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新聞記者 vs. 医大理事。一歩もひかぬ、二人の女。思いは同じ――後に続く女性のために。だからこそ、互いの人生を懸けて激突する。ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている――衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。巧みに追及を躱す神林だが、突破口はそこにしかないと考え、檜葉は何度となく攻め立てる。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は……。
『土漠の花』『香港警察東京分室』『半暮刻』話題作、問題作を絶えず放つ著者が挑む、社会にはびこる差別の根源。
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2人の対決がどうなっていくのか、どんな対決になるのかとてもスリルのあるもので読みやすかったです。
少しずつ差別は減っていってる気はするけど、なかなかなくならないんじゃないかなと思ってしまいます。
どこまでを差別とするのか、どこまでを男女差とするのかも難しい問題だと思いました。
初めての作家さんでしたが、社会派小説をうまく描いていて面白かったです。
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月村さんの社会派小説は時事問題が割と描かれていて好みであり、たまたま入試不正に関することをSNSで知ったので、本作を手に取りました。秘密を暴きたい記者と、大学を守りたい大学理事よ相手の急所をいかにつくかの攻防戦が緊迫感があってとても面白かったです。
物語としては、官僚と癒着し不正入試を行なっていた医大が検察に同時に入試の採点資料も預けてしまうところから始まります。その採点資料には、女子や浪人生に不利な基準が設けられていました。それを知った記者である、檜葉がその真相を追うことになる。その中で檜葉が目につけたのは女性理事で入試について担当している神林であった。
本作の題材の根幹にあるものとしては、男女差があるのかなと。どうしても男女の身体的差って埋められないが故に、どこを区別と取るのか、差別とするのか、すごく難しい問題だなと思いました。
機会の平等性を保証しつつも、男女差を認めたうえ、個性や考え方、アイデンティティを尊重しなければならないというのは、正直制度だけでどうにかなるものではないのかなと思います。だからこそ、これだけ個人個人のモラルが重要であると叫ばれる世の中になったのかなと思いました。
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月村了衛『対決』読了。医大入試における性差別疑惑を追及する女性記者とそれを隠蔽する女性大学理事。それぞれの組織内で傍流であるが故に苦闘を経ながらも互いの信念、そして"家族"をかけての「対決」。時事・社会問題を掘り下げつつもエンタメに昇華させる著者の技量が素晴らしい。アクションでないのに手に汗握るような2人の攻防と互いに互いの実力を認め合う展開に胸が熱くなる。自らが恵まれた環境にあって不遇や不正を見逃す、異議申し立てしないのはそれに荷担しているに等しいと自らを戒める。。近年の月村作品にしては珍しい?希望のある終わりに作者の意志を感じた。
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私は男なので、正直生活していて女性側が軽視されてどのように感じているのかは分からない。
ただ、自分が就職した会社でここまであからさまに女性軽視してるようなところはなかったし今作の主人公たちが思ってるほど、生きづらい世の中ではないのかなとも思う。
DV男と、家庭に入って主婦をするのが当たり前と思っている男と付き合ってた主人公たち。
2人とも男運悪かっただけじゃない?
人を見る目があるかないかは男女関係ないしね。
男に生まれたっていう優位(?)な立場から見てるから言えるだけかもしれないけど男も大変よ…。
入試不正は良くないし、女性差別的な今回の社会問題は正すべきだけど、女性差別の問題に関しては昭和を思い出すような流れであり、新聞記者側や、医大側の幹部たちの女性差別が昭和くさい… 。
20.30代の人が読むとうーん?、そうかねぇと思うような作品だったと思う。
私が言いたいのは、リアリティがない。
一言でまとめるとそんな感じです。
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この対決はどうなるんだろう?片や新聞記者片や医科大学の理事問題は大学入試で女性一律減点不正をめぐる攻防。さらに全編にわたりセキハラ、パワハラ、そしてアカハラ(アカデミックハラスメント)まで、主人公二人とも応援したくなる、でも不正は正して欲しい。さて著者はどう纏める?ハラハラドキドキ時に憤りを感じながら読み終えた。
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医学部入試で女子受験者の得点を減らす不正事件を嗅ぎつけた女性新聞記者。事務方から大学理事にまでなった女性二人の闘いを描く。
最初はどうかなと思って読んでいたら、理事側から描くパートになって俄然面白くなってきた。東京医大の事件が元になっているのだろう。
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医大の入試において男女の合格率の差
これを疑問視した女性記者が大学側の理事と相対するストーリーである
パワハラ、セクハラ、アカハラと様々なハラスメントと戦うこの対峙した二人に尊敬の念を覚える
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統和医科大学の強制捜査は、政治家子息の裏口入学の捜査であった。
政治家も受諾収賄容疑で逮捕され、統和医大の学長と理事長も贈賄容疑で在宅起訴されている。
そのときの捜査で関係書類の中から「あの書類」まで検察が持っていったと噂が…
「あの書類」とは…
その噂を聞いた新聞記者の檜葉菊乃は、大学入試の際、女子受験生への一律減点操作が行われていたことだと知り、独自に調査を始める。
シングルマザーである檜葉の娘も医学部を目指していたから余計に力が入る。
目をつけたのは医大理事の神林晴海で、容易ならざる敵にお互い一歩も譲らず…。
男性優位の社会の中で理不尽な思いをしてきた二人だからこそ思いは通じるはずだと…。
性差というものが存在する限り、人間社会からは性差はなくならないのかもしれない。
だが、少しずつでも良い方向に変えていくよう努力し続けることはできる。
これからの未来のためにも変えていく必要はある。
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〜人間どこまで行っても差別はあるんだよ。でもそれを受け入れるのと、なんとかしようとするのは別だ。〜
月村了衛さん最新作『対決』です
月村了衛さんはまだまだ読みたい本がたくさん残っているので、新作を読むことにそれほどこだわってないんだが、あるんだもの図書館に
そりゃ借りるよ
はい、今回は日本社会に根強く残る女性差別、女性蔑視というやつを取り上げてますよ
月村了衛さん社会派小説多くなってきたな
つか内容的にもかなりちゃんと取材してると感じたんだが、の割に書き上げるペース早くない?周りにすごい優秀なスタッフとかおるんかな?
ま、いいかそれは
で、自分の半生ってやつを振り返ってみましたよ、あらためて
うーん、仕事上の立場を利用して女性の身体に触ったり、交際を迫ったりみたいないやいやそれは今の社会ではアウトだよねって本気で言ってんのか?昔からアウトやったわ!っていう普通に犯罪やろってことは一切してない自信はある
もちろんある
潜在的に女性を切り分けて扱うみたいなことも自分としてはあんまりしてないと思うけど、そういう社会にあんまり疑問を持ってなかったことは間違いないわね
普通だと思ってた
ただ自分はやってないってのはなんの言い訳にもならんことは「今では」理解してるつもり
で、今思うのは社会が良い方向に変わっていくのを邪魔する勢力にはなりたくないな〜ってことかな〜
この女性差別を少子化問題と関連付けて正当化しようとするじじいとかほんと気持ち悪い
しじい蔑視やん!(違うわ!)
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Amazonの紹介より
新聞記者 vs. 医大理事。一歩もひかぬ、二人の女。思いは同じ――後に続く女性のために。だからこそ、互いの人生を懸けて激突する。ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている――衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。巧みに追及を躱す神林だが、突破口はそこにしかないと考え、檜葉は何度となく攻め立てる。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は……。
医学入試において女性受験生や浪人生だけに意図的に減点するということで、以前ニュースで実際に報道されていたので、より身近に感じました。
一見、許されざる行為だと思ったのですが、よくよく医療側の立場を深掘りしてみると、筋は通っているなと思ってしまった自分もいました。
結婚や出産などで医者を辞めてしまうということで、医者の確保ができないという観点で見ると、なんとなく気持ちがわからないではないですが、それを試験で意図的に減点させることは別の話です。
精神的に病んでしまうこともありますし、長時間労働で辞めてしまうこともあります。
さらに試験に合格したとしても、それが直接医者になるとは限りません。
そういった事実を知ったときは、衝撃的でしたし、悲しくもなってしまいました。
この作品では、そういった事実を知ってしまった女性記者が、記事を載せようと奔走します。
ただ、その裏側では、政治家との癒着や医療界の崩壊などあらゆる弊害が存在し、それを崩していくのか。そのカギを握るのが、女性理事です。女性理事が証言することで、道が開けていくのですが、なかなか開くのが難しいところです。
月村さんの作品は、スピードのある展開で読みやすいので、今回もスムーズに読めた印象でした。
男性優位の社会の中で、お互い正義を貫こうとする姿に勇気づけられました。
また、「まだ、こういう人が存在するんだ」と思うくらい、昭和気質の男性ばかりに、ため息をついてしまいました。
といっても、個人的にこういった人は、どこの業界でも存在しますし、それを乗り切っていくのかが自分にとっての課題かと思います。
このご時世でも、自分はこう乗り切ってきたんだからという変なポリシーを持っているので、なかなか考えを変えてはくれません。どう言ったとしても、変えられないので、自分がシフトチェンジをしないといけないなとしみじみ思ってしまいます。
さて、物語の登場人物でも、大学の存続危機というよりは、自分の名誉といった我が強い人の面々が登場するのですが、そこでも女性のことを軽視しています。
もしも自分にそのようなことをされたと思うと、怒りがつのるばかりです。それらを潜り抜けた今の女性たちには、凄いと思ってしまいます。
近い将来、こういった「闇」事情がなくなるよう、払拭できる未来を望みたいです。
記者から報道界での女性の扱いや理事から見た医療界における女性の扱いを垣間見たのですが、正直今迄あまりそういったことを��識していなかったので、反省するばかりでした。
2人の戦う女性を通して、色んなことを学ばせていただきました。また、2人の直接対決は、緊張感があって、幾度も登場するのですが、読んでいるこちらまで緊張感が伝わりました。
果たして、記事は載るのか?なかなか思うようにはいかない現実だけれども、知ることで一般人にも考えさせることも大事だなと思いました。
今では、SNSで簡単に知れ渡ることができるので、それを鵜呑みにするのではなく、きちんとした情報を知ることも大切であると感じました。
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私立医大入試の不正をめぐる社会派小説。
女子だけ一律に減点するなんて考えられないけど、なぜそうなったかという理由を読んで医局の過酷な状況や研修医制度の改正など様々な要因があって根が深いと思った。
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東京医大や順天堂など10大学の女性差別の不正入試。まだ2年前の話なのに、遙か昔の出来事のよう。改善されたのだろうか?月村さん、ついに社会派小説まで。ドキュメンタリーのようだけど、味わい深い人間讃歌。
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まだ5月だが、間違いなく今年の個人的ベスト3に入るだろう熱量のある大力作。面白いという表現を許さないような凄みのある社会派小説。東京医科大学入試での女子学生一律減点事件にインスパイアされた題材で、性差別問題を愚直に真っ向勝負で切り刻んでいく。と同時に、女性差別に苦しみ改善していきたい、立場の違う新聞記者と大学理事の女性二人の生きてきた道程をたどりながらその職業矜持でぶつかり合う様は、川中島の戦いも真っ青なぐらいの女の意地の真剣勝負。その科白ひとつひとつに感銘を受ける。最後の「対決」は涙なしで読めない。世紀の大スクープが政治と企業の癒着から薄れていく様もハッピーエンドで終わらせない著者の矜持を感じさせる。勿論エンターテインメント小説ではあるが、それで終わらない深みを味わえる必読本。
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政治家の息子を裏口入学させていた統和医大。その調査の過程で、女子と多浪人の受験生の点数を意図的に下げていた事を、新聞記者の檜葉菊乃は掴んできたのだが。
男女差別問題を当事者としての女性の立場と、無頓着に差別を押し付ける男たちの当たり前に、セクハラ、パワハラの中で生きてきた記者の檜葉と病院理事の神林は、共感しながらもお互いの立場から対決しなければならなくなる。
男女差別への深い無関心を描き、泣き所もあり、充分に満足できる小説だった。