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話の筋は置いておくにしても、なかなかに理解が難しい作品だった。結末も救いがない。
本筋とは外れるが、私は著者の日本語の使い方が非常に好きである。個人的には三島由紀夫よりも素晴らしいと思っている。
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閉塞感漂う「花園町」で共産主義的な革命を画策する者たちの哀愁劇を描く。”ひもじい同盟”という極めて貧相な名前から”飢餓同盟”へ名称を変え、地熱発電所を基軸に革命を試みるが・・・。
作品全体に纏わりつくどんよりした暗い雰囲気と、あくの強い個性的な登場人物は安部公房ならではといえよう。ドストエフスキーの『悪霊』がベースにあるらしいが、当時の共産主義を担ぐ者たちに通ずるような、何かに飢えた者同士が至極脆弱な共同意志の下革命を目指すが虚しく瓦解する姿はなんとも滑稽である。
本書で特に秀逸だったのは「患者に飢える」というくだりだ。患者の治療が医者の使命だが、その医者が患者に飢えるとはこれ如何に。本作のパラドックス的側面を巧みに表現した言葉と感じた。作者自身は本作をあまり好きではなかったようだが、安部作品のなかでは比較的分かりやすい物語かと思われる。
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閉鎖された町、革命がテーマですが、読み進めるうちに小さな組織、例えばご近所付き合いとか学校とかに例えると理解しやすいかと思います。
正気の革命なんてものは夢。
だが、そこに魅せられてしまう者がいて、思いが強いと狂気になり、やがてそれは成功か不成功か、人為的なものもあるけど、この本では狂気、狂気、更に狂気。
だけど、所々ギャグコミックのような描写に笑ってしまったりもする、いいエッセンスが加わりあまり苦がない作品だけど、個人的には結構難しかったので、また読み直したいと思います。
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よくわからなかった。登場人物が誰が誰か把握するのも困難だったし、どういう人物かイメージもできなかった。なぜ花井がそれほどまでに飢餓同盟に執着するのかもイマイチ理解できなかった。
自分に尻尾があるというコンプレックスなのか、仲間に対しての情があるのか?織田の遺書は鬼気迫るものがあったけど、それ以外はわりと読み流してしまった。田舎は怖いとこってこと?
ドストエフスキーの悪霊をモチーフにしているとか。
難しい。
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自分が安部公房に期待するものは、日常に非日常が滲み出すようなふわふわとしたジャメヴュとSF要素なので、そこからは外れていたかなと思う。
ただ、その分読み口は非常に軽く、諧謔味は他の作品より強かった。そこを気に入るかどうかは、完全に好みの域。個人的には嫌いではない。
あくまで自分の意見だが、本書は安部公房の学生時代を戯画したものではないだろうか。
筆者は学生運動にかなり入れ込んでいたと聞く。
いわば回顧録のようなものだとすれば、なかなか興味深い。
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とあるさびれた田舎町で、共同体から疎外されルサンチマンを抱えたはぐれものたちが、地熱発電所の建設を利用してアナーキーなユートピアを目指す「革命」を企てるが、町の支配者たちに発電計画を横取りされて瓦解・挫折するまでをユーモラスかつアイロニカルに描く。
描かれる「革命」が政治的な陰謀というより、1人の夢想家の大博打に町が巻き込まれていく形で、「革命」の挫折の要因が権力の弾圧や革命勢力の内紛のようなありがちなものではなく、地方政治における諸勢力間の陰湿でせこいなれ合いや、法的な許認可や土地取引の経済的な駆け引きの敗北であるのが、単なる反ユートピア政治小説と一線を画している。初出は1950年代と古いが、ある意味、原発や大型レジャー施設の誘致に翻弄される地方の姿を予見したとも解釈でき、すこぶる現代性をもった小説である。
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砂の女やら密会やら、安部公房の息が詰まる閉鎖的なストーリー、これらってどれも自らの足で閉じ込められに行ってるね、まあこんなはずじゃなかったとはなりますでしょうけど!
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花園町のように、一部権力者の圧倒的な支配によって成り立ち、なんともいえぬ閉塞感が漂う町、というのは、こと、田舎においては今だにたくさんあるだろう。生きることに疲れながらも、生きることを求め続けた飢餓同盟の面々のアイロニー。八方塞がりの中でもがき苦しむ現代人もまた、彼らのようにユートピアを求めて彷徨っているのかもしれない。
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花園という地名のよそ者には厳しい、とある田舎町。そこで町の権力者に対抗し、地熱発電の開発を目指す孤独でよそ者の集まり飢餓同盟が結成。同盟の代表者、花井は奔走するがメンバーは次々抜けていき、地熱発電の成果も権力者に横取りされてしまう。町自体が狂ったように描かれていた最後の場面が印象に残った。
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自分達を不幸にする社会構造をひっくり返すという目的のために存在していた筈の手段が、目的へとすり替わっていく。
最近も頻繁に見かける類の狂気かと思う、元は高い使命意識を持っていたであろう人々が、目的と手段を履き違えて頓珍漢な声を荒げ、白い目で見られる様は。
そしてその活動すら、金持ちの金稼ぎに利用される様も、どこかで見覚えがあるなと思ってしまうのは穿った考え方だろうか。
花井が革命に執着する気持ちはなんとなく分かる。
飼い慣らされている、誰かに人生を掌握されているという、八方塞がりで前進も後退もしないことへの焦燥感だろうか。
現状に甘んじていた方が楽であるにも関わらず、それでも八方塞がりからの脱出を試みる、これだけでは異常でも狂気でもないのだが…読後感には徒労感が付き纏う。
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安部公房の小説は、不条理とアイロニーと現実とのはざまでストーリーが揺れ動いて、話は面白いのだけど、大変難解な作品が多いとの印象を持っている。この作品はかなりわかりやすいと思うのだけど、それでも、全体を眺めると、大きなテーマが小さな世界に織り込まれていて、読み解くのは大変そうと思った。小説の舞台はスケールも小さく、舞台をみているようなドタバタ劇もあるんだけど、ストーリーを追うだけでは見えないものがいっぱいありそうな感じ。戦後の時期に隆興した現代文学の中でも、異彩を放っていると思う。
以前、未読主要作品のまとめ買いをしたので、時折挑戦したいと思う。
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全部おもしろい。
“まったく、現実ほど、非現実的なものはない。この町自体が、まさに一つの巨大な病棟だ。”
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既得権益者が政治経済を牛耳っている田舎町で、地熱発電所を建設して革命を起こそうという男とその同盟者?たちの物語。
革命といいつつ、地熱発電の掘削場所探索の原理は胡散臭く、革命の思想はあやふや。男一人のドタバタ劇のようになり、結局は精神異常者と扱われてしまう。
閉塞感のある組織に不満があるとき、権力を持たない者が一人でジタバタしてもうまくいかない、みたいなよくありそうな話で哀しい。
口の重しには墓石と重い財布。
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社会革命の縮図の中で各人の思惑が多角的に照らされている。枠組みを変革するという目的が権実世界の中でその枠組みの中で規定されてしまう。