「もうすぐ死ぬんだし、お母さんも遠慮なくお父さんといちゃつけばいいと思うよ」
p.331 一時期、SNSを更新するのが怖かった。なにをアップしても、混みたいなコメントをなすりつけられる。周りは気にするなと言うが、馬鹿か、気にするに決まってるだろう。
けれど反応したら負けだと論され、がんばって心を麻薄させていった。なにに触れても痛みを感じないよう、笑わず、泣かず。あれは間違っていたと今では思う。
どうして石を投げられているほうが痛みを我慢しなければいけないのか。石を投げているほうが悪いに決まっているだろう。けれど今、ぶつけられる愛と憎しみが倒れそうに嬉しい。
p.341 あたしがSNSを更新するたび、尽きない泉のようにどこからともなくあふれてくるコメントを思い出す。憎悪、愛情、憎悪、また愛情。延々と続く輪。
1路子が正真正銘、日本で最後の歌姫や。
そうなんだよ、ポチ。あたしは歌姫で、実のところ、ようやくそこから解放される安堵を感じている。おまえの肩に何千人という関係者の生活がかかっていると脅されなくていい。新曲を出すたびオリコンチャートを気にしなくてもいい。今度こそクジラに抜かれるのではと怯えることもない。生きるために食べたものを吐いて、あたしはなんのために生きているんだろうと、涙と鼻水と延にまみれなくていい。あたしはやっと、ようやく、ゲームの盤から降りられる。
明日死ねたら楽なのにと、Locoだったあたしはずっと夢見ていた。
その明日がついにやってくる。
あたしはしゃがみ込み、地面に手をついているポチを頭ごと抱きしめた。もうなにもできることはないのに、それでもあと十五日ばかりの間、あたしたちは呼吸をし、食事をし、排出しなくてはいけない。ただ死ぬために。それにどんな意味があるのかわからないまま。
ーなあ、生きるってなんやねん。
あたしはその答えを、いまわのきわまでに見つけられるだろうか。
p.351 「そうやって、自分を支えとるんやないかな」「支える?」
「なんもやることないと、おかしうなりそうやん」
みんなが黙り込んだ。ほうっとただ死がやってくるのを待つのは耐えられない。それくらいなら誰かに頼りにされる自分、崩れそうな世界を支えている自分、という自負心でもって迫りくる恐怖をコーティングしたほうがいい。皮肉なことに、死を前にして、みんなが自分たちが生きる理由を探しはじめ、それは善悪に関係なく行われている。
誰かの役に立ちたいと願う人もいれば、暴れることに命の煌めきを見いだす輩もいる。
あちこちで暴動が起きているけれど、ガラの悪いおっさんたちが守っているおかげで、このあたりはまだ安全だし、町内会による炊き出しまである。食料があると聞きつけて夜襲をかけてきた連中は返り討ちに遭い、逆に車に積んでいた物資を根こそぎ奪われ、命からがら逃げていった。
裏を返せば、町を襲ってきた連中とあたしたちは変わりない。腕自慢の連中が毎日町のへと出かけ、食料を担いで帰ってくる。どうやって調達してきたのか誰も問わない。自分たちが食べるために誰かから奪い、それを見ないふりで小さな平和を享受しているのだ。
毎日自分たちの弱さや卑しさを恥じながら、それでも生きるしかない。絶望と目を合わせないよう、誰も善悪を断じない。断じる資格が誰にもない。
「大丈夫や。神さまのやることには必ず意味があるんやから」南実ちゃんが穏やかに言い切った。
「あたしらは罰を受けるんやない。人間がおらんようになったあと、世界にはすごくいいことが起きるんやて。おっきい隕石で恐竜が絶滅したときも、そのあと哺乳類が増えて、それがあたしらにつながったやろ。それと同じ。きっとあたしらよりいい『なにか』が生まれるんや。波光教の地区長さんが毎日お話を配してはって、わたしもお義母さんと一緒に聞かせてもろてんねん」
南実ちゃんは自分のふくらんだお腹に手を当てる。聖母の笑みと言っていい。
「そうやんな?」
南実ちゃんに問われ、ポチは大きくうなずいた。
「そうや。俺らにはわからん、でっかい意味があるんや」うなずき合うポチと南実ちゃんは穏やかで幸せそうに見えた。
ああ、そうか。ふたりはこういう「納得の仕方』を選んだのだ。
みんな、なにも言わない。ここまできたら、それぞれがじたいものを肩じ、自分なりの方法でそのときを迎えるしかない。他人から見て納得できる、できないは関係ない。
生き方も、死に方も、それぞれの胸のうちだ。