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私はこの作品を読んで真っ先に、SMの世界を思い浮かべる。SM女王を仕立て上げるサディスティックな主人公は、気付くと自分もその女の虜になってマゾヒスティックな面に目覚めていた。そして女は気付かなかった女王の気質をすんなり受け入れる。巣を張って獲物を魅了し捕えて食らう、彼女の背中の蜘蛛のように。
風俗の世界ではよく見る光景である。確かに文壇にそのようなアブノーマルなテーマが持ち出されたら、人目を引くことは間違いない。が、誰もが目を逸らしていたテーマに取り組んだのはエライ。その点で、最近芥川賞を受賞した『蛇にピアス』と非常に近い物を感じた。しかし人間の深層心理を抉り出すことで自らのストレスをも発散した気になるというのは分からないでもないが、どこか開き直っているようにも感じられる。
刺青を入れたのは背中であり、「彼女からは見えない」という点。開放された欲望を実は直視できないでおり、評価をするのはあくまで男性達という部分でやはり男性の書く作品だなぁ、と実感させられた。
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「秘密」
主人公は秘密に快感を見出す人。秘密を探したり、作ったり、暴いたり。女装のところは他人の目を気にして、女装癖のあることを隠そうとするのが一般的だか、この主人公は女装をして、自分が男であるという隠している。そして他人から向けられる目を楽しみ、優越感を感じている。ここで特に、主人公が秘密に快感を見出していることが感じられた。
人はなんだかんだいって秘密というのに魅力を感じたりすると思う。主人公はそれがさらにエスカレートした人なのだろう。
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はじめて美に衝撃受けた作家、谷崎に高校1年の時触れた記憶は刺青ではじまる。「女の背中は燦爛とした」の〆の一文、男を肥やしに女は女郎蜘蛛の姿を背に揺るぎない自信をもって男の前に光り輝く…美、圧倒、美しいものを作り上げた男がその想像したものに踏み台とされるという認知度の高い「ナオミ」の原点という作家の欲求の根深さを見ること、基本と認めたい作品。(刺青、に関して)
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変態。耽美。グロテスク。マゾヒズム。美。それら総ての言葉はこの作品によって空洞化するであろう。これは眩暈の混じった詩である。すなわち詩とは呪いの言語なのである。異端者潤一郎の覚醒伝奇。
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「刺青」はわずか10ページの短編だが、この本に掲載された他のどの短編よりも濃厚だ。“女は剣のような瞳を輝かした”という終盤の一文では震えを感じた。もうひとつの表題作「秘密」は迷宮に入り込んだかのようなノワールで、主人公のマゾヒストぶりが谷崎らしい。「少年」でも同じく谷崎ならではのマゾヒズムが描かれている。
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やっぱ刺青ね、白い足のイメージが鮮烈。そして刺青を終えたあとのその生まれ変わり?よう。たまらないです。
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谷崎の被虐趣味炸裂。
これが処女作というのもすごい話。
昨今の勘違いSM事情に一喝入れてくれそうな衝撃を感じれるはず。。。
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初めて読んだ谷崎潤一郎本。刺青のエロティシズムにやられてから、谷崎文学が好きです。女の肩に女郎蜘蛛を彫っていく、男の心情の変化。女が動くたびに躍動する女郎蜘蛛にかき乱される。。。想像かきたてられますよ。
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私の中の永遠のナンバーワンです。たった見開き5ページほどの小説『刺青』はもう何度読み返したか分かりません。
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15歳の時に「刺青」に出会った。その時の印象があまりに強烈で、初めて読んだ時に頭に浮かんだ映像や感情は今でも鮮明に思い出せる。私にとって永遠の名作。
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谷崎の、代表的かつ最高の作品。シンプルなストーリーの中に、彼の独特の美的描写とマニアックさが見える。それにしてもなんて美しい描写…。
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異端者の悲しみ。おもわず読むのをやめてしまった。やめてしまったんです。ここまでの作品もある意味めずらしいわけですよ。
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氏ほど日本語を美しく描ける人はいないだろう。興味がなくても、これを読むとSMに神がかり的な魅力を感じてしまう。
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マゾヒズムを美的世界に昇華した名作。しかしカバーのプロフィールに付いている作者の写真を見て尻込み。あの顔でかぁ。
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表紙が美しい。
そして最初に掲載するのが刺青。
読みやすいし、ライト傾向だし、
つかみは超OKでした。ドツボ
えっちだなぁへんたいだなぁと思いながらよむといいと思います。