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進路選択や就職活動のなかで「将来の夢」「本当にやりたいこと」「なりたい自分」といったテンプレの質問になやまされる若い人たちが、本気で自分のうちにあるマグマをみいだすためにはどうしたらいいか? 地動説を扱った人気コミック「チ。」の主人公の例をいとぐちに、本人にもコントロールしきれないほどの、しかし何事かを成し遂げるには不可欠ともいえそうな謎の「衝動」の正体に迫り、「夢中になれる」「熱中できる」状態をていねいに観察し、自分の「偏愛」の正体を見極め、それを自分の生活に実装させていく方法をともに考える本。
今の学校などで行われるいわゆるキャリアデザイン、キャリア教育にはずっと懐疑的なのだが、それについてひじょうに的確な批判があってよかったので、ぜんぶ読む時間や力がない人は第5章だけでも読むといいと思う。
自分で考え選んで決めるといっても、人生には自分の意志ではどうにもならない要素ばかりだとはずっと思ってきた(と書くとちょっとネガティブに聞こえるかもしれないが、意志を貫こうとするよりそのときそのときの最善を選べるように生きてきてて、この本に書いてあるようなことをわたしは心のどこかでずっと考えていたのだと思う)。人生に意味を与え自分をいい方向にドライブしてくれそうな「衝動」、つい夢中になってしまう趣味の一つもみつからないとたしかにつらいと思うが、スマホなどでいつでもゆるく繋がりあっている今はそういう人が増えているらしく、若い人にはこういう指南書が必要な世の中なのだなと思った。
一方で読みながらずっと気になっていたのは、この本で考えていたのとは逆の、みつけたいというより抑えたい逃れたい負の「衝動」(←依存や嗜癖のようなものとか)はどうしたらいいのか(それで困っている人のほうが多そうで)ということだった。絶対的な善し悪しは決めつけられず、どちらもコインの裏表なのかもしれないけど・・・
それはともかく、前後して読み終えた森田真生「ぼくたちのセンス・オブ・ワンダー」(これも筑摩書房)と実は同じようなことを言っているなあと思った。
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衝動について多面的に知れました。私にとって難しい内容でしたが、夢中なれる物が見つかるといいなぁと思いました。
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非常に面白く、参考になる。けれども意外と難しい。毎回自分の中で反芻しながら読み進めていたので遅々として進まなかった。再読したい。
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チ。を持ち出されたらズルいと思いつつ。流行りモノを取り入れて新書っぽい論理展開をしつつ、根底にある課題意識や向き先には共感する。ネガティヴケイパビリティという本が良すぎたのもあって買ったがやはり良かったです。