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7件
バー堂島
著者 吉村喜彦
大島北新地のはずれ、堂島川に面したカウンター五席の〈バー堂島〉。還暦近いマスター楠木正樹は元ブルース・ミュージシャン。美味しいお酒とつまみ、心優しい音楽が売りの、ざっくばらんなお店。女の子みたいに可愛い花屋のマロちゃん、ヘンな大阪弁のイタリア人アントニオ、お好み焼き屋のおやじ、氷屋の若旦那、スイミングインストラクターのカナちゃんなど個性豊かな連中がやってくる。「人生、なんでこうなの?」とお嘆きのあなた。バー堂島で飲んで笑って、ほろっとしよう。明日があるさ。心ほどける四つの物語。
たそがれ御堂筋 バー堂島2
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バー堂島
2021/09/22 16:05
バー堂島
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:渡り鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
堂島川沿いの新地のバーの物語。舞台が会社のご近所であったり、大阪弁の会話が満載と言う事もあり、かなりの親近感を感じる。この本を読むと無性にカクテルを飲みたくなる。滅多にバーへは行かないが、この本を読む限りは、間違ったバー通いをしていた事を思い知らされた。我々がバーに行くのは、大概が、一軒目のレストランや居酒屋で話し足りず、バーに場所を移して飲み直すパターン。
どちらかと言えば、バーで大騒ぎするパターン。でも、この本を読むとこの飲み方は間違い。バーには一人で通い、マスターとの会話を楽しみ、酒を楽しみ、他のお客との会話を楽しむのが、本来的なバーでの飲み方とこの本では諭している。仲間内でバカ騒ぎは、宜しくないようで反省! 酒好き、会話好き、新地好きの方にはお薦めの本。
そう言えば、新地のバーには殆ど行った事がないが、シンガポールのあるバーには少なくとも50回以上は通った。 イギリスの作家,サマセット・モームがこよなく愛したと言われるラッフルズホテル。 シンガポール屈指の超高級ホテル。ラッフルズホテル内にあるのが『Long Bar』。ロングバーは、『シンガポール・スリング』と言うジンベースのトロピカルカクテルを考案した事で有名。各テーブルに殻付きのピーナツがサービスで置いてあり、ピーナッツを食べるた後の殻は、床に捨てる。床がピーナッツの殻だらけ。
日本ではあまり見た事がない光景で楽しい。twoフロアーあり、各階、優に100人、イメージ的には200人ぐらい収容できる非常に大きいバーであり、バンドの演奏があり、騒がしい。堂島のバーとは大違い。名物カクテルの『シンガポールスリング』
が1杯、2500円ぐらいで決して安くはないが、いつも繁盛しているシンガポールの一大観光スポット。
どちらかと言うとロングバーでの飲み方が性に合っていると思うが、この本を読むとふらっと新地のバーに寄りたくなる。そんな本である。
バー堂島
2019/12/31 20:26
深い内容を上品な笑いでやさしく包んだ、素晴らしい小説。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Black&Blue - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪・北新地のはずれ、堂島が舞台のバー小説。マスターは元ブルース・ミュージシャン。そうそう。大阪といえば、やっぱり、ブルースだもんね。この設定から、ゾクゾクする。
4つの短編連作。地の文は、いつものリリカルでシズル感のある美しい文章だけど、今回は 大阪弁の会話がとてもいい。なんだかやさしくて、ホッとする。ええなあ、大阪。しっとりと情感がある。
表紙は、たぶん、カンパリソーダかな。その色が、大阪の夕焼けの色に見える。四天王寺から見る夕日って、こういう感じなんだろうか。
TVで、他人の頭をはたいたりする下品で半端な大阪芸人がはしゃいでいるが、あれは、ほんまの大阪やない。
それが、この小説を読むと、よ〜くわかる。
上品な大阪弁の会話が、胸にしみる。
日本国中、東京っぽく、というか、平準化したのっぺりした街になってしまったが、やはり、大阪の文化は深いなあ、と思う。
そんなこんなを思いながら、この小説を読むと、著者の日本文化に対する深い思いや現代日本に対する警告が理解できる。
軽く書いているようで、じつに深い。哲学的な小説だ。
これだけのことを、おもしろく深く書ける作家は、なかなかいない。
続編を期待します。
2025/03/25 04:33
グランフロントで州最南端
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
難波、心斎橋、道頓でもなくキタの堂島川という店舗条件がぴったりです。千早赤阪村のおばちゃんに手荒い歓迎を受けていた上原カナが、自分だけのサウスポイントを見つける話が特に良かったです。