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英語屋さん ―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半―
著者 浦出善文
ソニーの平凡な一社員にすぎなかった著者は突然、会社創業者である井深大氏の「英語屋」=通訳兼カバン持ちに任命される。だが帰国子女でもなければ留学経験さえない著者は、海外の超一流のVIPを相手に自己流の英語術で奮闘する羽目に。井深氏の持論である幼児教育論や東洋医学のやたら難しい専門用語に冷や汗をかいたり、創業者らしい“格調高い”英語のスピーチの原稿を書き上げるのに四苦八苦したり…。本書はそのような著者の四年半にわたる経験を、井深氏およびその周辺の人々とのエピソードや、そこでつちかった英語力育成のノウハウを交えながら書き綴ったものである。【目次】第1部 新米英語屋の勉強帳/第1章 社内「英語屋」ハンティング/第2章 英文レターへのこだわり/第3章 悪戦苦闘の駆け出し通訳/第4章 キーワードは「創造」/第5章 アメリカへ!/コラム 忘れ得ない人々・その1 井深さんを支えた若手スタッフ/第2部 汝の主を知れ/第6章 どこでもついて行くカバン持ち/第7章 東洋医学と0歳教育/第8章 「井深さん流」英語上達法/第9章 井深さんへのファンレター/コラム 忘れ得ない人々・その2 大企業トップの秘書/第3部 英語屋の卒業論文/第10章 お客様、ご案内~!/第11章 VIPが会社にやってくる/第12章 ボクの通訳プレイバック/第13章 国王陛下を笑わせろ!/第14章 たかが英語屋、されど……/あとがきにかえて
英語屋さん ―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半―
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2005/09/01 21:21
よく考えれば,私も「英語屋」志望者だった
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者(ウラデ)は1961年(北海道)生まれ。早大政経(政治学科)卒でソニー入社。93年退社。フリーランスの産業翻訳者「翻訳小僧」として独立。著書はamazonで著者名検索すると6冊でてくる。本書は現在17刷(「翻訳小僧」サイトによる)。売れてる。
第1部 新米英語屋の勉強帳
第1章 社内『英語屋』ハンティング
第2章 英文レターへのこだわり
第3章 悪戦苦闘の駆け出し通訳
第4章 キーワードは「創造」
第5章 アメリカへ!
第2部 汝の主を知れ
第6章 どこでもついて行くカバン持ち
第7章 東洋医学と0歳教育
第8章 「井深さん」流英語上達法
第9章 井深さんへのファンレター
第3部 英語屋の卒業論文
第10章 お客様,ご案内〜!
第11章 VIPが会社にやってくる
第12章 僕の通訳プレイバック
第13章 国王陛下を笑わせろ!
第14章 たかが英語,されど・・・
個人的な思い出話だが,下手に理論的な話よりも英語を通じたコミュニケーションの意義や効果の実例に富んでいて,しかも井深大(まさる)という人物の人となりが伺えて面白かった。著者自身画が自らを「ペイペイ」(平社員)という言葉を用いて(記憶は曖昧だが)4回ほど表現している事実から,著者の優しい人となりも感じられる。ソニーくらいになると,早大(政経)卒を通訳に使うんだねぇ。
いまでこそ世間の事情は違うようだが,ソニーは社内人事の点では他の企業とは大きく異なり,寿退社(女性社員の結婚理由の退社)が殆んどなかったらしい。留学経験のない著者をして企業トップの通訳に設えることなど,ソニー社内では“大抜擢”ではないのかもしれない。「4年半」という在職期間から察するに,著者は優れた「受験英語」(35頁)力をそのまま意思疎通手段としての英語にまで育成・増進したことがわかる。
思い起こせば中学の頃,無知蒙昧な田舎者の僕は著者のような企業参謀の通訳を志していた。私も「英語屋」志望者だったのだ。「それまでの人生で最も楽しかった,あの『4年半の休暇』」(199頁)という表現はじつによくわかるし,僕を羨望に駆らせさえする。
2000/11/13 00:45
サラリーマンに勇気と元気をプレゼント
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書斎ねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
サラリーマン時代の経験を振りかえりながらソニーの井深氏のもとで国際秘書・通訳業務を勤めた日々のさまざまなエピソードが綴られている。現在翻訳業に従事されている筆者は、単に翻訳・通訳といった英語面のエキスパートとしての能力を磨くばかりでなく、ソニー勤務を通じて、一流国際企業の一線に相応しい企業人としての国際ビジネスマナー・教養といった一段高いレベルの国際派としての経験を積み重ねた。英語圏での生活経験がないながら、そのハンディを克服する姿には悲壮感はない。筆者は常に前向きであり、職務に対して忠実であり地道な努力を積み重ねており、その姿勢には脱帽させられる。
世界のソニーを支える役員・社員・秘書たちは皆、経営者を愛し、愛社精神にも満ちており、その働く姿が目に浮かぶようなタッチで描かれソニーという企業の新たな一面を垣間見ることができるという点でも、本書は興味深い。
大企業にあっては自社の経営者の素顔すら見えないこの時代、自社の経営者が素晴らしい、と胸をはって宣言できるサラリーマンは少ないに違いない。本書は、英語圏で生活経験がなく英語力に自信が持てない・国際派というには一歩及ばないと感じるサラリーマンに希望を与えてくれる英語指南者のための本であるばかりでなく、日々の会社生活にどこか前向きになれない、といった「倦怠期」のサラリーマンにも、勇気と元気を与えてくれる良書である。
2000/10/26 00:22
2000/4/10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経ビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの「英語屋さん」とは、通訳者のこと。1986年、著者は入社2年目にして、当時まだソニー取締役名誉会長として現役で活躍中であった故・井深大氏の「通訳兼カバン持ち」に抜擢された。本書は、著者がその4年半を振り返りつつ、国際企業トップの交渉の場で培った通訳者のノウハウを紹介したもの。さらに、同行中のエピソードや、諸外国VIPらとの交流を間近で見た者として、ソニー創業者の人間的な一面を描き出した。
「浦出流」とも言える、著者独特の通訳法が興味深い。まず、井深氏のよく使う言い回しはもちろん、当時最大の関心事であった東洋医学や幼児教育に関する専門用語を整理したノートを作る。それが交渉事をスムーズに進める潤滑油の役割を果たしたという。また、相手の経歴はもちろん著書などを徹底的に調べ、あらかじめ英語の表現や表記を確認しておくなどの地道な作業が重要だと指摘する。
井深氏は英語に対する勉強意欲が旺盛で、著者の使った言葉を巧みに吸収して語彙知識を増やしていたという。そのほか、現在産業翻訳者として活動中の著者が、英文ビジネスレターの書き方なども指南している。
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