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衝撃の内容だった。
2024/03/03 10:47
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沖縄の10代の被害者女性たちは、自己を語る言葉を持っていない。原宿に現れるDV加害者たちは、自己についても被害者についても語りはするが、間違った言葉で語ってくる。
この状況をどう乗り越えていくのか。それぞれに長年の経験を積んできたお二人が、お互いのテクニックの深層をえぐり出すような対談でものすごく面白かった。
単独の著書とはまた違った面白さで、この本を企画編集された方にも拍手を送りたい。
上間さんの著書をこれから読んでみたくなった(読まないかもしれない。その心の動きまで見透かされているようで、読者にも覚悟を突きつける本でした)。
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簡単に感想を書ける類の本ではないけれど敢えて言うならば…青山ブックセンターでのイベント申込み一瞬出遅れた自分を許せぬ!が、岸政彦さんを加えた三人のzoom配信見られただけでもヨシとせねば。お互いに敬意を持ちつつ聴き合う態度に圧倒されたし惚れ惚れしました。
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言葉を失ったあとで 2020年11月24日
中立の立場とはなにか
加害者の話をどう聞くか
加害を書けるか
カウンセリングという仕事、社会調査という仕事 2021年2月6日:
精神科医にできないこと
教室の実践記録のおもしろさ
原点は児童臨床のグループ
話を聞いて書く 2020年2月23日:
精神疾患の鋳型
解離は手ごわい
医療との関係
加害はパターン化している
加害と被害の関係: 2021年3月12日
被害者元年
起源は七〇年代
仲間は当事者
学校現場の変化
公認心理師の国家資格
被害者の両義性
言葉を禁じて残るもの 2021年3月27日:
性被害をどのように語りはじめるのか
臓器がぶらさがっている感覚
フラッシュバックの意味
被害経験の読み替え
ケアと言葉 2021年5月11日:
カウンセリングに来るひとたち
男性の語りのパターン
加害者の語り
加害者プログラムの肝
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先日のオンライン鼎談を視聴してから、やはり読まねばと思い読了。サクサクと読んで、わかったような気になることができない本だった。
・加害と被害
・支援
・責任解除
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まさに言葉を失うような、酷い状況を生き抜いてきた人々の語りをきいてきた2人の言葉は、語っている内容以上に語らないこと、語れないこと、わかりやすい言葉にならない、手からこぼれ落ちるようなことを含んでいるのだろうという感じを受けた。
言葉にすることの限界を知って、それでも、その場に立ち続ける覚悟というか。
DV家庭で育って、やっとそのことを言語化しはじめてきたわたしには、色んなことを思いだし、ちょっと具合悪くなりながら読み終えた。
残っているのは、被害者は加害について理解する必要があるということ。家族から暴力をふるわれ続けるとわけわからなさを本当に感じる。そのわけわからなさと対峙し続けることの苦しさから、自分が悪いんだと自己を責める癖を持ってしまってきたような。
また、自分の家族を加害者と捉え、自分の被害に向き合うのはしんどいと思います。家族の関係を壊さないようにするにはどうすればいいですか?
という質問に
「自分のやったことの責任を取ってくださいと言われることは、自分が責任を取れる人間として尊重されているからだ」
という信田さんの、言葉がよかった。
加害も被害も本当は、そんな簡単に語れないことが多い。ひとの関係は相互にかかわり合っているから。
わかった、わからない、ではなく、複雑さのなかに、立ち続けること。
それが生き延びることかもしれない。
わたしにはそんな感じが残った。
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「言葉を失ったあとで」というタイトルだが、中には言葉を失うほどの壮絶な経験をした人々の言葉をなんとか引き出してケアに繋げようとするそれぞれの現場について語られていた。
DVや虐待、性被害などは身体の傷だけでなく、心の傷も深く苦しい。それを語れるのは言葉でしかなく、言葉にならないからこそ辛いのだと思う。
信田さんがカウンセリングにおいて「抽象的な言葉を禁ずる」と語っていたのがとても印象的だった。「愛着障害」などと言ってしまえばそれできれいにまとまって終わってしまう。しかし、その言葉を禁じることによって、具体的に残るのは「比喩」だという話は、「自分の言葉で語ること」とはどういうことか、あるいは「世界は言葉でできている」ということを改めて強く認識させられるものだった。
上間さんのあとがきでは、亡くしてしまった子のことを思い出し、「問う先をなくした言葉は、私のなかでぐるぐる回る。あの子の話を、私は結局聞き取ることができなかった。…その子の現場を正確に聞きとり、その子をエンパワメントできるような言葉を紡げないことに、私はいつもいらだっていた。」という。
そして「語りだそうとするひとがいて、それを聞こうとするひとがいる場所は、やっぱり希望なのだと私は思う。」と書いて終えている。
この本を読むと、日本の性犯罪やDVに対する問題の多さに愕然するものの、まずは「聞こうとすること」から始めなければならないのだと思う。被害者や加害者の声に耳を傾け続ける2人の紡ぐ言葉を今後も受け取っていきたいと思わせてくれる1冊だった。
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あくまでも被害者側に立ち続ける2人の姿勢が素晴らしかった。似ているようで違う視点をもって痛みの近くにいる人たちの対談、夢中になって一気読みしてしまった。言葉を禁じて残るもの、既存の言葉に当てはめるのではなく自分の言葉で語ることで解放される何かがあるんだと知った。
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まえがきによればカウンセラーとして50年以上の経験をもつという信田氏と、沖縄で若年層の女性を調査・支援し、『海をあげる』の各賞受賞も記憶に新しい上間氏との対談となっている。臨床心理士と社会学者という、分野は違いながらも話を聞く仕事に携わる二人の対談ということになる。関係性としてはもともと上間氏が信田氏に私淑していたことに始まっているようである。
対談の期間は2020年11月から2021年5月にかけての約半年間で、計六回を収録する。第一回の単発企画後に連続対談に移ったとのことで、最終回以外の対話はすべてオンライン上で行われている。約340ページ。
書名は第一回の対談からそのまま取っているようで、女性の受ける被害のひどさに言葉を失うことを意味する。このように、一連の対談で基底となるのは、虐げられる女性と、加害する男性の問題である。ただし、2・3章ではメインテーマを少し離れ、お互いの職業と話を聞くということに焦点を当てている。
対談のなかで、DVや性暴力の加害者である男性に対して、社会としてどう取り組むべきかという質問が特に印象に残った。印象に残った理由としては質問の内容だけでなく、複数の章にわたってこの質問が繰り返されたことが大きい。意図したものではないのだろうが毎回話が逸れ、最終的に信田氏からの回答が得られるのは最終章になってからだった。
まえがきで「カウンセリングを受けているような気持ちになった」と綴る、信田氏の自由でときによっては露悪的ともいえる語りが対談の大きな特徴にもなっている。それだけに前述のようにテーマに関する対話が滞留する傾向があるようにも感じ、個人的には関心が途切れがちになる面もあった。また、信田氏に関連しては、あまり脈略や必要性が感じられない流れで著名な文化人の名前が出てきたり、「天然キャラ」の女性芸人は性被害に起因した解離ではないかという根拠の不明確な推測など、懐疑的にみてしまう場面もしばしばだった。(二人の意見が一致していたなかでは、セックスワーカーのすべてが性被害の影響によるものではないかという仮説も気になる。)
今回本書にあたった時点で、上間氏については『裸足で逃げる』を読んでいたことが事前情報として役立ち、読書のきっかけにもなった。一方、信田氏の著作については前もって一冊も読んでいなかったことが悔やまれる。読んでいれば印象も違っていたのかもしれない。
内容以外では、専門的な用語や固有名もそれなりに登場するにもかかわらず、注釈がない点が気になった(関連書籍については章末ごとに4点が紹介されるのだが、一部に限られている)。
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上間陽子さんの誠実さが際立った対談だと感じた。アディクションのフロントランナーたる信田さよ子さんへのリスペクトも感じたし、自分の活動を少しでもいいものにしたいという自己批判の視点も感じる。
対談、とはいうものの信田さんが上間さんに「教える」の構造が多いような気がして、そこが少し気になる。信田さんの語りはすごく含蓄のあるものばかりだったが、ふたりが共振して予想外のところに辿り着く類の対談ではなく、「信田さんの語りを上間さんが引き出す」会になってしまっている、というか。もう少し上間さんの話が聞きたかったのが正直なところ。
信田さんの自分の仕事への強烈な自負は、もちろん結果も含めて当然と言えば当然だが、上間さんの自省的な態度と比較すると、このような問題に立ち向かう上で適切な姿勢だと僕は思わない。
医療者への視点も、数十年前ならいざ知らず、最近の精神科のムーブをキャッチアップできていないように感じる。そもそも精神科医は6年でなれるものではなく、二年研修医、三年後期研修で初めて得られる資格であり11年かかる。当然、それゆえの専門性の高さは「くすりを出す」だけではない。信田さんが一般的な精神科医が嫌いな理由はよくわかるが、感情論先行であまり意味ある批判だとは思えなかった。
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2022.3.12 市立図書館
人の話を聞き取ることが仕事の幹になっているお二人のトークイベントをベースとした対談集。
2020年秋のオンラインイベント(初顔合わせ)をきっかけに東京と沖縄を結ぶ4回の対談を経て、最後は2021年5月に筑摩書房で対面しての対談がまとめられており、立場やスタイルの違いはありながら息のあった対話をつうじて、それぞれが自分の考えを掘り下げながら進むべき方向をともにさぐるスタイル。阿吽の呼吸で通じ合ってしまう専門用語周辺はちょっとついていくのが大変だったが、読んでいて学ぶことやピンとくることがたくさんあった。カウンセリングや社会調査(聞き書き)の現場に興味がある人が読めば気軽に入門しそれぞれのスタンスを知ることができるし、各章末に読書案内として上間さんと信田さんがそれぞれ2冊ずつおすすめの本をあげているので、ここから芋づる式に勉強していけるのもいい。
「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない」「聞く耳を持たなかった。だから聞き逃してきた声がたくさんある」と「海をあげる」でも語っていた上間さんの葛藤、抽象的な術語や流行の表現でわかったつもりになることを戒め言葉を使って実態に迫ろうという信田さんの手法、それにこれまであまり語られることのなかった信田さんの来し方の経験などいろいろ興味深かった。
それにしても、暴力や支配はもちろん精神科業界の構造とかどんな問題を話しても最後にいきつくところは男女の不平等というか分断なのだなあ…女や子ども、弱い立場にしわ寄せが行く構造を変えていくにはまだまだ時間もエネルギーもかかりそう。
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深く 深く 考えさせられてしまった
「今」この瞬間にも 起きている
「アディクション」「DV」の実態に
そのまま向き合ってこられた
お二人の 言葉の数々に
考えさせられてしまうことしきりである
もうずいぶん前のことになるけれども
DARCを運営されている方と
知り合いになったことがあり
一度「ミーティング」を覗いてみませんか
とお誘いを受けたことがあった
その時にも ものすごい衝撃を
受けましたが
語りだそうとするひとがいて、
それを聞こうとするひとがいる場所は、
やはり希望なのだと思う
と「おわりに」の中で
上間陽子さんが綴っておられますが
つくづく そうだなぁ
と思う
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似た分野で活躍している2人の対話は、私にとっては話が飛びまくりで理解ができなかったり、もうちょっと踏み込んで話してくれないとわからない!と思ったりする箇所が大量にあった。
自分はこの分野の文脈をまだよく知らない、知識不足だなということを痛感した。
虐待やDVのこと、社会で女性はどのような立場にあるのかということ、もっと知りたい。
そう思ってる私にとっては、この本はいい導入になった。読書案内もついているから、この本をとっかかりに理解を深めていけそう。
「聞く」ことで誰かの力になる。そんな仕事ができるようになりたい。せっかくこの仕事を選んだのだから。
そして、このテーマは私が嫌いな警察回りと自分をつなぐルートになる気もしている。
そしてそれは、もっと自分を消さないとできないことだというのも分かってる。「いい記事を書きたい」みたいな目的で近づいてくる奴に、誰が自分のプライベートな話をしたがるだろうか。
でも、だからといって他にどんなアプローチでそれは可能になるのだろう?上間陽子だって、「いい研究をしたい」から最初始めたのではないのかな?
女の子たちの話をきいて、「この話は研究のいい素材になりそうだ」とか思わないのかな?
聞くことの暴力性を気にしてたら一歩も踏み出せないけどやっぱり引っかかってしまう。
上間さんにきいてみたいし、私も自分の中で腑に落ちる答えを出したい。
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「被害を訴えなければ加害は生まれない」のだとつくづく思う。新たな視点を幾つも得た。まるで自分が悪くない、自分は被害者であると語る加害者に対面きたとき自分はどのように感じるだろうかと考えてしまう。手元に置いて何度でも読まなければ理解出来ないだろう内容だった。
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「愛着障害」や、イメージが一人歩きしている言葉をちゃんと否定してくれていて良かった。言葉は当事者を救うものでなきゃ。
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アディクションの世界では知らない人がいない信田氏と沖縄の少女が置かれた実態を赤裸々に書かれた上間氏の対談本。ともに性と暴力について取り組んでいる二人の対話で盛り上がらない訳がないエキサイティングな対話集である。取り組む立場は違えど、ともに「言葉」を大事に取り組む二人の底での認識は共通する。対話集なので言葉は平易だが、行間に流れる言葉は深い。何回か出てくるが、「コロナが明らかにしたのは、日本の感染症対策の脆弱さもだけど、性差別、性被害の問題ですね」と、出るべくして出た本であり、性と暴力だけでなく、性差別も考えるヒントが満載であった。