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1933年から雑誌「新青年」に江戸川乱歩が連載した『悪霊』の第一、第二、第三回と、第三回のあと掲載された連載を中絶するお詫び、そこに芦辺拓さんが原稿を追加した作品。
さまざまな謎が取り残されたまま中絶された『悪霊』。
そのトリック、動機、中絶に至った本当の理由が芦辺さんによって明かされる!
ぶっとんだ推理に驚かされました。
大胆な謎解きはなるほどと思わせてくれるけど、この自由な発想に、思わず私も私なりの謎解きと筋立てができないか挑戦したくなってしまう、そういう面白さもありました。
最後には誠実なぶっちゃけ話もあり、この挑戦に好感がもてました!
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江戸川乱歩が連載を中断した、未完の作品『悪霊』。書簡体で描かれる物語は、メインの趣向や犯人が知れ渡っている作品でもある。その伝説的な作品に、芦辺拓が結末をつけるという。果たして、虚と実を着地させる発想は見事であり、無邪気なミステリ読者への一撃も効いている、メタミステリの良作である。
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江戸川乱歩伝説の作品『悪霊』を芦辺拓が引き継いだ時代を超えた共作です!
何処から何処までが乱歩か芦辺か分からないぐらいスムーズに描かれた作品で、芦辺的解釈で上手く着地させてます!!
ただ近年のミステリーに慣れてたら物足りなさと読みづらさがあるかも!?
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乱歩先生が本当にここで休載したという連載小説の続きを今、芦辺先生が解決してくださった。
なるほどこのような事情なのではさすが乱歩先生も休載せねばなるまいねという納得のゆく解決編でした。
時を遥か超えそれでも紡がられてゆく一流の探偵小説にページをめくる手がとまらなかった。
乱歩先生の時代のままにオドロオドロしさが残っていて紙質、フォントが変わっていなかったら、素人読人の自分では現代に戻ってこられなかったやも。
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★5 江戸川乱歩の未完作『悪霊』 遂に続きと謎が明かされる!乱歩愛に満ち溢れる合作 #乱歩殺人事件
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリー好きと言いながら、実は乱歩作品は傑作選にある有名どころの短編しか読んいない私…
こんなにも面白いとはびっくり! 古典と言っても特段読みづらくもないし、むしろ文字がするりと入ってきます。装丁もフォントも紙質すらも風情をだしていて、カッコイイし、不気味な雰囲気ながらも艶っぽく魅惑的。
謎解きも意味不明な問題を出されて、底知れないポテンシャルを感じます。いやー痺れました。大変勉強不足だったと反省しております、やっぱり大学で文学をしっかり研究したいなぁ。
本作は江戸川乱歩が途中休載してしまった『悪霊』に対して、芦辺先生が続きを追加した作品。さらに単に物語を紡いだだけではなく、なぜ乱歩は休載することになってしまったか、なぜ乱歩殺人事件というタイトルになっているかなど、非常に手が込んでる。二度三度美味しい仕掛けが技ありですね。
個人的には乱歩が書いた問題提示がめちゃくちゃ面白く、どんな真相を描いてくれたんだとワクワクしてたんですが、これが素晴しかった。伏線っつーか、乱歩のオリジナルの文章の中から怪しいところを拾い上げて、それを推理につなげていくんですが、犯人と動機、隠されていた真実がかなり衝撃でした。謎解きの納得感が高く、しかも乱歩の世界観も保たれてる。
目ん玉が飛び出たのは、紙に書かれた「符号」の解答ですよ。乱歩だったらありえる、そうだったのかも!と思えるほどで、精神にくる解答に打ち震えましたね。
■ぜっさん推しポイント
芦辺拓先生のあとがきにもありますが、乱歩愛が満ち溢れていて嬉しくなります。こんなにも愛せる作家がいるなんて、ホント幸せなことですよね。
そして乱歩の歴史から作品から何から何まで、よくここまで調べました。研究書としてもあっぱれな作品で、きっと今年を代表するミステリーの一冊になるでしょうね。
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江戸川乱歩の未完作「悪霊」。真相とされている「通説」をひっくり返し、それを踏まえて中絶の理由に言及している。
フォントの違いや差別表現を含めた旧来の言葉遣いが雰囲気を出している。
そして、作者が提示した真相は、(私が考えている)乱歩らしさがふんだんに盛り込まれていて、乱歩作品としてありそうだと思った。書き継いだ勇気に拍手。
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途中から別の人が引き継いだものって、違和感があるんだけど、これは完璧なんじゃないかと思う。しかし、ただただグロくて、読むのがしんどかった。
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江戸川乱歩の書き下ろした「悪霊」が、ルビ付きで旧かなづかいのないおかげで、とても読みやすくすぐに入り込めた
まるでからくり箱のように、ここか?ここを開けるのか?そうなのか!と、ただ書きつなげただけかと思っていたのに、こんなふうに入り組んで二転三転して、これは書いている人(芦辺拓)も楽しかったろうなぁ
あとがき込みで終了する本です
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謎解きに興味のない私は乱歩への関心に本書を手にとった
中断した作品に作者が登場する。書き手のトリック、子どものトリックは名作にある
だか、猟奇・欠損する人体・土蔵・覗き・変装・鏡・少年...と乱歩ワールドが展開する
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江戸川乱歩のもとに小説の材料として売り込まれた記録から話は始まる。資産家の美しき姉崎未亡人が密室の土蔵で全裸で殺されていた。現場に残されたメモに書かれた奇怪な記号。事件前に目撃された矢絣の女。死を予言した黒川博士の盲目の養女。邸前の空き地にいるいざりの乞食。未亡人を取り巻く心霊学会の仲間たち。心霊学会が降霊術を行うと、盲目の養女に降りた霊が「犯人はこの中にいる」「次の犠牲者はこの中にいる美しい人」と言う。
雑誌「新青年」に連載された乱歩の「悪霊」はもともとここまでで中絶するのだが、芦辺拓はこのあとを切れ目なく繋げて真犯人を提示、さらには乱歩が中絶した理由まで説明してしまうのだ。どこが切れ目なのか正直見分けがつかないくらい、耽美的で猟奇的でグロい乱歩の世界観を見事に再現している。乱歩本人ではなく乱歩ファンの芦辺拓が乱歩の世界を書くんだからそのツボは見事にファンの心を押さえている。200ページほどなので一気に読んでしまった。
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江戸川乱歩の未完の作品『悪霊』を芦辺拓が引き継いで“事件を解決”した一冊。公開済みの文章から謎や伏線を掬い上げる試みはこれまでにも乱歩ファンや研究家によって行われてきたが、本書が出色なのは「なぜ乱歩は一度始めた連載を中止したのか?」の真相にも新解釈を与えている点。しかもこれが多少ぶっ飛んではいるものの(いや、ぶっ飛んでいるからこそ)乱歩作品へのリスペクトを感じさせるのがニクい。もちろんミステリーである以上は乱歩が執筆した前半部分との論理的破綻は避けなければならず、いわゆる「俺が考えた最強の乱歩風味の小説」では読者を納得させられない。先行研究を前に「これならあっちの説の方が面白いよ」と酷評されるリスクとプレッシャーを乗り越えて一冊の探偵小説を完成させた著者の手腕と情熱には敬服。ある意味で本書のクライマックスはあとがき。
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中絶作「悪霊」を引き継ぎ、完成させられた作品。のみならず、何故「悪霊」の続きが執筆されることがなかったのか、という謎まで解かれてしまいます。
「悪霊」は噂を聞いただけで、読んだことがなかったのですが。うわー、これはたしかに続き読みたい! いかにもな要素がいっぱいで、ぐいぐい引き込まれてしまいます。なのでここで初めて読んでよかった……でなければとっても不完全燃焼でした。芦辺さんの書かれた解決編、これですっきり納得できましたし。
そしてさらなる謎、何故「悪霊」が未完のまま終わったのかという部分についても、ミステリとして見事な着地です。こういうことが現実にあったとしたらちょっと楽しいかも、と思ってしまいました。