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50万部近く売れた、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」の著者であり、RST(リーディングスキルテスト。以下RST)の考案者である新井紀子教授による待望の新刊です。今回は、前回の前著でうまく伝わらなかった「読解力」を新たに「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章を自力で読み解ける力」を『シン読解力』と改め、紹介しています。私にとってRSTは前作「AIに負けない子どもたちを育てる」で簡易版を受けてみましたが、自分は数学を扱う能力が極端に低いことが分かり、その解決法示した今作は待望の続編でした。最近現れて話題の生成AI、「チャットGPT」の概要とその能力などを皮切りに、「学習言語」とは、そしてRSTの結果が如何に学力と相関性があるか、また、如何に日頃新聞などに載っている文章を大人でさえも読み解けていないかが具に著わされています。最後には、『シン読解力』を伸ばすための基礎・上級トレーニングの例が一部載っています。基礎編は、新聞記事の見出しを使った簡単にできるものなので、著者が言及するように、新聞が1コーナーとして記事に載せてくれたら有意義なのではないかと思います。著者には『シン読解力』の益々の追求を期待したいです。
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筆者はAI利用慎重派として有名で、読解力がなければAIを活用できないと主張し、シンギュラリティは来ないと断言する。おおむね賛成であるが、それをも吹き飛ばすブレイクスルーが達成されるかもしれない。どちらが正しいか、近いうちに結論を見出せることだろう。
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概要
chatGptは平気で嘘をつく。それを見破るためにはシン読解力が必要。
シン読解力=知識や情報を伝達する目的の文書≠文学書を読む力
シン読解力を図るために、著者がRSTを考案。
RSTと学力テストには強い相関が見られた。
・シン読解力のトレーニング方法
認知負荷を下げる。
教科書のどこに何があるかを確認するような作業。
ワーキングメモリをメインの作業に使うため。
RSノート
感想
今後のリスキリングが必要になっていく世の中で非常に必要な能力だと思いました。学生の頃にこのスキルを伸ばせていたら、、、
教師や、小さなお子さんがいる人にぜひ読んで欲しいです!
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著者が過去の経験から学んだことは
1.各教科の教科書を読み解く読解力を身に付けるには、読書では不十分
2.教科書の書かれ方には「型」があり、その「型」を意識させる方が自由に読ませるより教育効果が高い(そして、そのためにはトレーニングしかない)
3.トレーニングの内容が適切で、学習者にトレーニングを継続する能力と意欲さえあれば、年齢・好き嫌い関係なく、それなりに読めるようになる。
AIの限界は
1.教師データが不足したり、そもそもなかったりすること
2.外れ値に振り回されること(=外れ値の罠)
の2点。
よって、安心安全が命題の領域ではなく、「できたら良いな」という領域でAIは使うべき。
chatGPTを使いこなすには、
・出力を読んで理解する力
・ファクトチェックを行い、誤りを指摘し、修正する力
が必要で、すなわちこれらが「シン読解力」となる。
RSTは「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を「自分で読み解ける力」を測るテストで、文学や評論などとの読解力とは無関係であり、一方で学力とは強い相関関係がある。
「シン読解力なんて、誰でも自然に身に付くはず」という期待は「自然に読めるようになった」一部の幸運な人々の傲慢。
RST分析の結果によると
1.15歳前後までは成長に従いある程度は自然に「シン読解力」は伸びる
2.学校教育により「シン読解力」が向上しているとは言い難い
3.高校受験も大学受験もその後にも「シン読解力」は影響する
4.入試の難度と倍率により、学校のRST平均値はスクリーニングされる
誰が読んでも同じ解釈になる学習言語と、誰が読んでも同じ解釈にならない生活言語は異なる。
学校現場でよく見られる、成長に伴う学習のつまずきは、生活言語は獲得できたのに、学習言語の習得に失敗したことが原因の可能性がある。
学校におけるゴールとは「すべての子どもが独学する方法を身に付けている、すなわち教科書を自力で読める状態で卒業すること」
シン読解力で読解の対象として扱われる資料は「グラフ、表、図形。式、地図、概念図、年表、楽譜など」である。
だから学校では、グラフの読み解きをしっかり学ぶべき。
努力でカバーし、他の子が嫌がるボランティアや掃除などにも真面目に取り組む生徒は内申点が高くなりがちなため、シン読解力の低さが見過ごされがちだが、そんな彼らでも早めに軌道修正・指導することで、しっかり伸びる。
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AI VS教科書が読めない子どもたちの解決編ということで読みました。
前作では、AIの現状と子どもたちのかかえる問題提起までされていていましたが、その解決策がわからないで終わっていました。
今作はでは、その後の原因を科学的に分析し教科書を読めない子どもたちの要因について書かれています。
学校の授業を思い返すと先生が言っていることが、わからないと思うことがあるともうこの教科はキライとなっていた。
その原因について分かりやすく書かれています。
自分の子も授業についていけてないように感じており、今の子供の読解力がどれくらいなのか試すところから始めてみたいと思います。
この読解力が足りていないと、スポーツの練習でも、一緒に遊ぶときでも読解力のある子に置いていかれてしまいます。将来的には、仕事ができるできないにもつながっていくとても大切なことだと思います。
また、今までただ読書だけしておけば良いと思っていましたが、まずは短い分でも良いので正しく文章を読む方法を伝えていこうと思いました。
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さすが新井先生、テンポがよく読みやすく、反対派を想定して事前に切り捨てるのもわかりやすい。
自分にとって仮説または感覚程度だったことも、多くの分析とともに書かれているので、たいへん勉強になった。
毎回、新しい読者を想定しているのか、前段が長く過去の著書との重複感はあるが、バージョンアップが図られているのでそれほど気にならない。
これは関係者に広く勧めておこう。
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新井紀子さんの新著ということで、ネットで見つけ即購入。
シン読解力。
最近、よくきく「シン〜」という言葉だが、本書を読み進める中で、それの意味するところが分かってきた。
シン読解力とは、RST(リーディングスキルテスト)で測る力のこと。
その測る力とは、知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書を自力で読み解ける力のこと。
簡単にいうと、教科書を読む力のこと。
この力は年齢と比例して向上するわけではない(=学校教育の中で育まれない)、トレーニングを積むことで向上が期待できるという特徴がある。
トレーニングの内容としては、黙読→音読→聴読(初めて聞いた)→視写→校閲という5つの異なる刺激を通して、前回の授業のポイントを読ませるといった形が紹介されている。
本書を読んで印象的だったのは、音読と視写、ノートと鉛筆といった昔ながらの方法に焦点が当てられているという点である。
課題外在性認知負荷という難しい言葉が使われているが、一丁目一番地の学習に集中して取り組ませるために、邪魔になるものをなくす(負担を軽減させる)ことの重要性を感じた。
RST、まずは自分が受けてみたい。
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自分が高校で伸び悩んだことを思い出した。なぜ伸び悩むことそうでない子がいるのか。その一つの答えになった。今井むつみは意味を重視しているが、新井紀子は読解を重視している。
どう読解力を伸ばすか。それは昔からやられているような単純なこと。とても面白かったので要約して職場の人に配りました。以下のものです。
序章
著者は根っからの文系人間。高校で数学を諦めた。今思えば、読み方がわかっていなかっただけ。シン読解力は才能や感性ではなく、トレーニングによって身につけることができるスキル
第1章 チャットGPTの衝撃
東ロボくん・・・東大合格を目指して作られたAI
チャットGPT ・・・研究者は手放せないほどの制度を出せる
論文の構成、章立て、翻訳はかなりの精度で行うことができる。
※チャットGPTは平気で嘘をつく。東大の世界史の入試問題0点
ChatGPTは自然な言語生成を目指して作られたため、正確な情報を提供するわけではない。
流暢に言語を操るために、正しさを諦めた。
AIはなぜ完璧になれないのか?
人工知能の学習には2種類ある。
・教師あり学習・・・お手本とする教師データが必要 入力→出力 入力→正・誤
・強化学習・・・指標・ルール・目指すものが明確であれば正誤をもとに修正することができる(例 囲碁、将棋、オセロ)
ただし、政治、子育て、介護、家事など教師データの設計が難しい
自動運転はできそうでは?
どんなにがんばってデータを集めても、滅多に発生しない「外れ値」が生じる。
(例 ひき逃げされた女性をさらにひく 大型トレーラーを光の加減で物体と認識できず衝突)
→どのポイントでAIを使い、何を人間に任せるか的確に判断することが求められる。
→AIを使いこなせるようになることが必要
あらゆる生成AIは平気でそれっぽい嘘をつくし、著作権侵害を行う。
それをチェックし、より適切な出力になるようにコントロールするスキルが求められる。
その前提として必要な能力が「シン読解力」
第2章 「シン読解力」の発見
「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章」を自力で読み解く力をつけること。「行間を補う」「心情を考える」こととは一線を画す。
→「自力で学び続けられるスキル」の獲得
リーディングスキルテスト(RST)の開発
①係り受け解析
②照応解決
③同義文判定
④推論
⑤イメージ同定
⑥具体例同定
RST能力と学力テストの結果は全体的に強い相関がある
第3章 学校教育で「シン読解力」は伸びるのか?
RSTを受検した50万人のデータの分析から明らかになったこと
1、中学3年までは成長に伴ってある程度自然に「シン読解力」は伸びるが、15歳前後で伸びはとまる
2、小中高校とも、学校教育によって「シン読解力」が向上しているとは言い難い
3、高校、大学受験も「シン読解力」が決め手になる
4、入試倍率によって、その学校のRST平均能力値が左右される
読めない子に対して、親も教員も「もっと、ちゃんと、しっかり読みな���い」
読むということが具体的にどういうことかわからずに、たくさん例題に当たり、解き方をパターン化して解こうとする。「外れ値」に当たると途端に失敗する。
フランスの実験。7歳から9歳の子に「船の上に26匹の羊と10匹のヤギがいます。この時、船長は何歳でしょう?」結果、9割以上の子どもたちが「36歳」
第4章 「学習言語」を解剖する
教科書などで使われている教科ごとに異なる言語・・・学習言語
日常生活などで使う言語・・・生活言語
生活言語を習得しているからといって自動的に学習言語を習得できるわけではない
教科によって特徴は様々
「数学語」・・・「いくつか」が1つ以上、場合によっては0以上の整数を示すなど
「社会科語」・・・〜ので、よって、だから 連用中止法が多様
山形は盆地が多く、夏は暑い。(理由)
山形は盆地が多く、花笠祭りが有名だ。(並列)
「物理と生物」・・・物理は数学的だが、同じ理科でも、生物は例外が多い
→生活言語の常識を必要以上に引きづらないようしながら、コードをスイッチングする
学習言語のマルチリンガルになることが求められる
第5章 「シン読解力」の土台を作る
土台となるのは語彙と経験
小学校入学時の語彙量は多い子で7000語。平均はその半分
小学校3年生までに8000語〜1万語+教科特有の和語(かさ、たば、ます、しかたなど)
基本的な語彙が備わっていないと辞書も引けない
教科書が前提としている標準的な生活体験というものもある
(アナログの時計が家にある、リアルなお金で買い物や両替をしたことがある、バスに乗ってお金を払ったことがある、鍋ややかんで水を汲んでお湯を沸かしたことがあるなど)
穴埋めのプリントの授業によって、キーワードだけ覚えればよい教育になっている
脳のワーキングメモリには限界がある。
認知負荷とアクティブラーニング
課題内在性認知負荷と課題外在性認知負荷
学習支援ジレンマ理論・・・電卓を使って計算することで筆算による計算の構造を理解できなくなる→支援するしないの基準を作るとよい
最初に取り組むべきは、学習プリントを減らすこと 書く量を増やすこと
紙と鉛筆ではできないことをタブレット端末で行うようにする(動画の撮影、表計算など)
第6章 「シン読解力」トレーニング法
①基本は音読と視写 ※目標は1分あたり学年×10文字
1、指定された教科書のページを開く
2、そのページから指定された文を見つける(「ウォーリーを探せ」トレーニング)
3、その文を黙読し、意味を思い出す
4、教師が音読する。もう一度自分で音読する
5、指定の時間で視写する。90秒。終わらなかったら、印をつけて続きを書く。
6、隣の子と交換し、あっているか見合う
②板書の共書き
1、板書する前に書くことを教師が読み上げる
2、子どもから見えるようにしながら、教師が黒板を書く
3、教師と同じタイミングで板書する
③教員が徹底して教科書を読みこむこと
文の分析、教科ごとの特性、つまづきやすいところを予想するなど
これらを導入した���島県相馬市
2021年国語7ポイント算数9ポイント全国平均より低い
2022年 全国平均並 2023年 全国平均をうわ回る結果「学テ始まって以来の快挙」
自己流ではなく基本の書き方が身につく→自分が言いたいことを伝えられるような文を書くことができる
第7章 新聞が読めない大人たち
シン読解力が低いのは子供に限らない
入試、入社倍率によって、シン読解力の高低の分布は左右される
組織によってはベテランの方が低いこともある
付録 トレーニング&コラム
初級 助詞を補いながらまとめをつくるトレーニング
グラフ、図を主語を意識して読み取る
中級
上級
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シン読解力とは、小説を読んで身につくような種のものではなく、教科書のような説明を理解する力を指しているのだそう。
それが具体的にどんなものなのか、リーディングスキルテスト(RST)も織り交ぜながら書かれていて、なるほど!と納得した。
このRSTが面白くて夢中になってやったけど、なかなかの正答率。ちょっと嬉しい。
問題で使われている文章は間違う要素はないと感じるものだったけど、違った解釈をしてしまう人がいるとしたら大問題だなと思う。
著者が言うように、勉強の前にシン読解力を教える必要があると思う。それを実践しているという相馬市はすごい!
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AI vs 教科書が読めない子供たちの書籍と同じ著者
30代中盤に差しかかり、改めて日本語の扱い(適切な文書作成、理解、伝達)に悩んでいた時に出会った本。
タイトルの読解力というと文書を読み解く力であり、本を読む量を増やすなど、文書に触れる機会を増やす事で養われると思っていたが、この点は序盤でも触れておりそれだけでは不足している。と学び驚いた。
RSTなる問題を作成されており、例題がいくつか掲載されていたが、ほとんど間違っており、自身の読解力不足にショックを受けたのと、今まで間違って理解して進んできたのではと不安になった。
現代では視写して書くことの機会が減っており,それも読解力の能力を下げる事と理解し、自分も意識して読んだ文章をアウトプットして理解力を高めたいと思った。
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チャットgptは堂々と嘘をつく。これを肝に銘じてファクトチェックは自分でできるような力をつけていかないと。思考停止の子どもを育てることになる。
教科書独特の書き方『教科書言葉』があることを理解して、読み解き方を教えていく必要があると思った。特に小学校なんて、易しい言葉で書いてあるけども、子どもにとっては読みのつまずきになっていることがあるだろう。
『しっかり読みなさい』ではない。その人は読みにおいてつまずいている(むしろ、読み方を教わってないから読めなくて当たり前)という認識を持っておくと、『なんでそんなレベルから!』と叱る必要はなく『この読み方や考え方を具体例を挙げながら教えてあげないとな』という認識に変わる。
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ある意味を伝えるための文の書き方、意味を読み取るための読み方をどう鍛えるかのヒントになる本。学力が低いと言われる子どもたちへの指導に使えるのと同時に、昔ながらの指導の中にも有効で意味あることが多く含まれていたことに気づかされる。
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精読と多読が全く異なるスキルで、精読は学力との相関が高い、鍛えることができる能力だという説明は非常に説得力があった。音読や書写の力を高めることで能力を上げることができることも。長男で見極めて必要なら取り入れたい
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革命的な本である。「学力というものは、人によってどうして差がつくのだろうか」、この問題を解くヒントがこの本には詰まっている。遺伝を除くと、できる人というのは、IQではなく、暗記力ではなく、「シン読解力」によって決まってくる。しかもこれはトレーニングによって改善できる余地があるというところが魅力的だ。今教えている生徒たちに、今すぐにでもRSTを受けさせ、トレーニングさせたい気持ちでいっぱいだ。
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<目次>
第1章 チャットGptの衝撃
第2章 「シン読解力」の発見
第3章 学校教育で「シン読解力」は伸びるのか?
第4章 「学習言語」を解剖する
第5章 「シン読解力」の土台を作る
第6章 「シン読解力」トレーニング法
第7章 新聞が読めない大人たち
附 トレーニング&コラム
<内容>
『AI vs 教科書が読めない子どもたち』以来の衝撃。この本でも知識だけではなく、”読解力”がないことで、学習が身につかないことに衝撃を受けた。さらに今回、各教科に「学習言語」があり、「生活言語」だけでは理解できない、ということを知った。さらに著者が作った「RST(リーディングスキルテスト)」を多くの人がやった結果、小中学生はもちろん、大人でも「新聞の読めない(正確にはきちんと理解できていない)大人」が多くいることを知った。いくつか例題があるが、自分も間違えているものがあった。RSTをきちんと受け、そこから適切な学びをしていくと、「シン読解力(教科書を読み解くために必要な読解力)」は改善されること。その結果いわゆる「学力」も伸びること(当たり前なのだが…)。大人もRSTの数値が低くても、学びの結果改善されること。学校で学ぶべきことを改めなければならないかな?