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狗神
著者 坂東眞砂子
過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で村人から「狗神筋」の一族と忌み嫌われながらも、静かに和紙を漉く日々を送ってきた。そんな時、一陣の風の様に美希の前に現れた青年・晃。互いの心の中に同じ孤独を見出し惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける! 不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。土佐の犬神伝承をもとに、人々の心の深淵に忍び込む恐怖を嫋やかな筆致で描き切った傑作伝奇小説。
狗神
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評価内訳
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狗神
2023/04/23 08:09
群衆心理との暗合
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投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
村人に狗神筋と忌み嫌われながら山里で暮らす一族。それまでは表面には現わさず、危うい均衡を保っていたその感情が溢れ出していく。伝承の真偽はさておいても、少しずつ村に浸透していく闇に反応していく村人たち集団の心理の変化を追うだけで、充分に緊迫が伝わってくる。妖はいるのか、いないのか。怪物嗜好が強い自分としては、なかなか姿を明らかにしない狗神という存在に、普段であればもどかしさを感じてしまったかもしれない。今回は、併読のタイミングの良さに、逆に「すべては村人が連綿と引き継いできた暗示でも構わない」と思えてくる。