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ひさびさのパスティーシュかも? プラトンからサルトルまで歴代の哲学者12人をとりあげて、哲学書の文体や思考法をときほぐして楽しく読ませる。文体や思考法のパスティーシュというのは、なかなかおもしろいだけでなく真実に迫るうえで実は最善のアプローチではないかと思った。
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清水義範の久しぶりのパスティーシュ短編集。それが筆者の本領なのに、最近は旅行記や老後の心構えみたいなのばかり依頼されて欲求不満だったとか。お得意の文体模写が実に楽しそうだが、往年の勢いは失われてしまったな。
例えば、注釈で遊ぶという発想は清水氏らしくて面白いのに、その内容が説明過多になってしまっている。昔はもっと「わかるヤツだけわかればいい、それが教養ってもんだ」的な傲慢さが(謙虚なお人柄なので他の作家ほど露骨ではないものの)垣間見えて、それがパロディを痛快で鋭いものにしていたのに、子供向けやお年寄り向けの噛んで含めるようなウンチク本ばかり書いているうちに角がとれすぎてしまったのかなぁ。
誰しも年を取る。ずっと同じ状態にとどまっていられる人なんかいない。長年見守っていると、自省もこめてそう達観せずにはいられない。日の出の勢いの羽生結弦くんだっていずれ後進に勝てなくなり、引退する日がくるのだ(って、関係ないか)。敬愛する清水氏の久々の挑戦への敬意とエールをこめて、ちょっと甘めの採点。
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生産した物は、その場にいる人間が等しく分けあうのが共産主義。しかし、大国が共産党一党独裁政治をすると、必ず官僚による利権の独り占めが生じ、公平な配分は行われない。不満を抑え込むため秘密警察が作られ逆らう者は弾圧される。マルクス唱えた理想と夢は、欲にまみれた人間には実現不可能であった。ソクラテス、プラトン、アリストテレス、デカルト、ルソーなど世界の名だたる哲学者を、とびきりのユーモアで面白おかしく紹介する。笑いながら哲学の断片をも齧ることができる。一粒で二度美味しいお得な作品だ。
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南伸坊さんの解説で、登場人物の書こうとしたことがなんとなくわかったとあるが、わからなかった。そういう視点で読みはじめるべきだったかもしれない。2017.8.16
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哲学者をネタにしたユーモア小説。悪くはないと思います。ただ、思想内容については、おそらく著者が全体像をうまくつかめていないので支離滅裂なことが多いと思います。なんといっても参考文献にタケダセージなどをあげているくらいですから。本編にくわえて、謎の解説を読んで、つくづく感じたことは、哲学はかくも誤解を受けまくっているのだなあ、ということでした。ハイデガーの章なんて、ほんとでたらめでどうしようもないように見えるのだけど、たぶん著者は正しいことを書いているつもりでしょうし、編集のチェックも通っているんでしょう。不思議不思議。(2015年11月29日読了)
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ソクラテスからサルトルまで、有名哲学者に焦点を当てたユーモア小説。専門家ではない作者が真面目に勉強し、わからないところは正直にわからんとぼやきつつも、読者が置き去りにされないよう、おもしろおかしく伝えようとしてくれている。これはあくまで小説なので解釈はあてにせず、考えすぎた人たちの偉大さと変わり具合を楽しむのが無難。熱心に捏ねた結果、とりあえずこうなったでいいと思う。なにより気楽に読めた。