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危険な本だ。カルト集団やマルチ商法の手法が図解付きで分かりやすく紹介されている。集団を動かし熱狂させたいと考える人には非常に便利な1冊といえる。しかし使い方には気をつけなくてはいけない。リスクを考えず本書の手法を真似ると痛い目に遭うだろう。関連書も読みたい
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ウォッチャーという存在
宗教伝道;
教会生長運動
モザイク理論と均質ユニット
パワー・エヴァンジェリズム
カルト・ブランディング
今、ここではないどこかへ連れて行く教義:
世界の終りの魅力
人生をける
共通敵を設定・教義と個人を接続:
個人的悩み
脅威を煽る
外部との接点を作るー福音の伝道と関係の構築
覚醒の物語を現実世界とリンク・信者を没入させるスイッチを埋め込む
部との差異を認識→仲間意識を醸成→集団を強固に
教義から金と労働力を引き出す
大切な人が悪取り込まれたら:
専門家に相談
コミュニケーシ維持・長い目で対応
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2024.11.10
参政党がなぜ一定の票を集めるのか理解の一助となった。この政党の今後に注目したい。
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11. 「ウォッチャー」とは、「変わった出来事や刺激的な出来事を観察し、情報収集する人々」
18. カルトの手口に関する研究や救出カウンセリング活動を行っているスティーブン・ハッサンの著書に「マインド・コントロールの恐怖」という本がある。ハッサンはその中で、主要なカルトのタイプとして「宗教カルト」「政治カルト」「心理療法または教育カルト」「商業カルト」を挙げており、マルチ商法はこのうち商業カルトに含まれる
24. ヨーロッパでは、キリスト教が社会に対して持つ影響力はすでに衰退していると言われてる。例えば2018年の調査では、毎週礼拝に出席している人々の割合はイギリス8%、ドイツ10%、フランス12%、ポーランドを除く西ヨーロッパ諸国では全て25%以下であった。ところが米国ではこれが36%に達している。
さらに、毎日祈りを捧げている人の割合については、西ヨーロッパ諸国では同じく25%以下がほとんどに対し、米国では実に55%であった
29. 教会成長運動では、社会を、同じ社会的背景(人種、言語、収入レベル、教育レベルなど)をもった人々の集団がモザイク状に組み合わさったものと捉える(モザイク理論)。マクギャヴランは、均質な社会的要素をもった人々が集まる教会(均質ユニット)の方が成長しやすいという主張を行った
30. 奇跡の利用(パワー・エヴァンジェリズム)。病気や治療や悪魔祓いといった超自然的な現象を強調する伝道が行われることがある。これには批判も多いが、人々にインパクトを与えることができ、言葉を超えた次元で神の存在を感じさせることができる
34. 「献身度の同心円」、外側から「住民(教会に繋がっていない人)」「群衆(定期的礼拝出席者)」「会衆(教会員)」「弟子(成熟した教会員)」「仕僕(信徒奉仕者)」となっている
37. 「カルト・ブランド」とは、時にカルトの信者のようにも見える、熱狂的な顧客集団を持つブランドを指す。カルト・ブランドはマーケティング戦略としての割引セールを必要としない
39. 「カルトになれ!」に挙げられているルールを整理すると、以下のようになる。
1.他との違いを強調し、目立つ存在にする
2.明確な目的を持つ
→商品を買うというのはある種の投票である。ブランドが示すビジョンに共感し、それが成長した先にある世界を想像できることは、ブランドを選ぶ強い理由になる。
3.アイデンティティや自己実現を売る
→人には特別な存在でありたいという欲求がある。他との違いが際立っているカルト・ブランドは顧客心理の深い部分と結合し、そのブランドと一体化することは顧客の自己実現に繋がる
4.ブランドを顧客と共創する
→顧客のコミュニティを支援したり、そのアイデアを製品化するような仕組みを組み込むことで、単なる顧客ではなく、共にブランドを成長させている一員であるという自覚を与える
5.共通の敵を作る
→ブランド同士のライバル関係は人々の印象に強く残る。敵を意識した時、人は仲間意識も強く意識することができる
6.儀式や集会場を作る
→仲間意識を高める上で、人々が集まる場所や集会が存在することは重要である。ま���ブランドロゴや独自の用語など、仲間をつなげるシンボルの利用は所属意識を高める
7.伝道師を生み出す
→十分にブランドと一体化した顧客は、自らブランドを宣伝する伝道師となってくれる
46. 「この団体で頑張った結果、どうなるのか」をイメージできてこそ、人は熱を持って活動に励むことが出来る。熱狂を生むためには「今、ここではないどこか」または「大きなものとの繋がり」のどちらか、あるいは両方の要素が入っていると効果的である
50. ポピュリズムとは「「人民」の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動」である。政治的なポジションは「左右」で表現されることが多いが、ポピュリズムでは「上下」がふさわしい。「上」にいるエリートたちの政治が腐敗しているために「下」の人民は苦しんでいるのであり、「上」を批判し打倒することで世の中はうまく回り始めると考えられるのだ
54. 大きな視点から見た「世界の劇的な変化」ではなく、個人の視点から見た「人生が変わる」というストーリーにも「今、ここではないどこか」を強く意識させる力がある
61. 共通敵の設定は、「今、ここではないどこか」と「大きなものとの繋がり」の両方を満たすストーリーを作りやすくなる。都合の良い敵を設定することで「敵さえ倒せば世界が変わり、理想郷がやってくる」という理屈を利用できるためだ
62. 人々から力を引き出すためには何かしらの行動を起こしてもらう必要があり、「正しさ」はそのための重要な鍵である
64. 「私たちを怒らせるものの正体。それは、「べき」という言葉でいい表すことができます。これは自分の願望、希望、欲求を象徴する言葉です。私たちはそれぞれオリジナルの「べき」を持っています。上司はこうあるべき、夫はこうあるべき、妻はこうあるべき、、、。この自分の持っている「べき」の「理想」と「現実」のあいだにギャップを生じると怒りが発生するのです」
65. 人は、自身の価値観に沿わない状況に遭遇すると怒る。人はその時、相手よりも自分に理があると感じている。ここには正義の感覚が存在し、暴力を正当化している
68. テロ行為へと至る過程の5つのステップ。
1.私的な苦悩、政治・社会的不正義への疑問や怒り
2.ナラティブ(物語)作り
3.過激化トンネル
4.宣伝グセとしての予告
5.トリガー(きっかけ)
87. 「没個性化の社会的アイデンティティ・モデル」。没個性化とは、集団内で匿名性が高まることによって生じる心理状態を指す。人は、1人でいる時と大人数の中にいるときでは心の状態が異なり、「自分一人くらい何かやってもバレないだろう」と思えるような状況(匿名性が高まった状況)では、普段やらないような行為に及びやすくなる
101. 証拠探し要素は世界の見え方が劇的に変わったように感じさせるスイッチの役割と、共に真相を明らかにしていく仲間意識を醸成する手段としての役割を果たしてくれる。
110. マンデラ・エフェクト。多くの人が持っている虚偽の記憶や勘違い。あなたが勘違いをしていた時、それは単なる記憶違いではないかも知れない。もひかすると、その勘違いが正しいパラレルワールドならこの世界へ転移してきたのかもしれ��い、と考える人たちがいるのである
119. マンデラ・エフェクト戦略には見るべき要素が3つある。「現実感のズラし」「証拠探し」「仲間集め」
142. あなたも、人々を興奮させる教義や世界観をいきなり全て示すのではなく、偶然の出会いを演出する入り口を準備し、少しずつヒントを出していくことで人々を熱狂させられれば、やがては世界を変えられるかもしれない
144. 偶然の出逢いに思える入り口(ラビット・ホール)を準備し、運命の出会いを演出することで人々をより熱中させることができる
147. 人は、対立する属性を提示されるとつい「こちら」と「あちら」に人々を切り分けてしまう。自分が所属する集団を社会心理学では「内集団」、所属していない集団を「外集団」と呼ぶ。そして、集団内の人々は似ているのだと強く意識するようになり(同化)、内集団と外集団の人々を比べた時には差異が強く認識される(対比)。この対比と同化をうまく引き出し、集団としての意識を強化することが熱狂を生む鍵である
148. 形成した集団へのコミットを強化するために重要なのは教義による味付けを施し、「他にはない特別な集団」という認識を与えること
151. 「ラブ・ボンビング(愛の爆撃)」集会や懇親会で新入りを引き込む手法として重要なのが、相手を意図的に承認し、愛情表現を連発する手法。このような行為に晒されると気分が良くなり、「いい人たち」だと思ってしまう。そして、そこに依存すればするほど、「この人達に嫌われたくない」ときう心理が強くなる。
159. カリスマというのはギリシャ語に由来し、聖書の中では「神からの恩恵・賜物」を意味する宗教用語であった
161. 別名の使用は様々な宗教に見られ、新しい自分への生まれ変わりを演出する。そして、集団内でそうした名前で呼ばれることは、一般社会とは異なった集団で認められている実感を強化する
165. 入学式や成人式、宗教における入信儀式、軍団におけるしごきなど、入会のための儀式や、集団の成員として認めるための儀式は様々な社会で認められる。これを人類学でイニシエーションと呼ぶ。イニシエーションは、その人の社会的地位を変化させる。儀式を通じて生まれ変わるのである
168. 激しい拍手で祝福するのをしてみて欲しい。それだけでも少し気分が高揚してしまうはずだ。人は明確な理由付けがなくとも、環境条件や身体的な刺激によって興奮を得られる。そして、このような大規模集会は非日常体験を行わせる上で重要である
171. 群衆となった個人は言葉やイメージによる暗示に動かされやすくなり、その暗示は人々の間を感染していく。あなたが群衆を動かしたければ、人々を熟考させるようではいけない。それとは逆の、何の根拠も理屈も伴わない断言こそが威力をもつ。これを何度となく反覆することで断言は人々の脳裏に刻み込まれ、やがて感染していくのだ
176. 小グループは組織との関係を強化し、会員が関わる活動の種類を増やすのに有効な手段である
179. 思想の注入と連帯感の強化を行う方法としては、集団生活を送らせるというものもある。コミューンは一般社会と隔離された環境を作り出し、日々思想を強化しながら、同じ考えを持つ人々���よる共同生活を通じて仲間意識を醸成することができる
189. このようなセミナーやイベントの価値は運営費に左右されるというよりは参加者が決める側面が大きいので、参加費は少し高めに設定した方が良い。支払う側が自主的に価値を認めてくれるからだ。さらに、化学体系にランクを組み込んで高額プランを準備すれば、集団の中で抜きん出たい、特別な集団の中でさらに特別な存在となることで差別化欲求を満たしたいという観客が殺到するので効果的だ
191. 製品がもつ価値については、ブランド論で知られる米の経営学者、デイヴィッド・アーカーによる4分類が知られている。
①機能的便益→製品自体の機能
②情緒的便益→製品を使うことによって得られるポジティブな感情
③自己表現便益→自己のイメージの表現(クリエイティブ、賢い人など)
④社会的便益→社会集団への所属
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気がついたら読み終わっていた。あまり触れることのないカルト組織や陰謀論の内情を垣間見ることもでき、とても興味深かったです。
個人的にセオリー2の部分が最もおもしろかったです。
カルトに人を引き込み過激行動を起こさせるプロセスは戦時の政府のプロパガンダ、ネットの女叩き扇動と構造としては同じだと理解でき、最近のネットの男女対立ら社会保障費を盾に老人を殺せとか言ってる人々にモヤモヤしていたが、自分の中で冷静に分析できそうな気がした。(もちろん現実問題として人口推移や社会情勢の変化に基づき社会保障や医療のあり方を変える政策議論が必要なのは別論で、出来るわけもないのに老人は今すぐ死ねとか馬鹿の一つ覚えみたいにヘイト撒き散らしてる人間に対しての非難です)。
筆者の共通敵の設定に関する考察は非常に鋭く、自分自身も世界を単純化して敵味方という偏った見方をしていないか思考を正すきっかけにもなった。
最後はもし身近な人がカルトなどにハマってしまったらどうすべきか、周囲の人間の構え方と具体的な相談窓口も豊富に掲載されていて勉強になりました。
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カルトという言葉を聞いて思いつくのは、さまざまなイメージであるが、基本的にはオウム真理教や法の華など、社会に有害と言える活動をする熱狂的集団を思い浮かべるだろう。カルトは世界や自分の人生を変えられ、何か大きなものと繋がれる教義を作り、発信する。それが特定の悩みや被害者意識と結びつき、拡大される。特定の敵を作り、コミュニティ内で人間関係を作り、外部との違いを強調し、ゲームではなく、新しい現実であると演出し、アイデンティティに昇華させていくそのメソッドは極めて興味深いと言える。ちなみに、真実に目覚めることを、マトリックスの映画にちなんで、レッドピルを飲むと言うらしい。アメリカのオルト・ライトの人たちもこういった表現して、白人が迫害されているという認識を共有しているのだ。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01435254
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ネタがネタだけに興味本位で入手した面も正直あったのだが、極めてよくまとまっている良著だなと感じた。
紹介されているのが「マーケティング」なだけに、どれもこれも洗練されていて、大なり小なり一般人/組織も用いている手法っぽいところに背筋が薄ら寒くなる。
あとカルト入信者への対応がコンパクトにまとまった最終章もなにげに良い。
最後のあとがきからは陰謀論ヲチャらしい何かが仄かに感じられて何とも言えない読後感になったが、まあこちらも興味本位で入手したのだから何も言えない(汗)
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マーケティング手法がよくまとまっていてわかりやすいのもさることながら、マンデラエフェクトなど、カルト・陰謀論のトレンドも把握できて面白い。