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7件
赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア
著者 白川美也子
トラウマはなぜ苦しみを引き起こす? 被害と加害はなぜ繰り返される? どうしたら楽になれる? 災害トラウマの特徴とその支援は? 赤ずきんとオオカミの物語仕立てで、トラウマによる症状、回復のプロセス、支援の方法について学んでいきます。 医療・保健・福祉・司法・教育などの場でトラウマを受けた人と関わるスタッフ、そして当事者とご家族も読める本です。
赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア
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2017/10/12 18:09
PTSD理解の ファーストチョイスに。
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゅ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は心的外傷後ストレス障害の治療をしています。どんな病であれ、専門知識のない人間が病を患ったとき、何かしらの方法で、病について理解しようと思う方が多いかと思います。私もそうでした。治療年数も長いので、様々な本を読んできました。その中でも私は、この本を1番にオススメしたいです。
内容に少し触れます。PTSDの理解のために、赤ずきんちゃんとオオカミさん(2人ともPTSD患者の立場)と、治療にあたる森の賢者。それから、他のPTSDの仲間たちと三びきの子ブタさんなどがでてきます。有名な童話を背景に、PTSDの様々な症状、様々な原因を、わかりやすく理解できます。
もし患者の立場ではない方が読まれるときは、理論的な説明では理解しづらい、主観的な症状のイメージがわいてくる内容だと思います。
患者さんが読む場合、私がそうだったのですが、専門書を読み通すこと自体が苦痛な時期があるかと思います。特にケースが書かれている場合は注意が必要です。自分の原因と似たような内容を読むと、フラッシュバックがおきたり、具合が悪くなったりします。でもこちらの本は、患者さんが読みやすいようにと、配慮されている印象がありました。もちろん誰もが必ずフラッシュバックが起きません、ということではありませんので、恐怖心が強いなら控えてほしいです。
それでも、もしPTSDと診断をされ、病を理解したい方がいらっしゃるなら、まず最初に読む本としてオススメしたいです。
診断されて間もない患者さんがこのレビューを読まれていたら…
これは私の経験からお伝えしたいことですが、
まずは、本やネットなどで理解しようとするよりも、しっかり休んでほしいです。特にPTSDの初期は過覚醒になっていて、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、で、何かやらなきゃ落ち着かない、といった症状がでているかもしれません。過覚醒の時に、本を読まなきゃ!と意気込んで読んでも、あまり良いことありません。まずは、できるだけゆっくり過ごしてもらいたいです。
赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア 自分を愛する力を取り戻す〈心理教育〉の本
2017/02/11 12:58
治療法や技法以前にたいせつなこと
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
「わたしたちがエビデンスにもとづいた治療法を行なうとき、クライエントがこれによって必ずよくなると信じ、自信をもって行なう―――そのこと自体もクライエントの中にある回復の力を引き出しているのだよ。問われているのは単に技法の知識だけではなく、治療者としての態度や姿勢なんだ」とは本書に登場するグレート・マスターのことばであるが、このことばこそ本書を貫く背骨として存在する概念でありまた著者である白川さんの基本的な信念なのであろう。様々な治療法や技法に精通し、また様々な臨床の場でそれらを利用して治療にあたってこられた経験の豊富な白川さんからそういった信念が表明されることは非常に意義深いものである。
本書ではトラウマ症状とはどういったものでその原因は何かについての理解を深めること、回復過程ではどのようなステップを踏んで何にどう取り組むとよいか、そして支援者が留意すべき原則は何かについて非常にわかりやすく、そして赤ずきんとオオカミを中心とした登場人物が当事者としてそして支援者として実際にそれらの問題に取り組むという具体的な例を示しながら丁寧にひとつひとつ述べられている。
現在トラウマに苦しみ途方に暮れている、回復の入り口にいるひとにとっても本書は最適であることはもちろん、ある程度回復の道を進んでいる途上の当事者やそしてある程度臨床の経験を積んだ支援者にとっても再度基本に立ち返り、改めて重要なことは何かを再発見する、いや新しく発見することができる素晴らしい一冊である。
2018/10/21 20:55
された側、した側の両方の視点
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すずき - この投稿者のレビュー一覧を見る
トラウマを抱えることがあった人のための本でもあるし、
そのトラウマを与えた側の問題にもスポットをあてた本。
トラウマを抱えた側のつらさも和らぎ、
トラウマを与えた恐怖の存在も可哀そうな存在にだんだんと
自分の中で変化していった。