投稿元:
レビューを見る
文庫の裏書きに「32年にわたる大河恋愛長編」とあって、興味を惹かれて買いました。設定は、私より少し上の世代の4人の高校生が、軽井沢で友情をはぐくんでいるところから始まる。二人の高校生の男女は軽井沢生まれ、軽井沢育ち。特に貧しいわけではないが、昭和だから、今よりはまだ貧しく、誰でも大学に行く時代でもない。軽井沢育ちの二人は、慎ましい家庭に生まれ育っている。一方、もう二人の高校生は、東京のお金持ちの子女で、軽井沢に別荘があり、避暑にやってくる。親の立場の違いはあれ、4人は幼いころから仲良くしていた。
18歳の秋、もう冬が近づいている頃。4人は高校生最後の思い出に、浅間山に登る計画を立てる。そして軽井沢育ちの少年、英次が亡くなるという悲劇に見舞われる。
登山の途中何度も、創介が引き返そうと言ったのに、無理をしてしまったのだ。
罪の意識を背負いながら、その後の人生を歩む残された3人の物語。
創介も英次も、軽井沢の女の子稀世が好きだった。4人で登山をしているとき、稀世は二人にそれぞれ、打ち明けられていた。しかし東京の女の子、未来子が創介のことが好きなのもわかっていた。死ぬ間際に告白されたことなど、誰にも打ち明けられない。
それに、英次の死に責任を感じる3人は、自分は幸せになる権利はないと考える。
その後の3人の人生。
出会いと別れ。すれ違い。
3人の目線が入れ替わりながら物語が進んでいく。
だんだんと入れ替わる間隔が短くなって、年齢を重ねるごとに時が経つのが早く感じる感覚のように、物語も進んでいく。
あの一瞬がなかったら…と思い、悔みながら年を重ねる3人。
切なくて、涙が出ました。
大河恋愛長編!なるほど。こういう小説を大河恋愛長編というのね。
投稿元:
レビューを見る
大人になって、歳をかせねて、いろいろな事を経験しても、18歳当時あの時だけは、ずっとあの時のままで、その感情から逃れられない大人の切ない甘い物語。
投稿元:
レビューを見る
複雑に絡み合った男女の関係が、この後どうなるのだろうかと気になり一気に読み進めた。
内容は友人を登山中の事故で亡くすという、重たいものであったし、その事故というのも一緒に登山した男女関係が大きく関係していたので、それぞれに責任を感じるところがあるなと思いながら読んでいた。運命の悪戯で大人になってからも、事故から数十年経ってからも不思議な縁で繋がる関係性が、各々の人生にとって大きな影響をもたらしていることが伝わった。
それぞれが抱く思いと共に人生を生きてきたのだと強く感じた。
また、自分にはそんな経験はないが、身近な人を、もしかしたら自身や周りの過失で亡くすというのは相当精神的にくるものがあると感じた。簡単な言葉では現せないほど、苦しいものがあると思った。
内容が重たいことも相まって、読み終わった後、幸せな気持ちというよりかは、色んなことを考えさせられる本であった。
投稿元:
レビューを見る
浅間山でひとりの高校生の死をきっかけに、それぞれの人生を歩む3人の高校生たち。
稀世の父親がいないことで憂いにあい、目まぐるしく変わる人生
創介の人生も親の庇護を捨て、ひとりで生きていこうとする
未来子もまた、大きな姉の存在に苦しみながら、人生を切り開いていく
32年という時間が経ち子供は大人へと成長していく。自分も今、同じ様な年齢だから彼らの人生を重ねながら読むことができました
山は人に希望も絶望も与える
日々のルーチンの中で生や死を感じることはなかなかないと思う
自然を通じて、死を感じることで人は生を身近に感じ、もう語り合うことのできない人の姿も感じるのかもしれない
投稿元:
レビューを見る
恋愛小説ひさびさ読んだけど、恋愛小説とは一言で括れない、4人の素晴らしい人生があった。とてもいい本。
投稿元:
レビューを見る
とても良かった
1人の死をきっかけに大きく変わった3人の人生
それぞれの人生が重なったり離れたりしながら展開されていく
人生とは真っ直ぐなものではなくて曲がったり折れたりしながら進んでいくもの、歳を取っても結局若い頃の自分の横にいるのかもしれない
生きた人生と生きたかもしれない人生
考えたらキリがないけど、それでも選択をしながら一生懸命に生きていくしかない
何となくドラマ化か映画化しそうな作品であった
投稿元:
レビューを見る
ひさしぶりの唯川恵。新聞連載らしく、文章も素直で、ページをめくる手が止まらなかった。最後の創介と稀世の浅間山登山については賛否両論あるが、あんまり納得できなかった。
解説の谷口けいさんは、2015年、山で滑落死された方だと知った。2012年刊の新潮文庫版の解説を引き継いだものだろうか?山での死について書かれているが、その後のことを思うと、複雑な気持ちになる。
細かいことを書くようだが、唯川恵さんは金沢女子短大卒。金沢短大ではありません。