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6件
日本共産党(新潮新書)
著者 筆坂秀世 (著)
「鉄の規律」「秘密主義」。現在でも公安警察の監視対象ゆえに、ある種の物々しさが漂う日本共産党だが、その実態とは――。出来レースで選ばれる党指導部、給与遅配も珍しくない地方組織、度重なる募金で疲弊し離党する一般党員たち。党歴39年、党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に参院議員辞職、離党した著者が、日々の党運営の仕組みから宮本顕治引退の真相まで、「革命政党」の内情を明らかにする。
日本共産党(新潮新書)
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日本共産党
2006/05/13 10:46
読め!そして日本共産党の本質を知れ!
17人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書が出版された途端、日本共産党は大混乱に陥った。4月19日付「しんぶん赤旗」で紙面1ページ半を割いて反論を大々的に展開し「(筆坂は)落ちるところまで落ちた」(志位委員長)「虚構と妄想」(不破前議長)と、筆坂氏の著作を口汚くののしった。共産党の悪いところは公明党とそっくりで自分に仇なす批判者を絶対に許さず聞くに堪えない読むに堪えないような汚い言葉でののしりまくることだ。自分は絶対に正しいとする「日本共産党の無謬性」は筆坂氏も本書の中で日本共産党の最大の欠点として指摘しているが、今回の日本共産党の慌てぶりを見て、あらためてこの反省とは無縁の自己中心政党の姿を見る思いがした。日本共産党は病んでいる。一番病んでいるのが財政で、長期低落傾向をたどる「しんぶん赤旗」の売上の下、選挙の度に毎回確実に没収される供託金。それに政党助成金の受け取りを拒否する意固地な姿勢のツケは全部党員にかかってくる。死ぬほど突きつけられる「寄付」「募金」「基金」への拠出。鬼のような「しんぶん赤旗」拡販運動。でもご近所に「あの人、共産党員よ」と知られるのを嫌がる人が激増する中で、こうした負担は既に共産党員であることが満天下に知れ渡っている地方自治体の議員に集中することになってしまうという哀れな構図。日本共産党の財政が悪化の一途をたどる中で建設が強行された新本部ビル。その御殿のようなビルの威容を見て、思わず「もう二度と献金には応じない」と歯噛みした地方党員がいたというのもうなづける話であろう。今や日本共産党の財政は赤字に転落し、その赤字幅は毎月1億円にも達するという。しかしなんといっても日本共産党をここまで落ちぶらせたのは、その「うさんくささ」にある。胡散臭さはどこから来るかといえば「自分達は絶対に正しい」と常に開き直るそのジコチュウ性にある。直前まで「拉致問題の存在を決定付ける証拠なんかあるのか」と自民党を突き上げていたくせに、金正日が拉致を告白した途端、「北朝鮮の疑惑を最初に指摘したのは、わが日本共産党です」などと白々しいことを言い出す胡散臭さ。全部重要なことは不破をはじめとするトップが決めて、これをしたのものに命令するトップダウン型の絶対王政制度の専制主義体制のくせに「民主集中制は開かれた究極の民主制だ」と言い募る厚かましさ。「たしかな野党」というウラには、日本共産党はエリート支配一党独裁の究極の専制国家体制を目指す民主主義の破壊者という本当の顔がある。国民はこれを見抜いているからこそ、共産党に票を投じなくなっているのである。4月29日付の産経新聞には、筆坂氏の著作に対する共産党の慌てぶりを評して「事実だからこそ慌てているとの指摘がなされていた。同感である。もし、今、日本が日本共産党の支配下にあったら、筆坂氏は直ちに拉致され、人知れず山中で共産党により粛清(殺害)されることになったかもしれない。そうなれば私もこんな書評を書いたりすることも出来なかったであろう。書いた途端、逮捕され強制収容所に送られ、そこで死を迎えることになっていたであろう。ソ連、ベトナム、カンボジア、中国、北朝鮮、東ドイツ、ハンガリー、チェコ、ブルガリア、ポーランドではこういうことが30年以上も続いていたのである。中国、北朝鮮では今もこうした言論弾圧が公然と行なわれている。bk1にも共産主義シンパと思われる書評者が複数存在する。そういう人たちにも是非本書を読んでもらいたい。そして共産主義が抱え込んだ重大な病の本質を、いやだろうけど学習してもらいたい。読めば筆坂氏は貧困な環境で育った純情少年であったようである。本書を読んで、少し筆坂氏が好きになった。
日本共産党
2007/06/29 03:55
それでも日本共産党を応援する
15人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いったん近づいてきた参議院選挙も与党のごり押しで少しだけ遠ざかってしまいました。それでも、もうすぐまた、熱い選挙の夏です。
ただ、本当に皆さんは”熱く”感じていますか?熱くなっているのはマスコミ報道だけ?私の回りでもそんなに”熱く”なっている人はほとんどいません。いまや一部のガリガリ政党人や特定宗教に信仰の深い人を除いて、”熱く”選挙を迎える人なんてそんなにいない、というのが常識でしょう。
そんな無党派層の方々の中で、こんなことを考えたことのある人いませんか?
『選挙で誰に投票しようか?今の政治がおかしいことはなんとなく感じている。日本の政治は変わって欲しい。もっと国民の方を向いた政治をして欲しい。筋の通った政策を唱える人に当選して欲しい。選挙報道などを聞く限り、一番まともなことを言っている候補は○○さんだけど。○○さんに入れようかな。でも待てよ、あの人、共産党候補だし。共産党って大丈夫かな。昔っからずっと権力にはにらまれる側だし。それに共産党の人って絶対に自分達の主張は曲げないでしょ。自分たちが絶対に正しいって、党員じゃない人を見下してる感じだし。そういえば、宮本さん・不破さんにしても今の志位さんにしても、トップがなかなか変わらないよね。対立候補が出て選挙して党首決めて、なんてことも聞いたこと無いし。まるで昔のソ連みたい。ああいうのを全体主義的って言うんじゃない。ああいうとこが政権とったらやっぱり怖い気がする。やっぱ、他の人に投票するか。』
私の場合は、選挙では共産党候補に入れることが多いです。やはり、今の政治に対して一番まっとうな批判をしているのは共産党だし、言っていることも正論だと思います。それに、今は共産党議員の数があまりにも少なすぎる。これでは、十分な国会活動もできないんじゃないかと思うからです。
しかしです。それでも今のままの共産党が、このまま勢力を伸ばし政権をとるとなったら、少し抵抗を感じます。やはり先ほどの架空無党派層さんと同じような漠然とした不安を感じます。いえ、漠然というか、今の共産党の運営に不透明な部分が大きいこと、共産党に排他主義的な言動が多いことは否定できないと思います。
共産党には変わって欲しいと思います。民主党では反自民の受け皿にはなりえないのですから。なぜなら、民主党は、ほとんど自民いや自民以上のタカもうようよ混在し信用できないからです。本当にたちの悪いごった煮政党だと思います。信用して票を入れる気にはなりません。
この本に書いてあることが100%信用できるかどうか、これだけでは判定できません。でも、皆が感じる共産党への不信感と、かなりの部分合致していると思います。
共産党さん、国民の信用が得られるように頑張ってください。応援しています。
日本共産党
2009/08/24 21:42
有権者の支持とは直接関連していない、組織の内部矛盾について述べている
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
党の公式文章を豊富に引用した、党組織・組織体質の批判的分析は、なかなか楽しい。白眉であったのは、
・『赤旗』購読部数・党員数が、共産党の主張と裏腹に、国政選挙の議席獲得数と連動していない
・共産党が、憲法9条の改憲に反対の方針を打ち出したのは、実はごく最近のことで、それまでにも方針が右往左往している
といった所。他の党幹部個人を対象にした3・4章では感情的トーンを帯びている。
自分の労働組合が共産党系統であることから、自分たちのことを言われているように錯覚する記述も多く、この系統の組織にとって本書の分析が汎用性が高いことを感じた。自分の組織の矛盾・問題点を客観的にみることができ、それと上手に付き合ったり、それの流れに呑まれないようにしたりする視点を得られた。
逆に、運動団体・組織との接点がない人・共産党にオカルト的興味を抱いているわけではない人に、わざわざ勧めるほどの本ではない。
・やむをえないのだが、核心部分と思われる内容に進むほど、他の政党との比較が少なくなり、共産党独自の体質なのか、どの組織も陥る可能性のある形骸化の表れなのかの判断がしずらい。
・序章の「なぜ多数の国民から支持されないのか、なぜ多数の国民の支持を獲得することができないのか。」「どこかに共産党が国民に受け入れられない理由があるはずだ。」という問題提起が、終章のごく短い部分を除いて、全体の議論とかみ合っていない。豊富なデータ、出典を盛り込んで、本書の大半を成す内容は、組織の内部矛盾についてであり、有権者の支持とは直接関連していない。
これらは大きな減点対象である。
さて、以下は余談である。
共産党は、日本でのプロレタリア革命が当分実現しそうにない以上、現行体制で少しでも共産主義に近づける路線を採らざるをえない。すなわち、社会民主主義である。
そこで、社会民主主義路線の共産党が、文字通り社会民主党と、単に少数で潰し合いをしない戦略以上に、仲がよいのもうなずける。
自民党は、民主主義における(新)自由主義路線なのだから、社会民主主義路線の社民党や共産党と相いれないのは当然である。
いっぽう、民主主義のうちの「自由民主」か、あるいは「社会民主」か、
自由民主党と社会民主党、両方と名前がかぶっている民主党の、どっちつかずで揺れ動いている現状を、不思議と党名が表している。