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平成11.2.25 57刷 ¥590
休日の銀座に、突然、蝶の大群が舞った。蝶の舞上ったあとには、聖書の言葉を刻んだブレスレットをはめた青年の死体があった。これが、十津川警部の率いる捜査本部をきりきり舞いさせた連続予告自殺の始まりだった。次々に信者の青年たちを自殺させる狂信的な集団。その集団の指導者・野見山は何を企んでいるのか……。“現代の狂気”をダイナミックに描き出した力作推理長編。
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旅行しない十津川警部シリーズ。初期の頃にはこんな重厚な作品もあったのかと驚かされる。紋白蝶の群れの中で自殺する若者。どの顔にも苦しんだ様子がない。1980年にカルトを先取りして警告していることを考えるとなかなか興味深い。ストーリーにも起伏があり、最後まで飽きさせない。人は死に際して苦しむのが当然だという警部のセリフは現代でも生きるセリフであるように思う。
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日曜日に自殺者が。
予告自殺へと発展していく。
連続自殺事件に翻弄される十津川警部。
背景となる事件がつぎつぎに明らかになる。
宗教じみた団体があぶりだされる。
本部に乗り込む十津川警部。
最期は誘拐されてしまう。
結末は全く予想だにできなかった。
社会派を目指した西村京太郎らしい作品。
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都内の繁華街などで起こる連続自殺事件など、冒頭から読者を惹き付ける謎があり、中盤以降も楽しませる展開が続きます。最後まで一気読みでした。
一人の女性信者の姿を描いたラストシーンもインパクトがあり、何とも言えない余韻が残ってとても良かったです。かなりの力作と言えますが、密室トリックは残念な出来でした。
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これは凄まじい。宗教団体による「連続予告自殺」を阻止しようとする十津川警部ですが、自殺を罰することは出来ず、新たな犠牲者が……。宗教の持つ「狂信」をテーマにした社会派な内容。ミステリーとしてもサスペンスとしても一級品です。1980年の作品ですが、全く古さを感じさせない傑作。ラストシーンには、胸をぎゅっと締め付けられます。
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大量の紋白蝶やゴム風船を空に放ったのち、服毒するという
よくわからない自殺パフォーマンスが連続するので
十津川警部が捜査にあたったところ
なんか偽キリストっぽい宗教がでてくるという話
生きることが苦痛であるのは、生きる理由がないからで
生きる理由がないというのは、世の中に裏切られてそれを見失ったり
そもそもそういう概念を誰からも教わらなかったりするからだけど
でもとにかく自殺するのはよくないよ
なぜならそれは社会のありかたにたいする挑戦だから
そんなオヤジの説教くさいニュアンスを含みつつ
生きる理由として仕事にしがみつく世代を描いている
1980年の作品で
ガイアナ人民寺院の集団自殺あたりを下敷きにしているのか
教祖のありかたには説得力を感じた