紙の本
10篇でおなかいっぱい
2010/01/16 20:11
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る
あぁ、見事に女。
素敵なまでに堕落していく。
題名に違わずです。
今回の作品は10篇からなる短篇小説で、前作に出てきた女が次回の主人公になる形をとっています。
これまた見事なまでに様々な堕ちようが描かれていて、本人が狂っていこともありますし、恐ろしいことに周りにいる人がおかしくなっていくものもあります。
この女たち、共通して持っているものが『自分の価値観』。
とても大切なものであることは確かです。
しかしどこかでゆがんでしまっている彼女たちは、極端な思考へと価値観が変化していっているようです。
見栄っ張り。
夢見がち。
目立ちたい。
いつでもトップにいたい。
自分の弱さを認められない。
「自分は特別で、周りとは違う。」
全く理解できないわけでもないような気がします。
私は毎日化粧して、へたれた部屋着から外出用の服を着て外に出かけます。
スッピンで外出して知り合いに会うことがあったりしたら、もう最悪の一言です。
これはいたって普通の思考だと感じます。
故にこそ普通の女性であろうとも、あと一押しすればこの小説にでてくるような女に堕ちてゆく可能性があるような気がします。
周りにも似た感じの人はもちろんいるでしょうし、自分だって周りからはどうとられているかわかりません。
もしかしたら、周りからはこの小説に出てくる女性と同じようにとられているかのしれませんね。
この女性像を正しく描けるのはやはり女性作家さん、その中でも岩井さんは別格。
ねちゃぁっとした女性の思考は独特のものです。
男性から見れば不可解な女性の思考・行動も、同じ女性から見れば「あるある。わかるわかる。」というもの。
さらりと書かれたえげつない女たちの心の中も、同姓から見れば結構普通のことだったりします。
普通は上手く隠して取り繕っていて、現実的である故に表面にでてこないことが多いかと思います。
極論でいえば、行動するかしないかになってしまうんでしょうか。
想像力のたくましい女性の頭の中は怖いものです。。。
それにしても、今回も読んであまりのえげつなさにスカッとしました。
こういう女性たちを読むと、自分が聖女のようにさえ感じます。
・・・これって心が汚い?
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ごく普通の女はちょっとした夢を見る。
本当の私はもっと違うはず。。。
平凡に生きてきた女たちの見る夢は幻想となり、その幻想を追い求め一気に転がり堕ちてゆく。
ありそうで怖い。
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どこにでもいる、普通だったはずの女性たち。そんな彼女たちがタイトルどおりに「堕ちてゆく」連作小説。情念どろどろですが、物悲しさも感じます。自業自得が多いとはいえ、誰だってこうなってしまう可能性は秘めているのかも?
だけど一番怖いのは。次々に起こる殺人事件が、まるで真相も犯人も不明のまま放置されている点ですね。それまで物語の「主役」だった人物が殺されてしまったのに、何事もなかったかのように次の「主役」にシフトしていく物語。現実も同じようなものじゃないのかな。自分が主役だなんて思い込んでいると、恐ろしいことになりそうです。
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なぜ岩井志麻子の本はこんなにおもしろくなくなってしまったんだろう…
今度こそと期待を込めて読むが、いつも肩すかしをくらう
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評判はそんなにだけど
私はこれで岩井志麻子を読み始めた。
後半ちょっと飽きてきたけど
醜い女の性が描かれております。
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・近くの市民センター図書室で、こないだ十七歳を読んだので別のを借りてみた。
・女達の肥大した自意識と自己顕示欲を描いた連作短編。面白い。けど、流石にこれだけみんな殺させると、連作って無理あんなと。後半は苦笑い。
・思い返すと全部ぼんやりしてて、おんなじような事ひたすら描いた気がする…
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哀しい、10人の女性の連作短編集。実際の事件に着想を得て描かれているらしいが、殺人事件の被害者の連作とは、まぁなんとも言えない読後感である。
劣悪な生育歴の主人公たちが多く、不幸の連鎖になんとも言えない気持ちになりながら、他人の不幸を垣間見るようで、ついつい読み進めてしまう自分がいたり、、。
以前読んだエッセイだかなんだかに、「黒い事件簿」が大好き!と作者が書いていたが、黒い事件簿の当事者版といった印象でもあった。
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「堕ちてゆく10名の女性」を描いた短編連作小説。10名の女性に次々と「堕ちてゆく」連鎖がバトンタッチされていく話。しかも、その女性だけではなく、周囲の人も一緒に不幸にしながら。さすがに10人の女性を描いたら「堕ちてゆくシチュエーション」が、似通ったものもあった。「堕ちてゆく」バリエーションがもうちょっと豊富だと作品に深みが出たのかも。でも、私が、今日、スポッとはまってしまいそうな、リアルな話もあり背中がゾクッとする。10名の女性を不幸にしたのに不幸の連鎖は止まらず、話は不幸の連鎖のスタート地点に戻るのか。
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どこにでもいる地味な女たちが、些細なきっかけで堕ちてゆく。借金まみれになったあげく、強盗をしたり、殺したり殺されたり。自分は紙一重のところで真っ当に生きているのだろうか、と思わされる。足を踏み外さないよう、気をつけよう。
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久々に読んでいくのが辛くなった。
堕ちていく数々の女性たち。同情すらできない。自分はこうはならない!と強がりたいのは、恐怖の裏返しか?
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様々な女性の転落ぶりが感じられるが、筆者の意図や言わんとしていることが理解しきれなかった…
伏線の回収も、微妙かも…
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登場人物はみなどこにでもいるような女性だ。とびきり美人でもなく、すごく頭がいいわけでもない。そして多くの女性がそう思うように自分はそこそこイケてると思っている。
そんな女性たちを待っているのは意外なエンディングだ。
なのに、読んでいて少しスッキリしてしまうのは岩井マジックか?私が彼女たちを嘲笑しているから「まぁ可哀想に・・・」と思わず、「だよね」と納得してしまう。
自分も彼女側に回るかも知れないのに、平然と上から目線でバカにしてしまう黒い心が湧き起こる。やっぱり女って怖いなぁ・・・。