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アダルト・ウルフガイ・シリーズ
満月の夜のおれ、犬神明を殺すことのできる者は、どのような手段によろうと、この世には存在しない。おれは犬神一族の生き残り、正真正銘の人狼なのだ。おれはルポライター。トラブルがおれのビジネス。トラブルはいつも向こうから飛びこんでくる。通りすがりの銀行にひょいと入っていくと、銀行強盗がオモチャのコルトを行員につきつけていたり、行く先々でジェット旅客機が墜落したり、追突した車のトランクからは全裸の美女の死体が転がり出す……。月齢が増すにつれ、おれの体臭は強くなり、力はみなぎる。おれは誇り高く心優しい狼男だ――。平井和正“アダルト・ウルフガイ”シリーズ第1作のノン・ノベル版が、生頼範義の表紙画&挿絵で復刻!
若き狼の肖像 アダルト・ウルフガイ・スペシャル
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2016/02/13 22:05
不朽の名作が遂にオリジナルで復活!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
寝る間を惜しんで読んだノン・ノベル版アダルトウルフガイシリーズが、生頼範義の表紙画&挿絵で遂に復刻!待ってました、無茶苦茶嬉しい。
コレだよ、コレ、これこそ本当に読みたかったウルフガイ。後の日本のヒーロー物で影響を受けなかった作品は無いのでは無いかと言うぐらい圧倒的な存在感を放つ犬神明の勇姿を是非読んで頂きたい。時代背景は如何ともし難いがそんな物はスグに気になら無くなるくらい、一人称視点で紡がれるハードボイルドなストーリーと不死身の境遇を皮肉ったどこかユーモラスな語りに魅了されること間違いなし。
日本のSF伝奇アクション物というジャンルを確立した不朽の名作。これから読む人は幸せだ!
2022/02/19 22:29
人狼白書へ伏線となっているのですね
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とっかかりは安っぽいスパイ大作戦で、古臭さが否めない。途中の冬山登山や下水道のシーンも、以前のシーンの焼き直し(よく言えばアップデート?)という感じで、行き当たりばったり感があります。後知恵になりますが、冬山にストーリーの核心になるモノを埋めたというのも、アクションシーンのためだけに用意したものであり、悪役とはいえ無意味な死が生み出されただけのように思えます。
ただ、そこから先が従来とは大きく異なる展開になり、これまで無敵を誇った狼男が、とことんまで落ちぶれて弱体化していきます。その要因の一つが放射能汚染によるものではあるのですが、それよりも精神的なダメージをうけたことで狼男としてのアイデンティティが失われてしまったことが影響していました。
そのおかげで、アクションシーンは精細をかき、よれよれの状態になっていきますが、それによって主人公の心が大きく変わっていきます。
後の作品で改心、覚醒というような状態になり、路線変更がされていきますが、その前兆がこの作品にすでに表れていたことに、今更ではありますが気づきました。
2020/08/16 20:32
第三作「人狼、暁に死す」は傑作です
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一話:「地底の狼男」:前半と後半が全く場面が異なり、二つのストーリーを無理やり一つにつなげた感じです。タイトルだけを見ると、第一巻「狼男だよ」の第三話を思い浮かべてしまいますが、それは後半部分になります。前半は切り離して、本巻の第二話の冒頭部分にしてしまい、後半部は敵キャラの内面をもっと掘り下げて膨らませたほうが流れは良くなると思います。内容的にはマッドサイエンティスト VS 狼男という感じで、映画のスパイダーマンのノリです。
第二話:「狼よ、故郷を見よ」:ようやくサブキャラが立ってきた感じで、内容もとてもいいんですが、いかんせん古すぎて、戦前の世界に昭和四十年代の狼男を放り込んだような違和感があります。発表当時であればこういう秘境も成立したのかもしれませんが、衛星写真やGPSのある現代から見ればファンタジーの世界です。致命的なのがヒロインの名前で、昭和を通り越して明治を思わせます。イフガミが乗り移ったときに「みお」と名乗らせていれば、「犬神明を産み出す」というシーンとマッチしたのではないかと思います。
第三話:「人狼、暁に死す」:漫画スパイダーマンの原作として作ったストーリーが元ネタになっており、ムダなシーンがなく、サブキャラも立っています。傑作です。アンチヒーロー北野光夫の行動は義憤ではなく私憤によるものですが、「正義の味方」はどうあるべきか、公害企業を敵と見なしたが地球温暖化の進む現代であれば誰が敵になるのか、と考えてしまいました。また、ヒーロー犬神明は、しょせんアウトローで傍観者にすぎず、たとえ回心しても人類の救済者ではなく、個人に対する救済者にしかなれないという限界が見えてしまい、シリーズ全体が袋小路に陥ってしまう要因が垣間見えるようにも思えました。