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6件
【カラー版】アヘン王国潜入記
著者 高野秀行 (著)
【電子版特別カラー写真収録】ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた著者の伝説のルポルタージュ。電子版には特典写真23点を追加収録。
【カラー版】アヘン王国潜入記
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アヘン王国潜入記
2019/11/08 23:07
『アヘン王国潜入記』
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界最大のアヘン供給源となっている地域に著者が潜入し、実際に著者自身がアヘンを吸って、共に生活をし、アヘンの栽培などもしたルポルタージュ。非常に読み応えがある。私はこの本をきっかけに高野秀行という人物と出会い、以後何冊も著書を買っているが、一冊として外れがない。入門書としてもお勧めできる一冊。
アヘン王国潜入記
2017/02/26 18:00
貴重なフィールドワーク。「肩の凝らない民族誌」とでも呼びたくなる好著
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国雲南省からミャンマーにかけて居住するワ族。そのワ族は20世紀前半まで首狩りの習慣を持ち、しかもゴールデントライアングルと呼ばれるアヘン生産の中心的役割を担ってきた。その地に潜入し、実際に村人達とケシの種まきから収穫までを一緒に過ごし、村人目線で現地の生活を描き出した、正に貴重なフィールドワークそのものである。学術的な調査・論文は別にして、一般市民が普段接することの少ない少数民族の生活実態をここまで描ききってくれた著作はないものと思う。著者はまた、現地生活の困難さからアヘン中毒という「貴重な」体験まで報告してくれる。
驚きだったのは、一般的に「反政府ゲリラ」といえばどうしようもない暴れん坊という印象をもつが、ワ族の人々は礼儀正しく謙虚で、原日本人像とも重なるような態度を示す人が多いという点。「西南シルクロード」に登場するカチン族とも共通する感覚を受けた。照葉樹林文化との関係があってもおかしくない地域に生きる人々の生態をもっと知りたいと思う。
なお軍事政権時代とは言え、現地少数民族から見た時の、ミャンマー政府の無能ぶりも存分に描かれている。現在にも共通する病根がこの国には残存している可能性が濃厚である。
2021/08/29 12:25
閉ざされてる社会に開かれる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Jiji - この投稿者のレビュー一覧を見る
体感的な視点と俯瞰的な視点を融合させた文は天才的。そんな他人事には興味持てないと切り捨て無視の日本出版業は閉ざされているワの村を彷彿とさせるし、世界を牛耳る巨悪の根元を考えるネタが詰まっている本だけど、指摘弾糾なんて野暮に終わらず、笑いに落とし込む著者のモラル感、バランス感覚の高さに好感。文明はないけれど文化がある は名句。