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石が据えられ、枝が透かれていくプロセスをつぶさに記録していく。類書は管見にして知らない。
より大きな環境との関係をつくることで見出すこと、「痕跡としての石が、その石を刻印した「もとの状態」を遡行的に現出させる」p.300とか、4章の道具の使い方あたりはとても面白かった。
あと、偸むとか捨てるとか欠くとか。問題を解決するのに、スコープの更新を伴うというのがいい。デザインの思考だ。
ものを作るプロセスを詳しく書こうとすると、どうしても記述がクドくなる。見ればわかるものを精確に言いあてようとするのだから仕方ない。が、これは読み慣れないと読みにくいだろうなとは思う。
私は建築の仕事をしていて、図面や写真と照らし合わせながら、こうしたクドイ記述を読んでいくのが好きだし苦ではないし、なんなら自分で書きもするから、平気なのだけれど。
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タイトル通り、庭園と庭師をテーマにした本。そして詩学と知恵ともある。こちらは文体を表しているといえる。
庭園と庭師というのは、なかなかニッチなテーマであると思う。
本書で取り上げられるのは京都にある庭園だが、庭園自体は日本中にあるし、観光などで行ったことがある人も多いと思うが、ぼくもちょっとした観光用の説明を覗くくらいで、くわしくは知らない。
庭師に関しては接することが少ない、というかぼくはまったくないので、どちらにしろ知らないことばかりなので、興味深かった。
とはいえ、それがおもしろいかどうかはまた別の話ではある。庭園や庭師の情報を載せるだけなら観光パンフレットで充分である。
そこで、著者の工夫がなされるのは、詩学と知恵の部分である。
後者の「知恵」は、庭園や庭師についての情報で、それと著者の視点、または感性によって詩学として再構成される。文体にも気を遣って、リリカルな文章として提出される。
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通常、庭を見るときは「幸か不幸か」もう出来上がってしまっている。
出来上がるためのプロセス、どの要素がどんな順序で何と関係してできていくか。
それをつぶさに記録した本。
と言っても、作庭技術というよりは思考法に近い。
親方の指示は「〇〇してみて」、という「てみて」話法(これは不確かさという手触りを感じた時だったり)、「てやる」話法(無情物に対しても情を偶有する「偶有情物」としてとらえる)などという、ような。
そして出来上がった庭も、
「つくられることではじめて、つくらなくてもよかったものになる」と。
図面に書いてあることを実現するだけがものづくりではない。なかなかにハードであり、楽しくもある本。
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庭園を眺める事はあっても、作るプロセスをじっくり見た事は無いかも。
職人さんの世界は芸術家の世界なのかな。
そのような世界で生きていく選択肢もあるよって、子供達に学校で教えてあげれば良いな。
ロジックだけが全てではなくて感性が大切だと。
それを評価する術は学校教育には難しそうだけどね