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2件
ハル遠カラジ
たとえそれが、人でなかったとしても。
これでも私は、身のほどはわきまえているつもりである。
武器修理ロボットとして、この世に産まれた命。
本来であればその機能を駆使して人間に貢献することが、機械知性の本懐とも言えるだろう。
しかし、どうもおかしい。
人類のほとんどが消え去った地上。主人であるハルとの、二人きりの旅路。
自由奔放な彼女から指示されるのは武器修理のみに留まらず、料理に洗濯と雑務ばかり。
「やるじゃねえか、テスタ。今日からメイドロボに転職だな」
全く、笑えない冗談である。
しかしそれでも、ハルは大切な主人であることに違いはない。
残された時を彼女のために捧げることが、私の本望なのである。
AIMD――論理的自己矛盾から生じる、人工知能の機能障害
私の体を蝕む、病の名である。
それは時間と共に知性を侵食し、いつか再起動すらも叶わぬ完全停止状態に陥るという、人工知能特有の、死に至る病。
命は決して、永遠ではないから。
だから、ハル。
せめて、最後のその時まで、あなたとともに――。
第11回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞を受賞した『平浦ファミリズム』の遍柳一がおくる、少しだけ未来の地球の、機械と、人と、命の物語。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
ハル遠カラジ 4
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ハル遠カラジ 1
2018/06/29 22:31
機械と人と命の物語
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nawade - この投稿者のレビュー一覧を見る
【平浦ファミリズム】で衝撃的デビューを果たした作者の待望の新作。
前作とはガラリと変わった近未来SF。
人工知能特有の死に至る病に侵されたロボット・テスタと主人であるハルの旅路を描いた機械と人と命の物語。
テスタを修繕する手段を探しながら変遷した世界を描く話かと思っていたが、イリナとの邂逅、そして、そこから世界滅亡と白い人の謎というキーワードが出てきて、想像より大きな話になりそうだ。
主人公がロボットというのも珍しい。
彼の目線から語られる話はどこか叙情的でアンマッチでありながら不思議な味わいがある。
全頁のうち、半分がハルとの出会いと喪失を描いた過去編に割かれており、現在エピソードにやや物足りなさを感じた。
これは物語を引っ張っていくようなキャラクターが不在であることと、テスタの常に悔いに染まった視点で描かれているからかもしれない。
続刊が出るか不明であるが、この巻で成長した面々が閉塞した世界の希望となれるような未来が待っていてほしい。
2019/06/26 08:34
良い点を潰すくらい退屈……
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Caris - この投稿者のレビュー一覧を見る
人と機械の物語でした。
初めの展開から、てっきり冒険活劇ものかと思えば、途中で突然、長ったらしい回想が入りました。そこからは、読むのが苦痛でした。
いくら文章表現が整っていても、それがだらだらと続けば、苦痛でしかないのです。特に映像的な動きも無く、ひたすら続きます。
けれどそうかと思えば、またしても突然映像が激しくなる。この温度差は、どうにかしてほしいです。
物語を通して、大切な事を言っていると思います。メッセージ性のある作品です。けれどそれらを全て台無しにしてしまうくらい、展開が冗長でした。そうなれば、心に響くものはありません。
タイトルとあらすじを読んで買い、期待していただけに、少し残念でした。