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18件
広瀬正小説全集
著者 広瀬 正
1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械――それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは? 失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。
タイムマシンのつくり方(広瀬正小説全集6)
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マイナス・ゼロ 改訂新版
2010/09/22 01:10
日本タイムトラベルSFの名作
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書、日本のタイムトラベルものの金字塔だそうで、二年前に
新装復刊となりました。
戦時中、空襲の中、主人公の浜田少年は、お隣の科学者らしき先生から、
18年後のこの日に、この場所に来て欲しいとたのまれてしまいます。
18年後に浜田青年(時代が経て青年になっている)がみたものは、タイムマシンでした。
そして、突然現れた女性を助け、
浜田青年自身も昭和初期の過去へとタイムトラベルするのですが、、、。
タイムトラベルだから、どうの、タイム・パラドックスだからどうの
というのを置いておいても、充分楽しめる、リーダビリティの高さでして、
一種異様なストーリーテリングで、するするさくさく読めてしまいます。
浜田青年のパートでも、今からすると、充分ノスタルジックあふれているのですが、
その後、描写される昭和初期の東京も中々味わいが深いです。
タイムトラベル後助けてもらう、大将の一家も、いい味だしてます。
これ、著者の広瀬正さんの性格上そうなったそうですが、
小説内にいやな敵役が全く登場しません。
みんな、ほんわかしたいい人ばっかり。
対決構造が全くないのに、この面白さはなに!?。
しいて対決構造といえば、終盤に整合を強いられるタイムパラドックスか!?。
他の作品は、知りませんが、敵役がいないのに、これだけ語れるのは、
SFとしてより、小説としてのストーリーテリングがすごいからだと思います。
まぁ、タイムトラベルの要素を省いて紹介すると、3部から4部構成になった、
昭和を舞台にした男の年代記ともとれるので、私は、SFとしてより、
このリーダビリティの高さに感服しました。
最後に、私、タイムパラドックスとか、全く気にせず読む性質なので、
(つまり、小説として面白ければ、OK)
あんまり真剣にとってないんですが、訳者でありながら、SF書評の大森御大が、
タイムパラドックスをどう処理しているかでその作家の頭のよさが判るとか、
言っていましたが、
よっぽど強引な展開以外、気にすることないですね、、。
だって、タイムマシンの存在、タイムトラベルすることが、パラドックスなんですから、、。
(多分。間違ってますか?あんまりつめて考えていないの、お気楽書評なので)
マイナス・ゼロ 改訂新版
2019/02/17 22:37
こんなに面白い小説を残した広瀬正の知名度の低さは何なんだ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなに面白い小説を残した広瀬正の知名度の低さは何なんだ。もし、この作品で直木賞を取っていたら歴史は変わったのかもしれない。タイムマシンものだから選考委員は初めから取らすつもりがなかったのかもしれない。その内容はSFという範疇にとどまらない綿密につくられた細工物のような面白さがある。この作品を評価できない選考委員って・・・
エロス もう一つの過去 改訂新版
2017/03/15 10:20
『もしもあの時~』の展開が秀逸
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和兄ィ - この投稿者のレビュー一覧を見る
二人の人生が、現在・過去・もうひとつの過去という形で、「もしもあの時、こうなっていたら」という時間・空間的手法でもって、事象を展開する。現在・過去・もう一つの過去といりみだれて展開するため、すぐには”ぴんと”こない時があり、何章かもどって、確認してから読み下さすという状態になった。広瀬さんの相変わらずの緻密さをもった文章で、難解なところもあるが、引き込まれるタッチは相変わらずである。50年近い前の本であり、その当時の内容がさらに、30年ほどさかのぼって詳しく記述されているので、当時の世俗がよくわかって非常に参考になる。なんせ、昭和の15年ぐらいの状況は全然我々は詳しくしらないし、今でも死語となってるワードも多い。