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カスハラの犯罪心理学(インターナショナル新書)
著者 桐生正幸
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは、従業員への悪質なクレームや物理的・精神的な嫌がらせ全般を指す。「店員にキレる客」を誰しも見たことがあるように、カスハラは日本で大量発生している。さらに、コロナ禍によって拍車がかかり、被害は拡大している。2022年2月には、厚生労働省から「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が発表され、現代日本において大きな社会問題と化しているのだ。本書では、犯罪心理学者として長年カスハラにかかわってきた桐生正幸が、豊富な調査実績を基にカスハラが生まれる構造を分析し、その対策を提案する。
カスハラの犯罪心理学(インターナショナル新書)
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2024/06/08 12:33
☆カスハラの犯罪心理学☆
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、まず、カスハラを《犯罪》(犯罪心理学)という視点で捉えていることが特徴的であろう。人々が思っているがなかなか言えなかったことを端的に表現しているようで、従来の関連書籍に比べ、一歩踏み込んだ形となっている。
それで、中身を読んでみたが、カスハラの加害者の心理状況を、犯罪プロファイリング等の視点で分析をしている。カスハラ加害者の心理状態を冷静に分析している。
だが、おそらく読者が一番期待しているであろう《カスハラ対抗策》については、従来の書籍と同様、あまり触れていないと思う(というか、あまり断言できないでいるように思う)。
カスハラ対抗策を展開できない理由は、私見だが、本書で展開されるカスハラ加害者の心理分析から垣間見えるように感じる。結局、カスハラ加害者の心理状態を分析すると、自己の卑屈な感情を打ち破る、自己の揺らいだアイデンティティを保つ、自己陶酔、我を通す、といった、カスハラ加害者の勝手な思い込みが原因であり、これに立ち向かうこと自体が、我々にとっては無謀な話である。ましてや、カスハラ加害者に理解させようということは、無理な話である。
では、読者は諦めろというのか? そんなことはないと思う。こちらの書籍を読むことで、カスハラ加害者の心理状態が冷静に分析できる。また、その冷静に分析した目で、カスハラ加害者に立ち向かうことの無駄さ・百害を改めて感じ、相手の心理状態を分析したうえで、そのカスハラ加害者の圧をいなすことを肝に銘じるべきだと、改めて学んだ。
本書では、カスハラに関する法整備を主張の1つとして挙げているが、それでカスハラを抑え込むことは、無理だと思う。例えは違うが、ストーカー規制法が施行されても、ストーカーの脅威はなくならない。カスハラ規制法なるものが整備されたとしても、一定の抑止力は働くと思うが、カスハラの脅威はなくならないと考える。
カスハラのない社会が理想だが、現状を考えると、昨今耳にする「アホとは戦うな」というフレーズのように、いかに相手をいなすか、という知恵をつけていくことが必要だと思う。
カスハラの犯罪心理学
2024/06/08 12:32
☆カスハラの犯罪心理学☆
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、まず、カスハラを《犯罪》(犯罪心理学)という視点で捉えていることが特徴的であろう。人々が思っているがなかなか言えなかったことを端的に表現しているようで、従来の関連書籍に比べ、一歩踏み込んだ形となっている。
それで、中身を読んでみたが、カスハラの加害者の心理状況を、犯罪プロファイリング等の視点で分析をしている。カスハラ加害者の心理状態を冷静に分析している。
だが、おそらく読者が一番期待しているであろう《カスハラ対抗策》については、従来の書籍と同様、あまり触れていないと思う(というか、あまり断言できないでいるように思う)。
カスハラ対抗策を展開できない理由は、私見だが、本書で展開されるカスハラ加害者の心理分析から垣間見えるように感じる。結局、カスハラ加害者の心理状態を分析すると、自己の卑屈な感情を打ち破る、自己の揺らいだアイデンティティを保つ、自己陶酔、我を通す、といった、カスハラ加害者の勝手な思い込みが原因であり、これに立ち向かうこと自体が、我々にとっては無謀な話である。ましてや、カスハラ加害者に理解させようということは、無理な話である。
では、読者は諦めろというのか? そんなことはないと思う。こちらの書籍を読むことで、カスハラ加害者の心理状態が冷静に分析できる。また、その冷静に分析した目で、カスハラ加害者に立ち向かうことの無駄さ・百害を改めて感じ、相手の心理状態を分析したうえで、そのカスハラ加害者の圧をいなすことを肝に銘じるべきだと、改めて学んだ。
本書では、カスハラに関する法整備を主張の1つとして挙げているが、それでカスハラを抑え込むことは、無理だと思う。例えは違うが、ストーカー規制法が施行されても、ストーカーの脅威はなくならない。カスハラ規制法なるものが整備されたとしても、一定の抑止力は働くと思うが、カスハラの脅威はなくならないと考える。
カスハラのない社会が理想だが、現状を考えると、昨今耳にする「アホとは戦うな」というフレーズのように、いかに相手をいなすか、という知恵をつけていくことが必要だと思う。