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このお話は、月がどのように女の人の体や恋愛に 影響を及ぼしていくのか…という、退廃的な浪漫を題材にした、素敵なお話です。
もともとは、月狂いという題名だったそう。
満月の月の光を浴びた男女がたどる、せつない恋のお話。
小池真理子さんの書く恋愛は、色々な揺らぎがすごくよく表現されていて、うなってしまいます。
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小池作品を読んだ事がない人には「なんじゃこれ?」的な作品ではないかと…。40代の激しい恋愛を「月狂い」という小説内小説に絡めて淡々と綴った作品。06.05.25
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内容(「BOOK」データベースより)
禁断の恋の果てに自殺した母。
その記憶に因われる46歳の編集者・千津は、編纂中のアンソロジーに「月狂ひ」という幻想短編を収録する許可を得るため、作者の遺族である倉田柊介のもとを訪れる。
その日から、身も心も灼きつくすような恋に堕ちていくとも知らずに…。
作中小説の世界をなぞるかのように、狂気にも似た恋へと誘われていく男女の、静謐なる激情の物語。
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02.04.09読了。片岡千津は葛城瑞穂の”月狂ひ”を編集中のアンソロジーに載せるために継承者を探す、継承者は葛城瑞穂の息子、倉田シュウ介。契約を交わすために千尋とシュウスケはシュウスケの建設事務所で初めて会ったときから二人は惹かれあう。禁断の恋に落ち自殺していまう母親と”月狂ひ”とをリンクする千津。母のようには絶対ならないように生きてきた千津。
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時代による倫ならぬ恋愛の結末の相違が面白い。月の魔物、母の幻想から逃れて、生きることを選んだ千津は潔くて格好いい。
恋は魔物。いくつになっても結婚してようが子供がいようが恋は落ちるもの。落ちたら最後後戻りできない情熱的な狂気の世界が待っている。でも理性的な大人の恋の結末を迎えなさいと、小池真理子は言っているのかな?
前半はまどろっこしいが、作中作の「月狂ひ」が幻想的で小説のスパイスとなっており、後半は千津の心の揺らぎが手に取るように分かって面白かった。
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小池真理子の小説を読んでいると粘度の高い生暖かい水の中に沈み込んでいるような気がしてくる。回りの音が何も聞こえなくてほのかな幸福感に満ちた孤独な暗闇にいるような そんな気がしてくる。そして 息が出来なくなる。互いに家庭を持つ40代半ばの男と女の狂おしいほどの恋。同じように許されない恋に堕ちた結果自らの命を絶った母の物語と、作中小説の『月狂い』と3つの恋が絡み合い美しく静かな官能へと沈み込んでいく。許されない恋の行く末には何が待っているのか。死 か 別れ か月には狂気が隠れているのかもしれない文庫化にあたり改題されているのだけれど 私は元の『月狂い』の方がぴったりくると思う。浪漫的恋愛 には 苦しみが見えない
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女性作家版「あいるけ」の雰囲気。ただあそこまで描写は細かくない。
でも、女の人はこんな風な事を考えてるのか、という感じ。
最後は「おい、このまま行ってしまうのかよ。」と思ったけどおさまるとこにおさまった。
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やっぱり重い小池さん。連続して何冊も読めないなあ。月に1冊かな。それにしても、会った瞬間に同時に相手に恋をするとは!なんて確率だろうか。日本だけでも1億人以上の人が生きているので、そんな幸せな出会いもどこかにあるんだろが。この作品の場合幸せと言えるのかは本人しだい。ラストは失楽園のように単純じゃなく、現実的だったのがgood。
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恋愛小説が嫌いな方へ。
違う視点での読み方。
家族の交通事故死と自殺という2つの事象に立ち会った女性が、どう生きて行くか。
自殺した母と同じ年代になり、当時の母の感じたことをなぞる。
違いは子供がいるかどうかだけ。
主人公に子供がいたら、これほど冷静な描写にはならなかったのかもしれない。
小池真理子の主題は「行きて行く」こと。
答えは書いていない。
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W不倫……道徳的には許されない恋愛と知ったうえで惹かれあい、そして別れを選んだ主人公。
大人の恋愛小説、という印象でした。
作中作『月狂ひ』も淫靡で神秘的な雰囲気が良かったです。
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再読。
あれ、前回読んだ時はもっと感動したような。。
得意の不倫話です。女も50近くになって、ここまで好きな人にのめり込めるっていうのは、ある意味羨ましい。いくつになっても恋をしていたいもんです。
本当は「月狂ひ」がタイトルだったんですよね。月の魔力で恋に落ちるって言うのはなんともロマンティック。
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以前読んだ「虹の彼方」と同じw不倫もの。
どちらもお互いの配偶者に非がないというのも同じパターンでした(こちらの方が先に書かれてますが)。
ヒロイン千津は母親も不倫の挙句に自殺しているだけに自分も同じようになるのではと恐れつつも相手に烈しく惹かれてしまう心理描写に引き込まれました。
2人でいる時の情景も目に浮かぶようで、美しかった。
ただ、お互いそこまで惹かれあっているのに、どうしてあの結末になるかなあと疑問を抱いてしまいます。
物語は、あの時点で終わってしまったけど、実は……そんな想像をしてしまう余韻が残りました。
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恋愛小説の傑作。以前に読んで印象深かったので取り寄せての再読。
恋愛小説といっても若い男女のものではなく、40代半ばを過ぎた女性、千津の恋愛。恋は狂気に似ている。月明かりの美しさと妖しさと狂気。意図してなかったのに、あがらうことのできない激しい恋。
物語は千津と柊介の恋、千津の母と久保山の恋、そして葛城瑞穂作「月狂い」抜粋の中の峯子と門脇の恋、この3つが並行して語られる。どの恋にも月明かりによって妖しく狂気に突き進んでいく。この小説の題名は改名されたようだけど、「月狂い」の方がずっとしっくりくるように思う。
とにかく傑作。若くない男女の不倫の恋は渡辺淳一の「失楽園」が有名だけど、あれは男性目線で書かれているからかちっとも心に響かなかったけど、小池真理子のぐいぐいと引き寄せられるような筆力はすごいと思った。こんな経験はないけど、主人公の心の動きに共感を覚えたしこんな風に恋に落ちてしまうこともあるのかもという説得力があった。
以前に読んだときに結末を勘違いしていたようで、ふたりの関係はなんだかんだで続いていくと思っていたんだけど、あの終わり方。この先ふたりはどうするんだろう、もう会わないんだろうか、それとも・・・そんな余韻を残す終わり方。
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本は、自分がどのような状況にあるかによってその読み方、受け止め方は大きく違ってくる。今の自分じゃなきゃ、けっ、と思って投げ捨てていたかもしれない。今の自分は共感できる所、できない所、感じながら読めた。
内容自体について言うと、月狂い、母の恋愛、どっちも中途半端に感じられ、わざわざ話を絡めている意味もないような。いや、千津の思考や意思決定に母の出来事が全て支配しているという話の構成は分かるけど。でもそれがゆえに、こじつけているようにも感じて白けてしまった。
そしてなによりも、そこまで確信できる本気の恋愛なら、なぜお互い家庭を捨てない?千津に小さい子供でもいるならともかく、子供もいないならできない事はないでしょう。なのにしない。結局本気の恋愛ではないんですよ、と思ってしまうと肝心な所でこの本の内容に共感できずに終わってしまった。
どうせなら、母のできごとなど結末に影響を与えるような余計なネタなど絡めず、本気の恋愛なのにどうして家庭を捨てる事ができないのか(つまり、本気じゃないとどうやって気づくのか、もしくは諦めをつけるのか)、なんていう所を徹底的に掘り下げたドロドロした話の方が良かったかな。
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「月狂ひ」の男女と重なるような母と千津の恋愛。どんなに用心していても恋に陥ってしまったら、どうしようもない。