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【シリーズ】飛べない蝶と空の鯱
著者 手島史詞 (著) , 鵜飼沙樹(イラスト)
約束だ。一緒に飛ぼう。空の最果てまで――
霧の上に島が浮かび、島々を行き交う交通手段は「空を飛ぶ」ことだけ――。
「霧妖」という魔物が棲む霧の海の上を飛び、命がけで人々の「想い」を運ぶ「武装郵便屋」の少年・ウィルと、その相棒(バディ)の不思議な少女・ジェシカの物語。
飛ぶのがヘタで風を読めないウィルと、過去の事件がきっかけで空が怖くなったジェシカ。それでも空に憧れ、飛ぶことにこだわる二人は、この世界の人々の唯一の情報伝達手段である、「封書」と呼ばれる記憶を封じ込めることができる手紙を運ぶ「郵便屋」を開業する。
ある日、二人に<夜姫>と呼ばれる少女から「届けて欲しい」と封書が持ち込まれる。しかし、厄介なトラブルメーカーである彼女の依頼が、まともな荷物なはずがなく……。
「影執事マルク」シリーズで人気、実力ともに評価される手島史詞が紡ぐ、最高に爽快な「空飛び」冒険ファンタジー。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
飛べない蝶と空の鯱 ~蒼の彼方より、最果てへ~3(イラスト完全版)
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飛べない蝶と空の鯱 たゆたう島の郵便箱 2
2015/09/30 11:23
空を飛べば厄介に当たる
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
《渡り鳥》と呼称される武装郵便屋「蝶と鯱」を営むウィリアム・スターリングとジェシカ・シルバーベルは、霧妖ひしめく蒼界を翼舟で飛び回り《封書》を届けるのが仕事だ。彼らの夢は、蒼界の向こうに広がる前人未到の雲界の先にあるものをみること。それは普通の人間からは笑わればかにされるたぐいの夢だった。
見果てぬ夢を目指しつつ、零細事務所を運営しているウィルのもとに、《渡り鳥協会》から召喚状が届く。それは、彼らがバディを組んで飛んでおらず、協会のルールに反しているためだった。もし審問会で不適格と判断されれば、彼らは翼舟を手放さねばならない。
進退きわまったウィルは、《夜姫》と呼ばれる霧鍵士ヒルデガルド・フォン・ヴィンケンにバディ就任を依頼するものの、あとからそれを知ったジェシカに盛大にへそを曲げられてしまう。そんな中、フェイ・リェイチュアンという依頼人が現れ、レンカ・クヨーという人物に《封書》を届けてほしいという。だがその宛先にいたのは、トランクの中に押し込められていた裸の少女レンだった。
知り合いのケイト・ブリュンヒルデが査察官となり、ウィルたちの配達に密着することになる中、ウィルとジェシカは《エインヘリヤル》に引き続き、「七つの鍵」のひとつである《レーヴァンティン》と、オリジナル《フェンリル》の事件に巻き込まれることになるのだった。
出歩けば事件に遭遇する名探偵のごとく、再び「七つの鍵」関連の依頼が「蝶と鯱」に持ち込まれる。もちろんそれは偶然ではないことは、本作の終盤で明らかにされるわけだが、依頼を受けた時のウィルはそんなことを考える余裕もなかった。下手すれば空を飛ぶという手段を奪われかねない状況で、なりふり構わず人に助けを求める訳だが、なぜか肝心の仲間であるジェシカには助けを求めない。
微妙な空気の中向かった仕事先では女の子を拾うことになり、記憶がないという彼女の身元調べまですることになるわけだ。余計なものをしょい込んだと思われがちなのだが、持ち込まれる厄介事は一つにつながっていて、かつ、それが自体を上手い方に向かわせたのは結果論と言うべきか否か。
飛べない蝶と空の鯱 たゆたう島の郵便箱 1
2015/09/17 11:26
空の底に秘密がある
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
蒼海と雲海の境目に浮かぶ島で人々は暮らしている。雲海には霧妖と呼ばれる怪物が暮らしているため、その下に何があるのかを知る人間はいない。ウィリアム・スターリングは幼い頃、翠色の髪をした少女と出会い、いつか武装郵便屋《渡り鳥》となって、雲海の底を見るという約束をした。そしてその直後、その少女の乗った大型飛行船は、雲海の底に墜落してしまう。
それから何年かが経ち、武装郵便屋「蝶と鯱」を開業したウィルは、一度墜落してから一人では飛べなくなった少女ジェシカ・シルバーベルを後席に乗せ、翼舟で《封書》を届ける仕事を始めていた。《封書》とは人々の想いを封印した手紙であり、それを届ける《渡り鳥》のみが、島から島へと飛ぶことが出来る。そう、いまでもウィルは、翠髪の少女との約束を忘れてはいないのだ。
そんなある日、霧鍵士《夜姫》ヒルデガルド・フォン・ヴィンケンから、《封書》をランディス・ベルナールに届けてほしいという依頼を受ける。彼女絡みの依頼はもれなくトラブルがついて回るので避けたいのだが、経営的に依頼を断ることが出来ない。
そして悪い予感は当たり、依頼を受けた直後から謎の集団に襲撃されるようになり、警官を名乗るジャン・ポールマンにも付きまとわれることになってしまう。
手紙を届ける職業の部分は「テガミバチ」に、島の外に世界の秘密があるところは「氷結鏡界のエデン」に似ている。興味としては、ジェシカがいつデレるかということと、ウィルが欲望に負けていつ手を出すかということくらいか。