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不妊治療には様々な種類と、様々な段階がある。
多分その中でも子どもを望む親にとっての最後の砦が凍結胚移植だろう。保険の適用に回数制限もある。
これでダメなら諦める、そういう治療法。
それはいろんな問題を含む。医学的な、社会的な、そして倫理的な。きっちりと決められているわけではない、その壁。だからこそ生じるグレーゾーン。
そのすべてを承知してなお、子どもを願う親たち。
子どもにとって、自分が望まれて生まれてきたのか、親に愛されてきたのかというのは切実な問題。普段は意識することもないであろうことだけど。
自分の存在を、誕生を、ただ一人だけでもいいから肯定して欲しい、そう思うこともあるだろう。
父親と母親の間から、望まれて生まれてきたというそれだけにすがることもあるだろう。
18歳のつむぎの家庭は複雑だ。事故で早くなくなった両親の代わりに育ててくれた遠縁のヒト。義母との借りものような生活。そこにあるのは当たり前の愛情ではない、別の何か。
自分のルーツを求めるつむぎの心の旅。
あまりにも深く大きくいびつなその現実をこの先も抱えて生きていくのだろう。将来自分が子を持ちたいと思ったとき、その現実はまた別の形でつむぎの前に現れるのだろう。乗り越えて欲しいと思う。真摯に受け止めて欲しいと思う。
ただ、どうしても18年前の決断が正しかったとは思えない自分がいる。