法服の王国 小説裁判官
「裁判官はあくまで政治的に中立でなければならない」石田和外最高裁長官の言葉で、粛清人事が始まった。大阪地裁の村木健吾ら「現場組」は、司法反動の激流に抗し、「裁判官の独立」を守ろうとする。一方、父親が犯罪者という十字架を背負う津崎守は、「司法の巨人」弓削晃太郎に見込まれ、エリート司法官僚の道を歩き始める。最高裁は、札幌地裁の自衛隊訴訟判決に対する自民党の怒りを恐れ、「長沼シフト」を検討。松山地裁で白熱する伊方原発訴訟の攻防は、津崎をも巻き込む―。裁判所の内幕を抉る社会派巨編小説!
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法服の王国 小説裁判官 上
2017/04/05 18:18
法曹界の内幕がよくわかる群像劇
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投稿者:DR. K - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある医療裁判に関わったことから、裁判官という職業に興味をもってこの本を手にとりました。
法曹界の入り口にたった3名の法学部学生、研修生を軸に物語は進行させて、全国各地での原発訴訟、自衛隊長沼ナイキ訴訟、イタイイタイ病訴訟など歴史的な訴訟を交えながら法曹界の階段を上っていくかを群像劇として描いた力作です。暗い肉親の過去を背負いながらも修せ街道を着実に歩む津崎という人物と、青法協という時の政権からは疎まれやすい立場で真摯に自らの職務を全うしようとする村木という人物、そして北陸の原発反対訴訟に住民の立場にたって闘う妹尾という3人の運命を交差させながら物語はすすんでいく。非常に長いので途中で挫折しそうになったが途中でやめられなくなり最後まで読み切ったが読後感は最高だった。
裁判官の執務室や私生活など克明に描いているので法曹界出身の作家かと思いきや経済小説が専門としり、その取材ぶりにおどろきました。
ものすごい取材と知識がなければこれだけの内容はかけないとおもいます。
ちなみに著者の黒木亮さんは、北海道の秩父別町出身ということを知り2度びっくりです。私の出身の町と目と鼻のさきの隣町です。今後の更なる検討を祈ります。黒木さんの症説をもっと読んでみたいと思います。