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AIに、その判事の過去の判例や傾向を読み込ませ、判決文まで作成するテスト運用が東京地裁で行うことになった。普通に裁判の判決までAIの判断を採用する近未来がそこまで来ているのかと空恐ろしくなる。ただ量刑もその判事の思想等に左右されるものであってもならないとは思う。作品の中の少年事件の真相については、あくまでもAI問題のための色づけなので意外性はなかった。
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中国からAI裁判官の「法神」を導入しようとする周囲に対し、懐疑的な立場で事態を見ている高遠寺円。
次第に裁判所での法神に対する支持が増えてゆくが、18才で父親殺害を犯した戸塚久志の裁判でも法神の判断が優位となってゆく。
AIによって裁判は正義を実現できるのか?人間にある情状の感情は?
AIと裁判官の共存というもしかしたら…を描く人間のドラマだった。
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個人的にはあんまりぐっとこなかったかな。
AI裁判官が導入されるような未来もありえない話じゃないと考えさせられた。
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静おばあちゃん!孫がんばってるよ!偉大な祖母を持つと円かも大変だけど、静おばあちゃんがいなければ、円かはこの世にいないし、法曹界にももちろんいないわけで。プレッシャーや疎ましさはあるだろうけど、良いとこ取りして頑張ってもらいたい。怖い世界だけど、この世界はわりと近くまで来ているんだろうな、と思う。使い方1つで、人はあっという間にAIに乗っ取られてしまうのかもしれない。乗っ取られていると気付かないうちに。AIを作った人、国の思想がこっそり紛れ込んでいるとか、やっぱり狡猾。
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静香おばあちゃんの孫の高遠寺円が裁判官となって活躍するリーガル小説。
テーマはAIによる判決と尊属殺人、未成年殺人が絡むが、説明が上手ですらすら読めました。
まずAIは中国製だから意図的な瑕疵があったということだが日本製ならよかったのだろうか。
著者の主張としては裁かれる人と同じように裁く人は自ら悩んで判決を下すべきというところは同意するが、
実際に裁判所だけでなく完了仕事も判断の入らない部分はどんどん自動化して効率化してほしいです。
また、事件の真相はすぐわかってしまったが、尊属殺人の規定って1995年に亡くなっていることは勉強になりました。
とにかく、円ちゃんがおばあちゃんの跡を継いでいること、葛城とうまくいってることがうれしいので、続編希望です。
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次々に新作を書いてくださるありがたい中山先生。シリーズ物なのでしょうか?分からないまま読み進める。色々な過去の判例が読めて興味深い。「人が人を裁くのだから、手間をかけないと」その通りです。
ラストはわりとあっさりでした。
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高遠寺静の孫、新人裁判官の円が尊属殺人事件に挑む。日中の技術交換により、裁判所へ試験的に中国製AI「法神2」が導入される。データを入力するとその裁判官になり変わり本人と遜色のない判決文を一瞬で作成、業務は劇的に効率化されるが…。「裁判官は悩むことから逃げてはいけない」…。この言葉の意味は重い。
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父親殺しの事件と、AIが裁判の中に採り入れられる、そのせめぎ合いの中で物語が進みます。司法判断へのAIという危うさを考えさせられます。終盤の事件の謎の急展開とたたみかける結末はいつも通りテンポ良くて面白い!
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幽霊になっても使い倒した高遠寺静判事であったが、やっと鬼籍に入れてもらい今度は孫の円の時代となったが判決にAIを使うと言うとんでもない話である、それもチャイナ製である、もうその段階で普通はだめでしょってところだが、わざわざ習近平を貶めるために作った物語のようだった、円が取り扱う事件のあらかたの種明かしは予想がついたが、現在のAIと称されるシステムの脆弱性と果たして過去のデータを集めて来るだけで人工知能なんて読んでいいのか疑わしい、せめて鉄腕アトムが登場するまでAIという言葉は使わないでほしいものだ。
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単発かと思ったら、中山七里ワールドで登場人物繋がってました(高遠寺円)。でも、この本だけで楽しめる内容になってます。資料の読み込みや、判決文の作成など、裁判に至るまでに大量の業務をこなす裁判官。そこに、判例や法律書を読み込んだAI搭載のシステムが試行されることになった。開発したのは中国。開発者である楊浩宇は日本語ペラペラで、法律にも詳しく、逆に怪しい。にも関わらずソフトの優秀さが評価され、皆、どんどん活用を始めていく。円は最初の試行に関わり、優秀さは分かっているが、利用をためらう。そんなとき、世間を賑わした、父親殺害した18歳の裁判が、円担当で始まることになる。永山裁判での判決規準はどうなるのか?死刑が妥当なのか、AIはどう判断するのか。
中山七里作品は小学校NG。これはかなりエログロ少なめですが、殺害現場など表記あり。
◆登場人物
高円寺円
高円寺静(故人)
葛城公彦 警視庁捜査一課 司法警察員(円の交際相手)
宮藤 葛城の同僚
檜葉部長
崎山
楊浩宇 北京智慧創明科技
瀬倉検事
寺脇貞文判事 部総括
東京高裁長官 高村貢賢
東京高裁事務局長 荘川
さいたま地裁 黒鉄判事
千葉地裁 早見判事
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東京地裁で、中国製のAI裁判官「法神」が試験運用されることになった。膨大な資料集めや書類作成等の煩雑な事務作業効率を格段に上昇させ、しかも裁判官の人格をコピーしたかのような判断を下すという優れた機能を、多忙な裁判官たちは歓迎する。しかし判事の高遠寺円は、危惧を抱いていた。いつかはこのようなものができるかもしれない、と思わされるリーガル・サスペンスです。
事務作業を効率化する、という部分は良いと思うのですが。しかし判決を下すのがAIだというのには抵抗があります。人間の判断に完璧があるとは思わないけれど、それでも四角四面なAIに判断されるのもなんだかなあ、と。いくら精度が高いとはいえ、感情的に受け入れられないところはあると感じます。人間は感情に左右される部分があるけれど、それが悪いことだとは思わないんですよね。
何もかもがデータと数値だけで判断できればそりゃあ楽でしょうが。やはりそうはいかないよね……。この真相を導き出したのが「人間」であったことにはほっとさせられました。
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AIが判決を下すことが普通になったらどうなるのか。あとからあとから疑問が湧いてきて、あちこちに揺れ動き考えさせられる一冊だった。決して安易に飛びついていいものでないことだけはよくわかる。今作では中国からの売り込みによる試運転であり、検証によって瑕疵が見つかったが、日本製で瑕疵がなかったらどうなっていたのかを考えると危うさも覚える。今回は葛城刑事の閃きで最悪の事態は避けられた。人間の働きが欠かせないことが示されて、ほっと安心した。
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土日で一気に読んでしまった。
初めはAIもので、とっつきにくいかなと思ったが、サクサク読めました。
裁判官がこなさなければならない仕事の量は膨大な上、体力と知力を削りながらの繊細な業務である。
そんな折、日中関係に活路を見出したい外務省が内閣府と組み、中国からAI裁判官「法神2号」を導入するようにとのお達し。
AIが人を裁くということにとても抵抗を感じたが、昼夜問わずアナログな業務に追われる裁判官を思うと、DX化も時代の流れなのかとも思う。
18歳の息子が父親を殺害する「戸塚事件」を軸にストーリーが進むのだが、6名の裁判員を含め判断が揺らぎ…
ラストは意外な真実が明かされ、良い結末にはなったかなと感じます。
果たして東京高裁は「法神2号」をどうするのか…
ここはぜひ読んでみてください。
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東京地方裁判所の新人裁判官・高遠寺円と葛城公彦警部補もの。
円は、中国から提供されたAIの〈法神2〉が実用に値するかの検証を命じられる。過去の裁判記録を数値化して入力したあと、〈法神2〉は実際の判決と全く同じ結論を導き出す。効果に納得した裁判官たちは活用し始め、業務はめざましく効率化されたが、円はその導入に懐疑的だった。
そんななか、円は18歳の少年が起こした父親殺しの事件を担当することになる。逮捕した葛城は事件に納得できないものを感じ、捜査を続けていた。
そもそも他国が売り込んできたものをソフトの検証なしに導入しようというのが乱暴。現実にはそんなことはあるまいと思いたいが……。事件の真相は想定内。
私たちがAIに対する幻想をもっているのが危険。AIにどんなデータを集めさせ、どんな思考のもと論理を構築させるのか、そのベースを決めるのは設計する人間だということを忘れてはいけない。AIは万能でもなければ、客観性が担保された公平なものでもない。
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中山七里さんの本は最後の最後の数10ページでいつも展開が全く違うものに変化する。そのスピード感と、頭に入りやすい日本語の組み合わせがとても好きだ。「裁判官は悩む事から逃げてはいけない。捌く側も捌かれる側と同等に足掻き煩悶する。そういうプロセスを経てこそ人が人を捌く免罪符になり得るのだ」というセリフがとても良かった。悩むことはしんどいけど、人を相手にしている以上、悩まない事なんてないのかもしれないと思った。